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【ふるさと納税の今】(05) 子育て特化、奇跡の町

20220331 04
イベント終盤のトークセッション。町長がカメラの向こうに語り掛けた。「ふるさと納税の大事な寄付金が、どんな風に使われているのかをお知らせするのは当然のこと…」。北海道のほぼ中央、大雪山の麓に位置する上士幌町。先月下旬、町の魅力や取り組みを知ってもらおうと開いた特産品抽選会付きのオンラインイベントは、延べ5000人超が視聴した。コロナ禍の為、東京都で開いていた例年とは異なる趣向だったが、町の人口とほぼ同じ人数が参加する盛況ぶりで、「この町なら寄付金を有効に活用してもらえそうだと安心した」等と好意的な感想が相次いだ。町はふるさと納税に逸早く本腰を入れた。黒毛和牛や蜂蜜等の特産品人気もあり、2013年度には前年度の15倍となる約2.4億円を集めた。そこで目を向けたのが、子育て環境の整備だ。ピーク時に1.3万人余りだった人口は、5000人を割り込もうとしていた。竹中貢町長は「あれもこれもやるより、使い道で強いメッセージを発信することが大事と考えた」と振り返る。子育てに特化した基金を創設し、保育料や高校までの医療費の無料化等を進めると、その効果か、再び人口が増え始めた。2019年度までの5年間で転入が転出を244人上回り、7割以上が子育て世代だった。地方の過疎化が進む中、“奇跡の町”と呼ばれた。イベント翌日。記者は町内唯一の小学校である上士幌小学校を訪れた。教壇に立つのは理科の専任教員。町が基金で小中学校に追加配置した教職員8人の1人だ。物の温まり方を学ぶ授業が始まると、町内では日常的なバーベキューの道具を例に質問し、児童は元気よく手を挙げていた(※右画像)。教頭は、「先生の多さはゆとりを生み、子供にも良い影響を与えている」と胸を張った。

町は、こうした寄付金の使い道や金額をホームページで詳しく公開している。住民は「充実した子育て環境に共感して移住してくる人もいる」と明かす。ふるさと納税の開始前年に意義や仕組みの検討を重ねた国の有識者会議の報告書には、「地方団体は、寄付の使い途を明らかにし、それがどのような成果につながるのか説明することが求められる」とある。しかし、総務省の7月公表資料には、全国1788自治体のうち、2割に当たる364自治体が「活用状況の公表や報告をしていない」と回答した。「(使い方が定められていない)一般財源として受け入れている為」「特定の事業に対して募集していないから」。理由欄には様々な説明が並ぶ。「事務簡略化の為」「理由は特にない」とした自治体もあった。栃木県のある町は「公開する必要性を感じない」と回答した。「多くの自治体が公表している」と伝えると、「職務怠慢と言われても仕方ない。深く反省している」と声を落とした。年内にホームページ等で公表するという。有識者会議の報告書は、返礼品についても「制度を濫用する恐れへの懸念もある。良識によって自制されるべきもの」と警鐘を鳴らしていた。それから14年。懸念は現実となっている。前出の竹中町長は強調する。「大切なのは町の取り組みを理解してもらうこと。その為に外の人と繋がるイベントを続けている」。7回目となるサポーターとの交流を終えたばかりの町長は、「返礼品だけで勝ち残るのは難しい」と噛み締めるように言った。「ふるさと納税は今後も続くのか?」。そんな疑問から、使い道を慎重に検討する自治体もある。上士幌町から北に125㎞、オホーツク海に面する紋別市。ホタテやカニの返礼品が人気で、昨年度は全国2位の約134億円を集めた。これは同年度の市税予算の4.7倍に当たる。流氷砕氷船が表紙の今年度予算概要には、こう記した。「当市の財政構造は、地方交付税、ふるさと納税寄付金、ふるさと納税基金からの繰り入れが大きな収入となっており、国の政策転換に影響を受けやすい構造となっています」。歳入の内訳を示す円グラフは、“ふるさと納税関連収入がない場合”と合わせて2つ掲載した。市財政課の担当者は、「仮に国がふるさと納税を止めたら…。そんな懸念から明記した」と危機感を示す。寄付金は寄付者の意向をもとに、流氷と自然保護、医療、施設整備、子育ての4基金に割り振る。「長期に亘り、大事に有効に使いたい」。 (野呂賢治) =おわり


キャプチャ  2021年12月23日付掲載
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