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【経済安保・見えない脅威】(01) 五輪アプリ、個人情報に懸念

政府は月内に経済安全保障推進法案を閣議決定し、今国会に提出する。岸田文雄首相が法案成立を急ぐのは、中国が軍事・経済の両面で存在感を増す中、日本には重要情報の保護や物資の供給網等で無防備な面が多い為のだ。我が国が抱える様々な弱点を検証する。

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「他の国が対応しているのに、日本だけやっていないのは緊張感が足りないんじゃないか?」――。岸田首相は今月7日、首相官邸に呼びつけた文部科学省やスポーツ庁の幹部を、こう叱責した。首相が問題視したのは、北京冬季五輪の組織委員会が選手や報道関係者に利用を義務付けているスマートフォン用健康管理アプリ『MY2022』(※右画像)への対策の遅れだ。アプリの利用時には、健康状態等多くの個人情報を入力する必要があるが、日米欧の当局は情報の送信時に暗号化が適切に行なわれず、傍受され易い等、安全上の懸念があると分析している。中国では国家情報法等に基づき、団体や民間企業は国の情報収集活動への協力を義務付けられており、中国政府が組織委を通じ、アプリ内の個人情報を入手する恐れもある。米欧等は先月の段階から選手らにレンタルスマホ等の活用を推奨していたが、スポーツ庁が『日本オリンピック委員会(JOC)』を通じ、注意喚起を行なったのは、大会が開幕した今月4日だった。東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長ら一部はレンタルスマホを現地に持参したが、多くの関係者は既に個人のスマホを持ち込んでおり、「何故このタイミングなのか?」と困惑の声が出た。スポーツ庁は今月8日、帰国後の選手のスマホを検査し、来月4日開幕の北京冬季パラリンピックではスマホを貸し出す異例の措麗を発表した。中国に個人情報が漏れる危険性は、無料通信アプリ大手『LINE』の利用者情報が業務委託先の中国企業から閲覧できた問題等でも浮き彫りになった。今、日米は“究極の個人情報”とも言える自国民のゲーム情報も中国企業を介し、中国政府に流出しかねないという事態に神経を尖らせている。

「ゲノム界のファーウェイには気を付けたほうがいい」――。日本政府高官は先月、アメリカ政府関係者との協議で、こう警告を受けた。アメリカは安全保障上の懸念があるとして、中国通信大手の『華為技術(ファーウェイ)』に禁輸措置を講じる等、規制を強めた。同様の脅威に挙げられたのが、中国の広東省深圳に本社がある遺伝子解析会社『華大基因(BGI)』だ。BGIは1999年の創業で、日本やアメリカ、イギリス、デンマーク等に支社や研究所を置く。昨年6月の時点で全世界で940万人以上の出生前診断を行ない、13万人以上の癌ゲノム解析を行なってきた。新型コロナウイルスの感染拡大では、ゲノム技術を生かした検査キットを開発。180超の国・地域に販売・提供し、売り上げを伸ばした。その政府や議会、メディアで警戒感が高まっている。アメリカの大統領と議会に政策提言を行なう独立機関である。その急成長ぶりに、アメリカ等の政府や議会、メディアで警戒感が高まっている。アメリカの大統領と議会に政策提言を行なう独立機関である『人工知能に関する国家安全保障委員会(NSCAI)』は昨年3月の報告書で、「中国政府の為、世界的な遺伝子データの収集機能を担っている恐れがある」と警鐘を鳴らした。同年7月には、『ロイター通信』がBGIの出生前診断に関し、「遺伝子データが中国当局に渡る可能性がある」と報道。同年9月、共和党のトム・コットン上院議員らはロイド・オースティン国防長官ら宛ての公開書簡で、BGIの研究が生物兵器開発に応用されかねないとして、「我が国の外交、安全保障に反する活動を行なっている」と批判した。アメリカ商務省は2020年7月、新疆ウイグル自治区での遺伝子分析への関与を理由に、BGIの子会社を制裁対象に加えている。日本政府も、アメリカ等の動きを踏まえ、BGIの動向を注視している。昨年2月には、国が主導するゲノム解析事業について、国内に解析拠点がある等の条件を課し、BGIを事実上、2021年度から排除した。ただ、現在、民間企業や大学等が個別にBGIにゲノム解析を依頼することを制限する法的な枠組みはない。厚生労働省幹部は、「日本人のゲノム情報がBGIを通じ、中国政府の手に渡る可能性は否定できない」と懸念する。BGIが2011年に設立した日本法人のホームページには、昨日現在、主要取引先の一覧で72に上る大学や研究機関を紹介している。このうち、関西地方の国立大医学部の関係者は、「現在は行なっていないが、5~6年前にヒトゲノム研究で解析を依頼したことがある。兎に角、安価なことが理由だった」と明かした。政府のゲノム医療協議会メンバーの山口建氏(※『静岡県立静岡がんセンター』総長)は、「ゲノム医療の観点から見れば、BGIの関与は日本ではそれほど多くない筈だが、実態はよくわからない。医療ビジネスで安いサービスを利用することは当然、起き得る」と指摘する。BGI本社は本紙の取材に対し、「当社はゲノム解析事業を世界的に展開し、権威ある大学や研究機関と協力しており、各地の公衆衛生に積極的な貢献をしている」と強調。「各国の法律や指針に忠実に従っており、企業活動は厳しい国際的な規制に沿ったものだ」とコメントし、外部への情報流出の可能性を否定している。何故、日本ではゲノム解析で海外企業に頼らなければならないのか。背景には、日本企業の多くが高速で大量の遺伝子情報を読み解く装置である『次世代シーケンサー』の製造から撤退したことがある。次世代シーケンサーの市場は、アメリカの『イルミナ』やBGI等の海外勢が独占しているのが実情だ。アメリカがBGIへの圧力を強めるのは、安保政策上の理由に加え、医療や農業等幅広い分野で活用が広がるゲノム解析を巡り、中国と技術覇権争いを繰り広げている面もある。2015年まで次世代シーケンサーの製造事業を行なっていた『島津製作所』の広報担当者は、「日本は技術革新のスピードに全くついていけなかった。企業が生き残るのは厳しかった」と振り返った。政府は経済安全保障推進法案で宇宙やAI等の技術について、官民一体の育成支援に乗り出す。ただ、ゲノム関連技術の支援は更に今後の課題となる見通しだ。内閣官房幹部は焦りを露わにする。「推進法案で日本は経済安保強化の第一歩を漸く踏み出す。国境を越えてやり取りされる個人データの保護等、未着手の分野はまだまだ多い」。


キャプチャ  2022年2月17日付掲載
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