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【ふるさと納税の今】(01) 故郷弱る返礼品競争

師走のお茶の間に、ふるさと納税を呼び掛けるCMが増えてきた。今年退陣した菅義偉前首相が旗振り役となって始まった制度は、来年度に15年目を迎える。都市の税収を吸い上げ、地方は潤ったのか? 返礼品は適切か? “果実”の行方を追った。

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庁舎に近付くと、巨大なカットスイカの鮮やかな赤が目に飛び込んでくる。「有数の産地であることをPRしようと、30年前に置いたんです」。モニュメントを見上げながら、千葉県富里市役所企画課長の永田健矢氏(※左画像、撮影/宮間俊樹)が説明した。長閑な田園が広がる人口約5万人の同市は、内陸で昼夜の寒暖差が大きく、「糖度の高いスイカができる」と生産が盛んになった。昭和初期には皇室に献上して名が知られ、今も全国一、二の生産量を誇る。2008年のふるさと納税開始当初、市は「上京した若者が故郷を応援してくれれば」と期待した。スイカを返礼品の目玉にした。だが、思い描いていた通りにはならなかった。制度の普及で寄付の受け入れ額は伸びたが、それ以上に市民が他の自治体に寄付する流出額が増えた。赤字は拡大傾向で、昨年度は約3700万円に膨らんだ。市の担当者は「富里のような小さな自治体にとっては痛恨の額」と頭を抱える。赤字の理由の一つに、市は返礼品の“格差”を挙げる。12月末までの1年間の寄付額が税の控除対象となる為、年末に“駆け込み寄付”が集中する。「スイカの最盛期は夏。翌年確保できる量が見通せないので、12月には募集できず、抑々冬が旬のカニやイクラのインパクトに対抗するのは難しい」。海の幸やブランド牛肉等、高級食材を売りにする自治体に寄付が集中しているのが現状だ。市も手を拱いてきたわけではない。夏の『スイカロードレース』では給水所の代わりに“給スイカ所”を設け、参加者に名産をPRしてきた。もう一つの特産品で冬が旬の人参を使った鍋セットも、最近返礼品に加えた。だが、目立った効果は出ない。

富里は県内の市で唯一、鉄道駅がない。東京のベッドタウンにもなりきれず、若者の流出が進む。住民基本台帳人口移動報告によると、2012~2020年で20代以下の市民計1366人が東京に転出。東京からの転入より500人以上多い。制度開始前の2007年、総務省の有識者会議が出した報告書には、「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた“ふるさと”に納税できる制度があっても良いのではないか」と制度の出発点が記されている。市の担当者は疑問を抱く。「うちのような自治体が救われる制度ではなかったのか」。返礼品競争から降りる――。そう宣言して一度は寄付が激減しながら、今は宣言前より増えている自治体があった。埼玉県所沢市。2017年、藤本正人市長は「ふるさとを応援するという本来の趣旨はどこへ行った?」と批判し、返礼品を止めた。今も思いは変わらない。「限られた税収を地方同士がモノで釣って奪い合っているだけ。人気の特産品がない自治体はどうにもならない」。赤字に喘ぐ地方の自治体の声を代弁する。地元の球場を使うプロ野球のチケット等を返礼品としていた市には、2016年度に3507万円の寄付があったが、返礼品を止めた2017年度は1人からの大口寄付を除いて250万円、2018年度は180万円と落ち込んだ。それが2019年度には大きく回復し、2020年度には5451万円に達した。何があったのか。市の担当者が明かした理由は“遺産”だった。「両年とも遺言で4000万円以上を寄付していただいた。だから、回復は見せかけなんです」。ただ、それを除いても2019年度は340万円、2020年度は750万円と少しずつ寄付が増えている。担当者は「宣言の影響」と認める。寄付理由を書く欄に「本来の趣旨に立ち返った決断に敬意を表する」「所沢に縁はないが、共感した」と、市を激励するコメントが寄せられ始めたからだ。変化は未だある。2019、2020年度の寄付の6割近くは1万円以下の少額で、最少は2000円だった。1万円以下の寄付への返礼品は各自治体とも少ない。「纏まった額を他の自治体に寄付して、控除の限度額まであと少しとなった時、その端数を見返りを求めずに託してくれているのでは」。使い道をより具体的に公表し始めたことも、追い風になったかもしれない。唯一の返礼品であるお礼状に自筆のメッセージを書く藤本市長は、気付いたことがある。「競争を降りてから、毎年寄付してくれている人がいるんです」。 (駒木智一)


キャプチャ  2021年12月17日付掲載
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