「自分たちだけじゃない、あちこちで横行していた」――下請け業者が決意の告白、これが“手抜き除染”の全手口だ!

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これまで、原発事故に起因する除染費用には、莫大な金額が投入されている。既に2013年の段階で、「総額2.5兆円の費用がかかる」と推計されていた。基本的には『東京電力』の支払いになるが、現在は国がその費用を立て替え、市町村を通して除染作業を実施している。現在、福島市等は「住宅除染については終了した」としているが、その除染作業は果たして適切に行われていたのだろうか? JR大阪環状線に福島という駅がある。昨年9月下旬、その駅前にあるホテルの一室で、福島県で長年除染作業を請け負ってきたという男性に会った。黒縁の眼鏡に短髪、体格のよい50代の富永英太郎(仮名)である。彼は、「除染の作業員は素人の集まりで、手抜きは日常的に行われて来た」と証言する。「除染作業を行っているのは結局、素人の集まり。誰も原発事故なんて経験ないから、当初は役所も建設会社も手探り状態で、現場には真面な監督者もいなかった。放射能なんて目に見えない。色も付いていないから、除染なんてやってもやらなくてもわからない。現場にいる我々は金儲けに来ているから、利益を出そうとすると自ずと手を抜くようになる。自分たちだけじゃない、手抜き除染は彼方此方で横行していた」。富永は特に悪びれることもなく、そんな風に語り始めた。富永は、仕事内容を証明する1枚のカードを持っている。『福島市除染支援事業組合』の除染等業務に係わる特別教育の修了証である。同組合は、福島市の除染を効果的に支援しようと、『福島商工会議所建設業部会』が中心となって設立したものだ。

カードには、「東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係わる電離放射線障害防止規則に基づく特別教育のうち、学科及び実技を受講したことを証明する」と記載されている。交付日は2013年11月である。修了証は、謂わば除染作業ができるパスポートであり、それが無ければ作業ができない。富永はその修了証を携え、福島市内を拠点に、郡山市・須賀川市・二本松市・飯舘村・浪江町等で、主に“3次下請け”の業者として仕事を請け負った。富永は元々、大阪を地場に建設業務を営んでいた。だが、「除染はカネになるから」という話を聞き、福島市内に事務所を構えて人を集め、除染作業を開始した。福島県で除染が始まって以来、手抜き除染は幾度か問題になってきた。その実態について、彼のように請負業者自身が説明した例は殆ど無い。除染は基本的に、環境省が策定した“除染関係ガイドライン”に従って行われる。住宅除染ならば、屋根の高圧洗浄・雨樋の清掃・庭木の剪定・軒下等の除草・庭土の表土除去等だ。一般の住宅の場合、表土が汚染されていることが確認されると、5㎝ほど表土を削り取る作業が行われる。除去された土は、コミュニティー単位の仮置場や、中間貯蔵施設へ運換されるまでその家の敷地内に現場保管される。除染作業をする場所の基準は、放射線が身体に影響を及ぼす数値“シーべルト”の空間線量率で決まっている。例えば福島市の場合、除染は空間線量率が0.23μSv/h(毎時マイクロシーべルト)以上の地域を対象に実施された。この基準値を年間に直すと1mSv/yで、これは国が目標とする一般公衆の追加被曝線量限度とされている数値だ。因みに、国内の平常時の空間線量率は凡そ0.04で、その目標が達成されても約6倍高い数値ということになる。何故、手抜き除染が可能になるのか。除染作業では通常、作業の前と後に、除染監理員と呼ばれる第三者が空間線量率をモニタリング(測定)することが決められている。手抜きはできない筈だ。だが、富永はあっさりこう語る。「作業の事前に渡される図面の中に測定するチェックポイントが書かれてあるので、極端な話、そこだけ除染すればいい。監理員と顔見知りになって仲良くなると、チェックも緩くなって、『こんなもんでいいか』という雰囲気になる。そうなると、こちらもやり易い監理員をリクエストするようになって、検査自体があまり意味をなさなくなる」。除染監理員は市役所の職員ではなく、除染作業と同じく民間業者が受託して行っている。自治体によっては、この第三者によるチェックが無いところもある。「同じ福島県でも、郡山市等は除染監管員がおらず、“自主検査”です。数値が出ている測定器を写真に撮って、データとして提出する。撮影する場所は決められているが、なるべく線量が低い箇所を選んで撮影するし、態と地面から距離を離して、線量を下げてから撮影する。そんなことは日常茶飯事でした」。

