【霞が関2017春】(01) 不当解雇の金銭解決、『連合』が譲れない理由

裁判で不当とされた解雇の金銭解決制度の導入を巡って、『連合』が反対姿勢を崩していない。「既にある仕組みの改善で十分」というのが連合の見方だ。金銭解決は、連合として譲れない一線。これまで、労働者の立場を揺るがす制度改正として導入に反対してきた派遣労働の規制緩和と脱時間給制度の導入は、実現へのレールが敷かれた。“反対3点セット”の2つを阻止できず、連合にとって解雇の金銭解決は“最後の砦”となっている。「本当に労働者のことを考えて救済するなら、“カネさえ払えば首切り自由”という制度を導入すべきではない」。今月3日、霞が関にある厚生労働省前。連合が開いた反対集会で、逢見直人事務局長は力を込めた。厚労省は年明けから、解雇の金銭解決制度の具体化に向け、少しずつ作業を進めてきた。この日は、制度の概要が省内の有識者検討会で初めて示されるとあって、参加者のボルテージも上がった。裁判で不当な解雇と認められても、会社と関係が険悪になり、職場に戻り難い人は多い。そこで解雇された人が望めば、職場復帰を諦める代わりに会社から補償金を受け取れるようにすることを、“不当解雇の金銭解決”と呼んでいる。今回議論されている制度は、中小・零細企業で殆どお金を得られず、泣き寝入り同然で解雇される労働者を救済する目的が大きい。働く人にも一定のメリットがあるのに、連合は強硬な姿勢を変えていない。それは、改正労働者派遣法と労働基準法改正案で煮え湯を飲まされたからに他ならない。連合は、この2つと不当解雇の金銭解決を、“労働者の職場環境を危うくする制度改悪の3点セット”としてきた。

改正派遣法は、人を代えれば同じ仕事をずっと派遣社員に任せることもできるようになった。当時の民主党や連合が「派遣労働を固定化する」と反対したものの、2015年9月に法律は施行された。労基法改正案は、働いた時間ではなく、成果に賃金を払う脱時間給制度を盛り込んだ。「過労死を助長する」等として批判を続けているが、こちらは国会に約2年前に提出された。連合が猛反対したにも拘わらず、成立や国会提出を許してしまった現状は、「労働者の立場を守る筈の連合の沽券に関わる事態」(連合関係者)。そういった認識が、労働者の救済に繋がり得る金銭解決への反対姿勢に繋がっている面がある。ただ、歩み寄りの余地が無い訳ではない。厚労省からは、「連合は、ここに来て微妙に反対意見の表現ぶりを変えてきている」(同省中堅幹部)という見方も出ている。不当解雇の判決が下された場合、職場に復帰しようとする労働者に対し、企業は解決金を払って縁を切る可能性がある。実質的に、労働者に職場復帰と解決金支払いのどちらかを選べるようにすれば、働き手の意思に反した退職は防げる為、連合も反対の旗を降ろせるのではないか。そこに制度を見直す余地があり、国と連合の折り合う余地が出てくる――。そうみる厚労省幹部もいる。解決すべき問題は、泣き寝入り同然に解雇される労働者を如何にして救うかだ。制度の導入を掲げた日本再興戦略では、仕組みを新たに作ることで、解雇を巡る紛争処理の「時間的・金銭的な予見可能性を高める」ともしている。厚労省の有識者検討会で議論が始まって1年半が経つ。建前の議論を重ねる時間は、もう無い筈だ。 (小川和広)


⦿日本経済新聞電子版 2017年3月7日付掲載⦿
スポンサーサイト

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR