【震災6年・未完の事業】(03) 仮設解消せず、不公平感

20170308 05
部屋はホームべース付近、玄関を開けると3塁側のべンチが見える。美容院経営・山本明美さん(51)が暮らす仮設住宅は、宮城県女川町の小高い丘にある町民野球場のグラウンドに立つ。僅か約100m先には、都市部のマンションのような災害公営住宅『運動公園住宅』がある。町内で最も早い3年前に完成し、約200世帯が一足早く入居した。3~4階建てで、最も大きな部屋は4LDKだ。「何だか取り残されたような気がして」。山本さんの胸中は複雑だ。仮設住宅の9棟(189戸)には、未だ163世帯が暮らす。この仮設住宅の設計は、著名な建築家が手がけた。山本さんは一家3人で2014年春に入居し、通常の仮設住宅よりモダンな外観がお気に入りだった。しかし、一軒家だった嘗てと比べて手狭で、荷物が積み上がる。「精神的に疲れが溜まってきた」。希望する約1㎞離れた災害公営住宅の建設は遅れ、完成は未だ1年先だ。「早く安住できる家に住みたい」。女川町の災害公営住宅は、当初計画より半年遅れている。町は、津波被害に遭った低地の住宅再建を諦め、高台移転を選んだ。だが、山間部の硬い岩盤に阻まれ、連日のように発破する等、工事が難航した。

運動公園住宅に抽選で当選した坂本礼子さん(48)は、家族と野球場の仮設住宅から移った。目立たないように引っ越し、挨拶も極近所のみ。積極的に関わった仮設住宅のイベントにも、今は足を運べない。「未だ残っている人に申し訳ない」。『岩手大学地域防炎研究センター』の南正昭センター長は、復興事業が大詰めを迎える現在の課題を挙げる。「住まいを再建した人・未だの人という格差が鮮明になっている。被災者の心理的負担が重なっており、十分なケアが必要」と指摘する。復興のスピードの差は、自治体間にも及んでいる。岩手県大槌町は、旧市街地を嵩上げして再建する。宅地や道路等、地区ごと再構築する土地区画整理事業を活用し、961戸分の宅地を造成する。しかし、事業は長引き、進捗は半分ほどだ。同町赤浜地区で自宅を再建する予定の消防士・佐藤巧真さん(21)は、今年1月に漸く土地の引き渡しが実現した。当初の予定より約3年延びた。「雨の日も雪の日も続く工事を見れば仕方ない。でも、東京オリンピックで資材が高騰したせいか、建設費は1000万円も上がった」。引き渡しが1年以上先の地区もある。一方、宮城県南三陸町は、宅地は高台へ、商業地等は低地に配置する“職住分離”を進めた。“津波が来ても逃げる必要がない町”を掲げ、高台に住まいを集約させた。同町は昨年、宅地造成を終えた。復興事業の選択によって生まれた格差。女川町の担当者は言う。「計画当初は規模感も計れないし、どれが正しい選択か、誰もわかる筈なかったと思う」。


⦿読売新聞 2017年3月4日付掲載⦿
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