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富永たちが現場に入った当初、一般住宅の敷地内にも空間線量が高い、所謂“ホットスポット”があった。線量が高いのは、雨水が溜まる側溝や雨樋の下等である。線量が高過ぎて、ポケットに入れた線量計の針が振り切れる箇所もあった。「そうしたホットスポットは、最低でも30㎝ほど土を掘り出す必要がある。但し、30㎝掘っても線量が下がらないケースがあった。本来ならもっと掘る必要があるが、付随工事になって、受注先に別単価の請求をすることになる。それも面倒だし、自分たちも被曝したくないから、掘った穴に新しい土を入れ、土嚢を積み上げて遮蔽し、その上から放射線量を測って“線量が出ないからOK”とする。そんなことも、よくやっていた」。ガイドラインに従えば、屋根や住宅の壁から放射性物賞を拭き取っていく必要もある。だが、壁等はさっと一試きするだけでやったことにする。除染監理員は常時いる訳ではないし、施主(住人)も常時立ち会っている訳ではないのだ。屋根や壁の除染では足場を組む必要があるが、2面だけ足場を組んで、アングルを変え、恰も4面全てに足場を組んだように撮影することもあった。抑々、空間線量率が0.23μSv/h以上あるからといって、庭土の表土を5㎝除去する面的な作業は大変である。庭の形状は不規則で、庭木もあれば障害物もある。しかも、除去した土はフレコン(フレキシブルコンテナバッグ)と呼ばれるビニール製の袋に入れて、庭等に穴を掘って埋める等、仮置きすることが決められている。フレコンの数が少なければ少ないほど作業が楽になるので、5㎝ではなく1㎝だけ掃くように表土を除去し、その上から砂を入れて誤魔化すことも多かった。

「元請けは『この作業だったらフレコン○杯分になる』と計算しているので、帳尻を合わす為に、フレコンの中に禁止されている草木等のゴミを入れて嵩を増やし、その上から土を詰めたりもした。除染監理員がチェックしようとフレコンに手を突っ込んでも、ゴミまで届かない。そのまま庭に埋めてしまう。埋設する場合、草木が腐って地面が凹むと困るので、少し高めに盛土をする工夫もしていた」。尤も時々、作業を厳しく見守る施主もいて、そういう家にあたったら“外れ”だと観念して、手抜きをすることなく作業を行ったという。“如何に手抜きを手抜きに見せないか”という策略も、現場では重要だった。例えば、30坪前後の住宅の場合、富永たちは通常2日間くらいで除染作業を終えてしまう。手抜きをしてそのくらいで終えないと、利益が出なくなるからだ。しかし、あまり早く切り上げると「ちゃんとやっていないのでは?」という疑いをかけられる。「そんな時、大体同じエリアで複数の現場を掛け持ちしているので、1つの現場をやりながら、隣の家も同時に“触っておく”。重機を振り回して、ある程度の作業を終らせたら、2~3日放っておいてから戻って、最後に土を入れて仕上げをする。その時に検査に来てもらえれば、『何日もかけて作業をした』という“やった感”が出る。一生懸命早くやればやるほど、『こんなに早くできるのか? ナンボ儲けているのか?』と思われてしまう。だから、手抜きをする時は早くやり過ぎないようにしていた」。作業員の質の低さも、手抜き除染を助長する要因となっていた。富永は福島市内に作業員用のアパートを借り、作業員が朝晩食事のできる食堂を運営していた。知り合いの伝手で関西から作業員を集め、地元からも作業員を募る。通勤できる地元の作業員は、宿泊の手当が無い為、重宝したが、何れも作業員の質が問題だった。「元々、除染作業は通常の土木作業と違って、作業員は素人。除染の仕事は職業なんかじゃなくて、言ってみれば“人さえいればいい”という程度のもの。だから、集まってくるのは昨日までパチプロをやっていたような、町でぶらぶらしていた作業経験の無い者ばかり。そこでいきなり、『除染作業をやれ』と言われても、よくわからない。作業員がそんなでは、真面な現場になる訳がない」。異質の者で構成される集団の為、トラブルも多かった。宿泊施設にしているアパートでは盗難があり、作業員同士の喧嘩もしょっちゅうあった。危険区域での作業の時は線量の計測が義務付けられていたが、出身地が不明の為、その後の連絡が付かず、追跡調査ができないのはよくあることだった。

