【震災6年・未完の事業】(06) 水産加工場、外国人頼み

20170310 05
冷凍のサバを締め、サバ用に捌く作業台で、たどたどしい日本語が飛び交う。岩手県大槌町にある水産加工会社『平庄』の食品工場。作業員の約2割がベトナム等の外国人だ。「求人を出しても、日本人の応募は殆ど無い」。平野隆司社長(41)は人手不足を嘆いた。同県釜石市にある本社工場は津波に呑まれ、冷凍施設も全壊。国の補助金と借り入れで本社を僅か4ヵ月で再建し、何とか震災前の売り上げを保った。その後、補助金で大槌町の工場を新設し、震災の翌年からは右肩上がりに推移した。借入金の返済は2014年に始まった。工場をフル稼働させたいが、稼働率は7~8割に留まる。平野社長は、「外国人は貴重な戦力になっている。もっと人手があれば売り上げを伸ばすことができるのに。返済は15年続く。今後が心配だ」と頭を抱える。現在の作業員は約60人。その内の13人は外国人技能実習生で、震災前より4人増えた。繁忙期を見据えると100人の作業員を確保したいが、技能実習生の場合、日本人従業員を増やさないと採用枠を拡大できない。外国人を除けば20~30歳代はおらず、高齢化も進んでいる。『岩手労働局』によると、2010年に0.43倍だった年間有効求人倍率は、昨年には1.28倍に跳ね上がった。宮城と福島も0.4倍台だったのが、1.46倍と1.42倍。

震災による人口減が一因で、内陸部への人口流出が顕著な沿岸部では、労働力不足は尚更深刻だ。販路の確保も課題として立ちはだかる。経済産業省が補助金の交付先の被災事業者(青森・岩手・宮城・福島県)に昨年7月に行った調査では、55%が「震災前の水準まで売り上げが回復していない」と答え、理由で最も多かったのは「販路の喪失」(35%)だった。本社や工場が被災した釜石市の水産加工会社『リアス海藻店』は、三陸産ワカメを扱う。震災1年後に営業を再開し、取引先だったスーパーマーケットに出荷の再開を打診すると、「北海道等に仕入れ先を変えた。一度変えてしまったら元には戻せない」と断られた。人不足や販路回復が課題の被災地で、岩手県宮古市の水産加工会社の若手経営者4人が結成した『チーム漁火』は、4社で作業員や販路を共有する。昨年の合計売り上げは、震災前の3倍の30億円。同業者からも注目を集める。他社の人手が足りなければ従業員を派遣し、其々が得意とする魚種が異なるのを生かし、取引先を紹介する等した。チームの代表を務める『共和水産』の鈴木良太専務(35)は、「1社で考えることには限界がある。タッグを組んで、被災地だからこそ生まれるアイデアを形にした企業が生き残れると思う」と話す。復興特需に沸いた建設業界でも、変化が起きている。岩手県大船渡市の『コンノ建設』は震災後、ホテル等の大型受注が増え、民間の住宅建設を断ったほどだった。従業員を6人から17人に増やし、売り上げもピーク時の一昨年は震災前の10倍ほどの10億円だった。だが、昨年は大型受注がゼロとなり、売り上げは半減。金野文夫社長(68)は、「ジェットコースターのようだ。従業員を増やした分の仕事をこれから確保できるか心配」と不安がる。『東日本建設業保証』(東京都中央区)によると、東北地方の公共工事は減少傾向で、昨年度の請負金額は一昨年度比10%減。今年度も増加の兆しは無い。「どうやって生き残りをかけて戦うか、一から戦略を立て直す必要がある」と金野社長。被災地の企業の其々の模索は続く。


⦿読売新聞 2017年3月7日付掲載⦿
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