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【経済安保・見えない脅威】(02) 半導体、戦略の“武器”に

20220525 03
軍事的な緊張が高まるウクライナ情勢。アメリカのジョー・バイデン政権は、国境地帯に部隊を集結させるロシアへの対抗手段として、半導体の輸出規制を俎上に載せている。「ロシアが侵攻に踏み切った場合、異例の行動を取る準備をしておいてほしい」。アメリカの『国家安全保障会議(NSC)』高官は先月14日、大手『インテル』等が加盟する『全米半導体工業会(SIA)』幹部との電話会議でこう求めた。『ロイター通信』によると、SIA幹部は会議後、「NSCは第二次世界大戦後で最悪となる事態を想定し、あらゆる選択肢を積極的に検討しているようだった」と組織内に送ったメールで振り返った。日本政府高官は、「輸出規制が実現すれば、ロシアに大きな痛手となる。ただ、ロシアはその危機に備え、中国からの半導体供給も拡大している」と指摘する。社会のデジタル化が進展し、半導体は“産業のコメ”と呼ばれるようになった。家電製品や通信機器に加え、AI等軍事に活用される先職技術も支える。強力な供給(※サプライチェーン)を握れば、アメリカのように外交・安全保障戦略の“武器”として活用することも可能となる。日本は嘗て『NEC』や『東芝』等の国内メーカーが高性能な記憶媒体(※メモリー)開発で先頭を走り、1988年には世界シェアが50%を超えた。しかし、2019年は10%と存在感は薄くなるばかりだ。新型コロナウイルスの感染拡大では、国内需要の6割強を台湾や中国等からの輸入に頼る供給網の脆さが浮き彫りになった。

「実は給湯器が準備できない。来月の新居引き渡しを1ヵ月程度、遅らせてもらえませんか?」。昨年9月、神戸市垂水区の会社員、松本大輝さんの携帯電話に、同市灘区の工務店『あんじゅホーム』の担当者から、こう謝罪の連絡が入った。昨年秋から同社の深見宗久社長の元には、給湯器や浴室乾燥機等のメーカーから納品の遅れを知らせる通知が、連日のように届くようになった。コロナ禍で半導体の需要が世界的に高まり、各企業で調達が困難になったことが原因だった。半導体不足は自動車やゲーム機の減産、医療機器の生産停止等、甚大な影響を齎した。日本企業が半導体製造で出遅れたのは、バブル崩壊後の長期不況で大規模な投資ができなかったことが大きい。その間、韓国や台湾、中国は大規模な補助金や減税を通じ、国内企業を着実に育成してきた。日本政府も安定確保に向け、重い腰を上げた。昨年の臨時国会では関連法が成立し、国内に先端半導体の生産拠点を呼び込む為の基金が創設され、先ず6170億円が拠出された。補助の適用第一号は、半導体受託製造大手『台湾積体電路製造(TSMC)』が『ソニーグループ』の子会社と熊本県に作る工場となる予定だ。政府はTSMCに続き、『IBM』の工場誘致も進めている。米台との連携で国内供給網と国際競争力を強化する“一石二鳥”を目論む。経済安全保障推進法案では、半導体を特定重要物資の一つに指定し、安定確保に向けた支援を行なう見通しだ。ただ、先行国や台湾の投資額は桁違いで、技術の差を縮めるのは容易ではない。中国は中央政府の育成基金だけで約5兆円を投資しており、2030年には世界最大の製造拠点になる見通しだ。アメリカは今月、議会下院で半導体関連に5年間で約6兆円を投じる『全米競争法案』を可決した。TSMCの熊本工場で生産する半導体は、TSMCや韓国の『サムスン電子』の独壇場となっている最先端の回路線幅7㎚以下ではなく、10~20㎚台となる見通しだ。日本は人材育成も課題だ。熊本工場では、少なくとも1000人程度の人材が必要となる。国はTSMCの日本法人や九州大学等と人材育成の共同組織を設置する。尤も、共同組織の活動期間は3月の発足から僅か5年程度。今月7日、福岡市で行なわれた準備会合では、出席者から「人は簡単に育成できない。5年と言わず、もっと腰を据えて取り組んでほしい」と不安の声も出た。「カネも人も乏しい中、“日の丸半導体”の復権は、官民の資金集中と人材育成、時宜を得た国際連携のどれか一つが欠けても難しい」。半導体の国内メーカーの担当者は、こう厳しい見方を示した。


キャプチャ  2022年2月18日付掲載
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