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除染作業の中でも、作業が最も困難で手抜きが激しかったのは、飯舘村の除染作業だった。ここでは一般家庭の他に、生活圏にある山林の除染を手がけた。市街地と違って作業の範囲が広くなるので、30~40名の作業員を手当したという。山林の場合、林縁から20m程度を目安として、落ち葉や枝葉の除去を行う。富永たちは、道路に近い下側から10m位でロープを張って作業をしたが、「やってもやっても限が無い」というのが実感だった。「作業が終わっても、風が吹けば上から枝や葉が飛んでくる、雨が降ると流れてくる。ホンマ、限が無いんです。皆、『ようこんなことさせるな、アホちゃうか』と言いながらやっていた。山林は斜面で、作業中は足を踏ん張っているから、作業員のバテ方も半端じゃない。30人くらいの人員がいても、休憩する者が多くて、実際に働いているのは常時10人くらい。ふと見ると、下のほうでボーッと立っていたり。山林は広いので、一々注意できない。真面目にやる奴ほどバカを見るのが、山林の現場なんです」。若し山林を除染するなら、山頂から徹底的にやるしかない。それはつまり、枝や葉を根こそぎにして秀げ山にすることを意味する。現実的には不可能な除染作業であり、だからこそ富永は、中途半端な山林の除染の目的がよくわからなかった。理想と現実の乖離を感じたのは、除染した後の水の処理にもあった。例えば、住宅の屋根やガレージ等では高圧洗浄を行う。ガイドラインによれば、洗浄する時はブルーシートを敷いて、汚染した水を受け、ポンプで汲み上げ、ドラム缶等に集め、浄化装置のある処理施設に持っていかなければならない。

だが、「一々水を集めるのは面倒臭いので、高圧洗浄等はしっ放し。使った水は、そのまま周りに飛び散っていただけです。ガレージ等を洗浄しても、洗った水はそのまま側溝に流していました。セシウム除去に効果があるというゼオライトで濾過する等の指示もあるが、あんなものは役に立たない。線量は落ちません」。富永に言わせれば、施主(住民)側の除染に対する考え方にも問題があった。住宅の場合、前述したように庭土の表土除去に加えて、庭木の剪定や軒下の除草等が除染作業に含まれる。しかし、施主側が徹底した除染を望まないことも多かった。「例えば、庭の石や塀の上に綺麗な苔が生えている場合。そんな所こそ放射線量が多いのに、『風流だから苔は取らないでいい』と言う。こちらとしても、施主さんがそう言うなら、余計な作業はしたくないので好都合。『じゃあやりません』ということになる。直接の話し合いで施主さんが承諾すれば、除染しない部分が出るのは構わないんです」。或いは農家等では、住宅に隣接している畑や果樹園の土を入れ替えると作物に影響が及ぶ為、表土除去には消極的なケースが多かったという。困ったのは、除染と掃除を混同している施主だった。「どうせ除染に来るからといって、庭の手入れをせずに、草ぼうぼうにしている家がある。使わない植木鉢やガラクタが庭に一杯あって、『ここ、綺麗にしてくれるんですよね?』と頼まれる。『掃除をしに来たのではない』と言うと、役所に電話をかける。役所は住民に逆らえないから、『何とかしてくれ』と我々に言ってくる。そんな時は、若し重機があったら庭に穴を掘り、押していってゴミごと理めてしまう」。このように手抜き除染を日常的にやっていた富永だが、次第に除染費用の単価の下落が始まり、作業のモチべーションが更に下がることになった。「それまでは作業毎にきちんと単価があったが、軈てアバウトな面積の区切りで金額が決められるようになった。僅か1平米の違いで金額が1段階落ちることもあって、そうなると本当に手抜きをせずにいられなくなった」。元々、除染費用は下請けになればなるほど中抜きされて安くなる。富永によれば、元請けである1次業者と、その次の2次業者を経て、3次業者に落ちてくる頃には、落札金額が約半分になっている。上流の企業は、「何もしないで丸儲け」(富永)の状態だ。3次業者である富永でさえ、時間が無く、面倒な作業の時には、利益分を取って4次業者へ丸投げする時があった。除染の現場では、通常の土木事業ではあり得ない4次・5次・6次業者が存在し、当然ながら作業の質は下に行けば行くほど劣化した。

