【獅子の計略・習1強時代へ】(02) “反腐敗”に続き“脱貧困”

20170308 02
“習氏の町”は銀色に輝いていた。太陽光発電パネルと温水器を備えた住宅1200戸が整然と並ぶ寧夏回族自治区の閩寧。20年前、福建省の指導者だった習近平国家主席が貧困地視察で訪れたことをきっかけに、福建を指す“閩”と寧夏の“寧”を取って習主席自ら名付けた町の建設が始まり、無人の荒野が一変した。「太陽光発電で温水シャワーか。凄いじゃないか」。昨年7月、その1軒に満面の笑みで住民の生活改善を喜ぶ習主席の姿があった。住民は「今の生活は習大大(※大大=おじさん)のお陰」と、親しみを込めて語る。強権的な統治や対外姿勢で“強面”のイメージが強い習主席だが、党幹部らの汚職摘発“反腐敗”を進めてきたこともあり、庶民からの人気は絶大だ。建国の父・毛沢東や鄧小平のようなカリスマが無く、江沢民元国家主席や胡錦濤前国家主席を後継指名した鄧のような後ろ盾も無い習主席が、「権威確立で頼ったのが大衆の支持」(共産党関係者)。自身の政治経歴で「最も精力を傾けた」とする“脱貧困”(貧困撲滅)は、国民の支持を得易く、異論も挟み難い。「政敵排除が目的だった」との指摘もある反腐敗と同じ構図と言える。習主席は2015年、「7000万人の貧困層を2020年までに解消する」と公約。「1つの家庭、1人の国民も見捨てない」と定期的に貧困地帯を視察し、庶民の喝采を浴びている。「アメリカのドナルド・トランプ大統領が白人労働者から絶大な支持を得たのと同じポピュリズム(大衆迎合)的手法だ」との指摘もある。

「貧困攻略戦の突撃ラッパは既に吹き鳴らされている。全面勝利せよ」――。党機関紙等メディアは、習主席の脱貧困指令を、違反や脱落を許さない“軍の命令”に例える。これまでに、全国31の省・直轄市・自治区の内、22のトップが貧困対策の最優先を確約する文書を習主席に提出した。習主席が2期目体制を始動する党大会に向け、忠誠心を競うパフォーマンス合戦の様相を呈している。最貧困地域である貴州省で陣頭指揮を執るのは、習主席の“子飼い”のホープとされる同省党委員会の陳敏爾書記。一方、経済発展で全国で5本の指に入る逝江省では、やはり腹心の同省党委員会・夏宝竜書記が今月、脱貧困で「我が省が無敵軍団とのイメージを確立せよ」と指示した。2人は最高指導部予備軍の政治局入りの可能性が囁かれる。胡氏の権力基盤だった『中国共産主義青年団(共青団)』直系で、“ポスト習”の最有力候補とされてきた広東省党委員会の胡春華書記は、四川・チベット・貴州・雲南・広西の西南部5省・自治区の貧困地帯を巡る異例の行脚に出た。習主席は群年、就任僅か4年で指導者として別格であることを示す党の“核心”となった。「次世代に忠誠を競わせつつ、慣例となってきた“68歳定年”を打破し、2期10年限りとなっている任期を延長することで、自らの“3期目”を視野に入れている」との観測もある。“次期トップ”は、慣例に従えば今秋の党大会で決まるが、党関係者は「党大会で5年後の後継者が決まるやり方はもうない」とみる。“後継指名”の先送りは、政治局に子飼いが少ない習主席が、意中の人物に経験を積ませる時間稼ぎになる。自らのレームダック化を避ける上でも好都合だ。習主席に批判的とされる江氏・胡氏ら長老等、他勢力とどう折り合いをつけるかも焦点だ。党関係者によると、胡氏は昨年10月、3通の手紙を習指導部に出した。習主席の功績を肯定しつつ、前任者批判を窘め、敬意を払うよう求める内容だったという。健康不安説もある胡氏は先月末、胡春華氏を伴って広東省を視察し、存在感を誇示した。人事の行方は、習主席の“1強体制”を大きく左右する。


⦿読売新聞 2017年2月22日付掲載⦿
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