正月早々に大学生が苦しむ顔を見て喜ぶ理解不能なスポ根大会…『箱根駅伝』という残酷ショーを楽しめるって正気ですか?

今年1月2日と3日は何をしていました? えっ、箱根駅伝を見ていたんですか? 選手・監督・外国人・スタッフ・山の神・観客・警察官等、バカばっかの残酷ショーを見ていたなんて正気ですか? 暇なんですか? (フリーライター ダテクニヒコ)

20170307 17
『東京箱根間往復大学駅伝競走』。通称、箱根駅伝。第93回大会も例年通り、1月2日と3日の2日間に亘って開催され、青山学院大学が2位の東洋大学に6分以上の大差を付けて優勝した。青山学院大学は3年連続で往路優勝と復路優勝の“完全優勝”を果たしている。尚、昨年の出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)と秩父宮賜杯全日本大学駅伝対校選手権大会(全日本大学駅伝)にも優勝している為、所謂“大学三大駅伝”の3冠に輝いたのである。これは1990年度の大東文化大学、2000年度の順天堂大学、2010年度の早稲田大学に次ぐ4校目の達成となるのだが、大東文化大学は復路優勝を、順天堂大学と早稲田大学は往路優勝を逃している為、箱根駅伝を完全優勝しての3冠に輝いたのは青山学院大学が初めてのこととなる。おめでとう! 青山学院大学!…ん? いやいや、ちょっと待てよ。出雲駅伝と全日本大学駅伝は全国の大学が出場できるけど、箱根駅伝は関東の大学しか出場できない。それなのに、前の2大会と同列にして“大学三大駅伝”と称するのはおかしくないか? 箱根駅伝とは、『関東学生陸上競技連盟』(以下“関東学連”)に加盟する大学の内、前年大会でシード権を獲得した10校と、予選会を通過した10校、及び関東学生連合チームを加えた合計21チームが出場する大会。上位10校は出雲駅伝の関東代表に選ばれることもあり、即ち地区大会に過ぎない。それなのに、大学三大駅伝大会と並び称されるのは何故なのか? 最たる理由は、日本テレビ系列で生放送されるようになったことだろう。

1987年より生中継が始まった(※全区間での完全生中継は1989年から)『新春スポーツスペシャル 箱根駅伝』。この毎年25%以上の視聴率を上げる人気番組によって、関東以外の地区でも知名度と注目度が格段に上がった。これにより、学生ランナーの多くは箱根駅伝に出場するのが夢となり(※一度は実業団に入った後に「箱根駅伝に出たいから」と大学に入り直した者もいるほど)、強い選手が関東の大学に集中するようになった。結果、“関東の強豪校=全国の強豪校”ということになり、それらの大学が集まる箱根駅伝は、全国大会と同レベルの大会と見られるようになったと言えるだろう。もう1つは伝統。“マラソンの父”として名高い金栗四三は、日本が初参加した1912年のストックホルムオリンピックにマラソン代表として出場したが、途中棄権に終わってしまった。そこで、「世界に通用するランナーを育成したい」との思いを込めて、1917年に日本で初めての駅伝となる『東京奠都五十年奉祝・東海道駅伝競走』(以下“東海道駅伝”)を開催した。京都から東京までの516㎞を23区間に分け、3日間昼夜兼行で走り継ぐ東西対抗レースは大成功を収めたのだが、これが箱根駅伝の原型となる。東海道駅伝の成功を受けて、金栗らは大学・師範学校・専門学校に箱根駅伝創設の意義を説き、参加を呼びかけたところ、早稲田大学・慶應義塾大学・明治大学・東京高等師範字校(現在の筑波大学)の4校が応じて、1920年に第1回大会が開催された(※『四大校駅伝競走』という名称)。80年以上の歴史を持つ大会。元となった東海道駅伝が“駅伝”と形式で行われた最初の大会ともなれば、大学三大大会の1つに数えられるのも当然なのかもしれないが、金栗四三が唱えた「世界に通用するランナーを育成したい」という願いは叶っているだろうか? 瀬古利彦等のオリンピックマラソン選手を輩出している過去もあるが、最近は主立った選手がいない。箱根駅伝で名を上げた選手――例えば早稲田大学の渡辺康幸や東洋大学の柏原竜二等、マラソン選手としての将来を嘱望されながら結果を出せない選手のほうが多く感じられる。順天堂大学の今井正人は最近、漸く結果が出てきたが、もう30歳だ。彼らが結果を出せない理由の1つとして、箱根駅伝での酷使が囁かれている。柏原竜二や、昨年、卒業して実業団に入った青山学院大学の神野大地等は怪我に泣かされているのだが、彼らが走ったのは山上りの5区でチームの主力。立場上、休めない彼らの身体は、大学時代にかなり酷使されていたのである。それもこれも、箱根駅伝に出場して好成績を残す為。

