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【沖縄返還50年・現場から】(中) 戦略なき振興予算

20220401 07
政府は、この50年で沖縄県に計13.5兆円の振興予算を投じた。国による優遇策で沖縄のインフラ整備は進みながらも、潜在力を生かし切れていない。アジアの成長をてこにしたグローバル戦略とその実行が、生産性の向上に欠かせない。自民党本部で昨年12月中旬に開いた沖縄振興調査会。10年毎に更新してきた沖縄振興計画を巡り、来年度以降は5年に期間を縮める案を内閣府が示した。最終的には5年以内に見直す規定を新設し、県が求める10年延長で決着した。小渕優子調査会長は「“10年何もしなくていい”では沖縄の為にならないとの意見が多かった」と明かす。背景には、国の手厚い支援を受けながらも成長軌道を描けない沖縄の現状がある。全国最下位の239万1000円(※2018年度)の1人あたり県民所得を始め、主な経済指標は全国最低水準にある。公共事業費の最大95%を国が賄う高率補助で、道路等のインフラは整った。2017年度決算に基づく人口1人あたりの国庫支出金は26万3000円と、地震被災県を除き全国で最も多い。2000年代以降は基地、公共事業、観光の頭文字を取った“3K経済”からの脱却を目指した。目玉のIT企業誘致は、この20年で10倍の500社近くに増えた。ただ、稼ぐ力の伸びは限定的だ。県が進出を積極的に働きかけたのは労働集約型のコールセンターが中心で、付加価値を生む産業の育成は後手に回った。金融やITの特区は厳しい要件が足枷で、活用が進まなかった。

足元では新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株の感染拡大が、主力の観光業を直撃する。琉球大学の嘉数啓名誉教授は、「『自立経済は道半ば』と言い続けることが国から予算を貰う手段と化した」と指摘する。国からみた沖縄振興策は、アメリカ軍普天間基地(※宜野湾市)の移設問題が進展した1990年代後半以降、県の姿勢に応じて予算を増減させる“アメとムチ”の構図が目立つ。2013年に当時の仲井真弘多知事が普天間基地の移設先、辺野古の埋め立てを承認した。首相だった安倍晋三氏は、2021年度まで3000億円以上の振興予算確保を約束した。その期限が切れる2022年度予算案は、移設に反対する玉城デニー知事の下、10年ぶりに3000億円を下回った。9月の知事選に向けて揺さぶりをかける政府の狙いも透ける。国と県の鞘当てで置き去りだったのが、グローバルな視点を踏まえた長期戦略だ。ヒントは同じアジアにある。資源に恵まれない小国ながら、金融や物流でアジアのハブに発展したシンガポール。独立した1965年の人口は188万人と、現在の沖縄の146万人に近い。初代首相、リー・クアンユー氏は税制優遇や簡素な規制で、世界から人・モノ・カネを集める戦略を描いた。自国の人材育成と有能な外国人受け入れを国策で進めた。人口は545万人に増え、1人あたりGDPは100倍超に伸びて日本を抜いた。沖縄も琉球王国時代に日本、中国、東南アジアを結ぶ中継貿易で栄え、グローバル化の素地はある。権限に限りがある一自治体と国家の単純な比較はできないが、ハリウッド大学院大学の寺本義也教授(※戦略論)は、こう提唱する。「沖縄にはシンガポールのようにグローバル化に舵を切る発想の転換が要る。政府も規制緩和で後押しすべきだ」。国頼みを脱する構想力が必要なのは沖縄だけではない。自治体の収入が経費の何倍かを示す財政力指数は、沖縄の0.37より低い県が12ある。沖縄は全国で唯一、人口の自然増が続き、返還予定のアメリカ軍基地の開発余地も大きい。国際都市への成長は、日本に活力を齎す先導役になり得る。


キャプチャ  2022年1月19日付掲載
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