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「それまで、住宅1件の請負金額が35万円だったとしたら、約10万円少なくなって25万円程度になった感覚です。現場の作業は、気象条件によっても左右される。雪で昼から作業がクローズになると、仕事量は半分になるが、給料は7割程度出す必要がある。その単価だと、人件費を払うと赤字になってしまう」。足りない分は、それまでプールしてあった利益で補填していたが、次第に立ち行かなくなった。除染費用の下落が始まったのは、除染作業そのものが減ってきた背景もある。例えば現在、福島市内では住宅の除染作業は既に終了し、あとは庭に埋設及び保管してあるフレコンを、仮置場や中間貯蔵施設等に運ぶ作業が中心だ。「除染作業の総量が減った為、特に地元の業者が、それまでの利益を確保する為に、下請けに出す価格を下げてきた。しかも、地元の仲の良い業者には楽な現場を与え、我々のような外から来た業者には面倒な現場しか回さないようになった」。幾つかの手技き除染報道を受けて、環境省による調査が入った2013年以降、手抜き除染に対する監視も厳しくなった。関西出身の除染作業員が、後に事件を起こした(寝屋川中1殺害事件)こともあり、関西から来た業者に対する風当たりも強くなった。社会保険に入れることが条件になる等、適切な雇用体制が要求され、その分、会社からの支出が増え、給料の手取が減額された為、作業員も集まらなくなった。除染作業が開始された当初は2万円以上あった日当が、徐々に少なくなっていき、最後には宿泊代や食事代を含めて、現場の責任者でさえ1万5000円を切るようになったという。その為、富永は結局、福島の事務所を諦め、関西に引き揚げることになる。

大阪のホテルで話を聞いた後の10月下旬、富永が手抜きの除染作業をしたという福島市清水地区にある農家を訪ねた。国道沿いにある広い農家で、敷地内に畑や林檎の果樹園がある。丁度、林檎の収穫を行っていた住人に許可を得て、測定器で敷地内の空間線量を測らせてもらった(右上画像)。手抜き除染が本当に行われていたのか、確認する為である。住宅の前の庭土は除去が行われ、砂利が敷かれている。富永によれば、納屋・ガレージの裏・畑・果樹園は殆ど手をつけていないという。庭先で測定器のスイッチを入れると、パチパチという音を立てて数値が上がり始めた。測定したのは、基本的に地表から約30㎝から1mの空間線量だ。その結果は、住居前の庭が0.320、住居前の畑が0.455、隣接する果樹園が0.609、林檎の樹の根元が0.476、納屋・ガレージの裏・雨樋付近が0.350~1.612、隣家の側溝が0.508、隣家の庭の盛土が1.111であった。福島市が出している放射線量測定マップによれば、2016年3月の測定で、同地区の平均環境放射線量は0.22、目標値を達成して除染は“終了”したことになっている。更に、福島市信陵地区にある自動車解体業者の敷地内も測定させてもらった。社屋の軒下が0.705、車保管場所が0.319~0.553、廃棄された樹木が0.348。こちらも同マップによれば、同地区の平均値は0.28ということになっている。また、富永が作業したという飯舘村の住宅も訪れ、住宅周りの山林の数値も測定してみた。その結果は、1.101~1.310だった。因みに、福島市の除染推進室除染企画課に問い合わせたところ、除染後に数値が高いことが判明しても、「予算が無い為、希望があっても再除染は行わない」という回答だった。果たして、この数値は除染後の数値として高いと言えるのか。先にも触れたが、除染作業の基準値である0.23μSv/hという単位は、年間に直すと1mSv/yである。これは、国が目標とする一般公衆の追加被曝線量限度とされている数値だ。そこで、放射線衛生学者で濁協医科大学准教授の木村真三氏に、データを携えて尋ねてみた。木村氏は、福島第1原発事故直後に現地入りして、放射線量測定・サンプル採取を実施し、汚染の実態を明らかにしたことで知られる。その模様は、『ETV特集 ネットワークでつくる放射能汚染地図』(NHK Eテレ)で反響を呼んだ。2013年から福島県在住で、二本松市を拠点に調査研究を続けている。その木村氏の答えは、「私には、原発事故から5年9ヵ月が経とうとしている今、十分線量が高いと感じます」というものだった。木村氏は今、二本松市内の除染済みの小学校(11校)で“放射線出前授業”を行っている。その各小学校にあるモニタリングポストの数値は、地上1m地点のデータで0.092~0.156だという。「二本松市は元々、福島市と同様に線量の高い地域でした。丁寧な除染をした結果、そのような結果となっています。この数値から言っても、福島市で計測された地点は、雨樋や側溝等を除いても、線量は高いと思います」。

