【震災6年・未完の事業】(02) 原発処理費、膨張続ける

20170308 04
『東京電力』は1~2月、福島第1原子力発電所で炉心溶融(メルトダウン)を起こした2号機の本格調査を事故後、初めて実施した。先ず、原子炉格納容器内にパイプの先に付けたカメラを入れた。映像から、炉心の真下にある金網の作業用床に1m四方の穴と堆積物を確認した。炉心から零れ落ちた溶融燃料が突き破った可能性もある。廃炉作業を本格化するには、放射線をまき散らす溶融燃料の場所を特定する必要がある。その後に投入した調査ロボットは、堆積物にひっかかり動けなくなった。溶融燃料を探せないまま、調査を打ち切った。東電は9月末までに燃料の取り出し方法を決めたいが、溶融燃料の分布もわからない現状では難しい。2号機から数百m離れた広大な敷地には、容量1000~3000トン級の巨大なタンクが約900基並ぶ。放射性物質を含んだ汚染水を収容しており、数日で1基のペースで増え続けている。今後の汚染水の取り扱いは未定だ。2051年までに終えることを目指す廃炉作業。世界的に前例のない取り組みは、“試行錯誤”の領域から抜け出せていない。

避難が長引く被災者や、風評被害に苦しむ農林業者の生活立て直しも道半ばだ。「福島の人々は不十分だと言っている」。昨年11月末、自民党の『東日本大震災復興加速化本部』の本部長である額賀福志郎議員は、『東京電力ホールディングス』の広瀬直己社長を党本部に呼びつけ、賠償金の支払い方針見直しを要請した。東電が避難指示区域内の農協や酪農団体等に2018年まで2年分の賠償金支払いを提示したところ、自民党の怒りを買った。地元では、「賠償が打ち切るのでは?」との懸念が高まっていた。要請から間を置かず、東電は農林業者に対し、2019年まで3年分と、2020年以降も“事故と相当因果関係のある損害”を支払うことを通知した。東電の幹部は、「永久に賠償し続けるのは難しい」と本音を漏らす。この先、何年支払い続けるのか、事実上わからなくなった。飛散した放射性物質を取り除く除染作業も難航する。当初は田畑の表面の土壌を削り取ることを目指した。放射線量が高く、人が立ち入らないまま放置された農地には、ヤナギ等の草木が根を下ろし、大きく成長した。草木を伐採し、地中に張り巡らされた根を掘り起こす作業が加わった。廃炉・賠償・除染――。事故が起きてから6年、政府は事故の処理費用を、従来のほぼ2倍となる総額21.5兆円と見積もる。最終的に、電気代への上乗せや税金を通じて国民が負担する。時間の経過と共に想定を上回る事故の深刻さだけは明確になっており、今後も費用が膨らむ可能性は高い。被災者と同じように、国民も長い忍耐を迫られる。


⦿読売新聞 2017年3月3日付掲載⦿
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