20170307 15
箱根駅伝に集中し過ぎた余り、卒業した途端に燃え尽き症候群に陥ってしまう選手も少なくない。元々、強いマラソンランナーを育てる為に始まった大会が目標となってしまい、手段が目的となった為に、本来であればマラソンで活躍したであろう選手をダメにしているのであれば、本末転倒も甚だしい限りだ。“箱根駅伝不要論”が出るのも当然のことと言える。更に、選手生命を危機に曝すだけではなく、生命自体の危機に曝しているのが箱根駅伝である。今大会で青山学院大学の7区を任された田村和希選手は、脱水症状になって辛そうに走っていた。毎年のようにあのような選手が出てしまうが、優勝の為、シード校に残る為、チームの為に襷を繋ぐべく、最後まで走り切る姿を見て、「感動した!」とか言っている場合か! 脱水症状で毎年、何人が死んでいると思っているんだ! 体育の授業で、あんな症状になっている生徒を放っておく先生も生徒もいないのに、箱根駅伝では放置が基本。こんなもの、残酷ショー以外の何物でもない。そんな残酷な箱根駅伝。“繰上スタート”も、残酷さの1つであろう。往路の鶴見・戸塚中継所で先頭走者から10分遅れたチーム、往路の平塚・小田原中継所と復路全ての中継所で先頭走者から20分遅れたチームは、前走者が到着しなくても、次の走者を出発させる繰上スタートがなされてしまう。テレビ放送では“無念の繰上”等と涙を誘う演出をするが、箱根駅伝で襷を繋ぐことを夢見て頑張ってきた選手のことを考えたら、もっと待ってあげればいいのに、残酷な仕打ちとしか思えない。「交通規制の時間を長引かせないこと」を理由としているが、「テレビの放送時間の関係もあるのではないのか?」と勘繰ってしまう。

兎に角、繰上にならない為に、弱いチームの選手は必死で練習することとなり、又もや身体を酷使することになる。そして、実際のコースで練習をしたくなるのは当然だろう。しかし、実際のコースを事前に走る試走は、安全上の理由から禁止されている。交通規制のされていない箱根の山道を走るのは危険極まりない。実際、1956年には専修大学学生だった小山国夫選手が、交通事故に遭って死亡している。そんな痛ましい事故が起 きているのにも拘わらず、試走する選手は後を絶たない。選手がバカというよりも、そのような気持ちにさせてしまう箱根駅伝自体が問題だろう。任された区間を好タイムで完走したい。できることなら区間賞を取って、区間新を叩き出して、そして皆から“神”と呼ばれて持て囃されたい――。初代“山の神”と呼ばれたのは、順天堂大学の今井正人。2代目は東洋大学の柏原竜二。3代目は青山学院大学の神野大地。因みに、柏原はアニメ声優・花澤香菜のファンを公言するほどのアニメオタクで、他にも青山学院大学の下田裕太は『アイドルマスター』オタク、早稲田大学の安井雄一は『ラブライブ!』オタクのラブライバー、昨年度のMVPだった東洋大学の口町亮もアニメオタクらしい。箱根駅伝に一途過ぎるあまり、彼女ができずに2次元へ走っちゃうんですね。わかります。“神”と言えば、今年、3区で区間賞を獲った青山学院大学の秋山雄飛は“湘南の神”と呼ばれ、同じく6区で区間賞を獲った日本体育大学の秋山清仁は“山下りの神”と呼ばれていた。2人も神がいるし、両方とも秋山でややこしい! 因みに、柏原が1年生でいきなり5区の区間新を出した当初は、東洋大学だけに“東洋の魔神”と呼ばれていたりしたのだが、要するにショーの主役を愛称で呼ぶことでショーを盛り上げて、視聴率を上げるのが目的だということだろう。その昔、大して実力も無いのに“ハンカチ王子”と呼ばれていたマスコミの犠牲者を思い出してしまう。流石は甲子園に負けず劣らず残酷なショーを展開する箱根駅伝ですね! ショーが盛り上がり、視聴率が上がれば上がるほど、「どんな手を使っても箱根駅伝に出て名前を売りたい」という大学も出てくる訳で、1989年の箱根駅伝で2区に登場した山梨学院大学のジェセフ・オツオリ以降、アフリカ人留学生を連れて来る大学が後を絶たない。今年も、2区に4校がアフリカ人選手を起用している。正直、カネに物を言わせてアフリカ人を無理矢理留学させたかのような悪いイメージしか付かないと思うのですが、それでいいんですか? 正気ですか?

20170307 16
「正月から日本人以外が走る姿をずっと見ていたくない」と言う人も少なからずいるだろう。一方で、「ランニングシャツにショートパンツで生っ白い肌を露出しまくりのランナーなんか見たくない」と言う人もいる筈だ。えっ? 「青山学院大学は爽やかイケメンもいて、それは見ていたい!」ですって? 前述のように、アニメオタクもいると知ってのことですか? 正気ですか? もう見ていられないからと出かけようとしても、東京や神奈川は箱根駅伝の交通規制でどっぷり渋滞していて、身動きが取れなかったり。こうなったら沿道で見てやろうと行ったら、人が多過ぎて全然見えなかったり。やっと見られたと思ったら、隣の奴が道路に飛び出して選手が転倒したり…。実際に1987年、10区で飛び出してきたファンと接触した順天堂大学の選手が転倒しましたからね。テレビに映ろうとフリーザのコスプレをしている奴がいたり、駅伝スタッフの車が観客の列に突っ込んできたりするし…。こちらも実際に2011年の大会で、中継スタッフの車が歩道に突っ込む事故が起きています。あと、選手と並走する奴はテレビ中継でもよく見られますが、テレビに映らない先導車の前とか最後尾の後に自転車やバイクの集団がいるのを知っていますか? 先導車の前を走るのを“箱根逃げ”、最後尾の後ろを追いかけるのを“箱根追い”と呼ぶそうなのですが…暇過ぎるだろ! ていうか、神奈川県警はそういう奴らも交通整理して下さーい!…と思ったのだが、今年の10区で、神奈川県警が交通規制している筈のところを車が普通に往来していた為、神奈川大学の選手が危うく轢かれそうになる事態が発生していたくらいなので、警察官もあてになりません。まるで碌なことがない箱根駅伝。マジでもう止めよう、皆の為に!


キャプチャ  2017年3月号掲載

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