【Test drive impression】(12) 『スズキ スイフト RSt 2WD』――超激戦区の国産コンパクト戦線を新型スイフトは勝ち抜けるか?

最早“日本の名車”と言ってもいいのが、『スズキ』の『スイフト』だ。2代目モデル(※グローバルでは初代)は、日本のコンパクトカーに大きな衝撃を与えたデザインと走りで、一躍“楽しいコンパクト”の最右翼となり、以降、クルマ好きに注目され続ける1台となった。その最新モデルが今年1月に発売! 新型スイフトで驚きなのは、コンパクトカーにも拘わらず、先代モデルよりも最大で約120㎏も軽量化したこと。これによって、その車両重量は900㎏台と、軽自動車とほぼ同じくらいに。何故、それを実現できたかといえば、スズキの新たなプラットフォームである“HEARTECT(ハーテクト)”と呼ばれる構造を用いたからだ。クルマは軽量になれば、例えば同じエンジンでも速く走れるし、同じサスペンションでも運動性能は高くなる。このハーテクトだが、スイフトだけでなく、スズキの他車種でも使われる新プラットフォームである。そう、新世代のスズキは、「高い性能を“軽さ”によって作り上げよう」と考えているのだ。けれど、軽くなっても安全性能は飛躍的に高まっている。更に、スイフトで注目はデザイン。実は、このクルマは日本だけでなく、アジアやヨーロッパでも販売されるグローバル戦略車で、世界累計販売台数は530万台というスズキの基幹モデル。当然、デザインは世界基準となる。因みに、日本車に衝撃を与えた2代目モデルは、その当時の日本車が皆退屈に思えるほどヨーロッパチックで、スズキのエンブレムが無かったら、誰もが「イタリアかフランスのクルマか?」と思うような走り味だった。今回の新型は、まさにそうした2代目モデルを彷彿とさせる。

ただ、2代目と違うのは、昔よりも遥かに現代の自動車のデザイントレンドが詰まっていること。フロントのグリル、ヘッドライト、ボディーサイドを走るキャラクターライン、リアドアのドアノブ、そしてリアのサイドウィンドウとリアウィンドウが繋がって見える辺りは、まさに今時流行りのデザインテイストだ。何故、そこまでトレンドを入れたかというと、これはもう、本場ヨーロッパ生まれのコンパクトカーと真っ向から勝負する気満々だからに他ならない! 実際、インテリアを見ても、その辺りのやる気は更に満々。コンパクトカーながらスポーティー、且つ上質なデザインをしっかりと展開しており、クラスを超えそうなイメージすらあるほど。面白いのは、世に衝撃を与えた2代目モデルと、今回の最新モデルを手がけたデザイナーが同一人物だということ。若い時に作った衝撃作と今回のモデルを見比べると、デザイナー自身の成熟ぶりもわかる。そう考えると賛否はあるが、敢えてトレンドを盛り込んだのも納得がいくというものだ。勿論、走りに関しても、この新型は語れる1台となっている。やはり、2代目モデルも実に衝撃的な走りを実現していた。当時の日本のコンパクトカーは、ハンドルを切ってもスパッと曲がらない退屈なクルマが殆どだった。しかし2代目スイフトは、ハンドルを切ったら鮮やかに曲がる楽しいハンドリングを手にしていた。で、新型はというと、先に挙げた最大で120㎏の軽量化が大きく貢献し、まるで2代目を彷彿とさせる鮮やかな走りを手に入れている。勿論、それは2代目モデルの呪縛から逃れられていないって訳ではない。最新モデルらしい部分も、きっちり手に入れている。それを言葉にすると“落ち着き”になる。軽快な走りを披露しながらも、しっとりとした大人の雰囲気を漂わせているからだ。

搭載エンジンは1.2リッターの4気筒というベーシックなエンジンと、今回新たに設定された1リッター3気筒ターボとなる。この1リッターターボには6速ATを組み合わせている。これにより、小気味いい走りを実現。また、時代の流れを反映してか、簡易的な構造ながらハイブリッドも用意して、最も燃費が優れるグレードは、リッター当たり27.4㎞を実現している。因みにスイフトの場合、1.2リッターエンジン搭載車に5速MTも用意している点が重要である。そう、このモデルは生活に便利なコンパクトカーながら、男が滾るMTを残している。ライバルの『ヴィッツ』や『フィット』にもMTはあるのだけど、抑々走りが楽しいスイフト。クルマ好きなら、このMT設定は要チェックだ! しかも、新型スイフトは走りも然ることながら、安全装備も充実! 単眼カメラ+レーザーレーダーによるデュアルセンサーブレーキサポートによって、車線逸脱警報・前方衝突被害軽減ブレーキアシスト・自動ブレーキ等を採用し、全車速対応ではないものの、アダプティブクルーズコントロールまで備える充実ぶりなのだ! が、しかし! それほど充実した装備だから、一言言いたい。これらは全て、“セーフティパッケージ”というオプション装着車にのみ展開される内容。つまり、このくらいの価格のクルマだと、実際には選ばない人も多い機能だ。こういう機能こそ標準装備にすべき。安全への意識の高さを訴求でき、ブランドイメージも上がると思う。何れにしても、新型スイフトのデザインと走りは、激戦の日本のコンパクトカーに刺激を与えてくれる存在であることは間違いない。そして、今春にも登場が噂される『スイフトスポーツ』は、更に男たちを滾らせてくれる筈だ!


河口まなぶ(かわぐち・まなぶ) 自動車ジャーナリスト・『日本カーオブザイヤー』選考委員。1970年、茨城県生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業後、『モーターマガジン』のアルバイトを経て、1995年からフリーに。現在、YouTubeLIVEにて『LOVECARS!TV!』(毎週金曜日22時)の司会を担当中。


キャプチャ  2017年3月20日号掲載




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