【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(36) 金正男暗殺は必然? タイで持ちかけられた警察の“裏交渉”

金正男がクアラルンプールで暗殺されてから2週間が過ぎた。依然として真実は謎に包まれているが、事件の関係者とされる人物は次々と特定されているようだ。マレーシア警察にしては、意外なほど捜査が進展していると思われる。マレーシアに限らず、タイやカンボジア等、東南アジアの警察は正義とかけ離れた組織である。社会的立場も低く、給与水準も低い。その為、警察官によるアルバイトやシノギが色々と行われている。交通検問は警察官の小遣い稼ぎでしかない。屋台からのショバ代や違法な店のカスリ(みかじめ料)の徴収も警察のシノギだし、麻薬の卸し元さえ警察だ。つまり、東南アジアでは警察がヤクザを兼ねているということだ。だから、今回の金正男暗殺に関して、マレーシア警察の活躍は意外に思えたのである。マレーシアは、北朝鮮のパスポートでもビザ無し入国できる数少ない国の1つである。それは、金正男にとって非常に危険な国という意味なのに、暗殺の様子を捉えた監視カメラからは警戒している素振りさえ窺えない。個人的な見解に過ぎないが、「金正男はタイに亡命するのではないか?」と筆者は考えていた。マカオやシンガポールでは狭くて目立ち過ぎる。ロンドンでは仕事の都合上、遠くて不便だが、スイスの可能性はあったかもしれない。彼はスイスのバンカーとも親しく、アジアでのファイナンス事業でもスイス絡みが多かったからだ。それでも筆者が「タイに亡命するのではないか?」と思ったのは、タクシン・チナワット元首相と金正男の関係からだった。タクシン元首相は、シンガポールの複数企業に多額の投資をしており、その事業でも金正男と深い繋がりがあった。ところが、タクシン元首相の妹であるインラック・シナワトラ前首相の失職と軍によるクーデターで、タイへの亡命は可能性が消えてしまった。

タイの警察も、マレーシアの警察と似たようなものだ。給与が低い為、公務員でありながらアルバイトが認められている。警察官でありながら、マフィアボスの運転手を副業にする者もいる。筆者がバンコクで逮捕された時には、「カネさえ払えば自由にしてやる」と警察幹部から交渉を持ちかけられた。この時既に、銀行から引き出したばかりの現金数千万円を彼らが横領していたが、更に現金を要求してきたのだ。しかし、ここでカネを払い、自由になってもタイから出られず、警察からはカネを要求され続けるだろう。国際手配になった事件は別件だから、日本に戻れば22日間の拘留で釈放される。「カネは払わない、日本へ帰る」。そう言った途端、扱いがぞんざいになり、まさに牢屋と呼ぶのが相応しい艦の中へ放り込まれた。その部屋は15畳くらいの広さで、奥には独立したシャワールームとトイレがあった。床はリノリウムで、病院の廊下のようだ。そこに毛布を敷いて、男たちが寝転んで本を読んだり、煙草を吸ったりしている。よく見ると、体の大きな黒人と痩せた白人が、互いの手と足を鎖で繋がれていた。ナイジェリア人のビクターとロシア人のマルコ。脱走に失敗した結果がこれらしい。他には、イギリス人が2人、アメリカ人と中国人が1人ずつ、計7人だ。筆者たちに共通しているのは、オレンジ色のTシャツを着ている点だ。胸にはタイ語で“容疑者なので直ぐに連絡を”という文字に、警察の電話番号まで書かれている。筆者たちは特別な存在だった。全員、どこかの国から国際手配をされた容疑者だからだ。「リ・ユジョウです」。一番奥に座って英字新聞を読んでいた中国人が立ち上がり、右手を差し出してきた。“Li Yu Zhou(李宇宙)”――。これが彼とのファーストコンタクトだった。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2017年3月14日号掲載
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テーマ : 国際問題
ジャンル : 政治・経済

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