木村氏は更に、こう続ける。「二本松でも、未除染部分は0.5μSv/h以上あります。除染をすれば、平面部分はある程度線量を下げることが可能です。但し、面的除染が行われた場所は、地表面より地上1mのほうが高くなるという特徴があります。地表面は綺麗になっても、汚染地域の周辺にある未除染部分や山や森等から届く放射線によって、地上高1mのほうが高くなるからです。つまり、地上高10㎝のほうが地上高1mよりも線量が高ければ、除染が不十分、言い換えれば手抜き除染と言えるでしょう」。今回測定した福島市内の地点では、確かに地上高1mより地面に近付いたほうが、線量の値が高くなる傾向があった。その意味でも、「除染は不十分、やはり手抜き除染は行われていた」と確信できた。経済産業省は昨年12月20日、福島第1原発の廃炉・賠償・除染に必要な費用を、従来の想定から倍増の21兆5000億円と推計し、その一部を電気料金への上乗せ等、国民負担によって回収することを正式決定した。また政府は、除染費用について東電に負担させる方針を転換し、帰還困難区域の除染を国費で行うことを閣議決定した。この額は来年度予算で300億円。これで原発事故以降、除染にかかる費用だけで4兆円を超えることになる。更に、中間貯蔵施設にも税金が追加投入され、こちらの費用だけでも1.6兆円に達する。市町村が掲げる除染実施計画は、内容を見る限り立派なものだ。しかし、計画と現実には著しい乖離がある。巨額の税金が使われるにしては、あまりにも杜撰な現場であり、「除染作業で儲かるのはゼネコンばかり」と言われても仕方のない構造になっている。福島市内でも、特に放射線量が多いと言われる渡利地区では、今も住宅の庭先に、ブルーシートに覆われて除去された表土が保管されている。今回の取材で福島市に公文書開示請求を行い、渡利地区だけで幾らの除染費用が投入されたのか調べてみた。それによると、2011~2012年度で面的除染業務委託を落札したのは、大手ゼネコンで構成される共同企業体(JV)が7つで、合計45億2004万円。除染監理等業務委託を落札した一般社団法人が4億4100万円。にも拘わらず、汚染土は未だ放置されたまま。同地区のある住民が昨年10月に市に再測定(個別)してもらったところ、雨樋付近では0.31~0.49μSv/hという目標値を超える数値が検出されている(福島市放射線モニタリングセンター調べ)。抑々、広大な地域に拡散した放射性物質を取り除こうとするのは現実的なことなのか、考えさせられる。手抜き除染の手口を語る富永の口調は淡々としており、そこに自嘲はあっても、反省の色は無かった。建前と本音が共存し、誤魔化しが横行する除染現場の実態。その構図はまさに、責任を棚上げする原発事故の本質を表しているとしか言い様がない。 (取材・文/ノンフィクションライター 上條昌史)


キャプチャ  2017年2月号掲載




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