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【佐藤祥子の「力士、燃ゆ」】(15) 玉鷲(片男波部屋)――趣味はお菓子作り、37歳の苦労人

37歳のベテラン力士が巻き起こす新風もある。幕内力士最高齢の玉鷲は、今年初場所、3月の春場所と、横綱の照ノ富士から連続で金星を挙げた。自身より大きな横綱を、春場所では、得意の突き押し相撲で土俵下まで押し倒し、その威力は未だ健在。まさに“横綱の天敵”なのだ。2004年初場所で前相撲を踏んで以来、18年間、1日も休場をしたことがない“土俵の鉄人”でもある。思い起こせば相撲経験のないまま、2003年の秋に東京大学大学院に通う姉を頼り、19歳で来日。モンゴルではホテルマンを目指して大学に通っていたが、姉と両国の街を歩いた際に同郷の鶴竜と出会い、大相撲の門を叩く決意をした。2008年9月場所で新入幕を果たすも、5年もの間、十両と幕内を往復し、実に五度もの再入幕経験を持つ苦労人でもある。花開いたのは32歳で新関脇になった2017年初場所。やっと存在感を知らしめた“スロースターター”なのだ。当時、「若い学生出身力士には負けたくないですね。先ずは優勝してみたい」と話していた玉鷲だったが、その夢が叶ったのは2年後、2019年の初場所のこと。34歳2ヵ月での初優勝は(年6場所制となった1958年以降)歴代2位の高齢記録となった。夢にまで見た優勝賜杯を抱いたその日、いつも笑顔を絶やさない玉鷲が、初めて大粒の涙を流した。第二子が誕生した日でもあり、「最高です!」と細い眼を一層細め、“玉鷲スマイル”を見せていたのを想い出す。「楽しく相撲を取りたいですね。土俵に上がったら、どうせ勝ちか負けのどっちかしかないので。だったら楽しんでやったほうがいいです」。常に茶目っ気たっぷりでジョークも冴え、春場所で初優勝した新関脇の若隆景に、「今度、相撲を教えてよ!」と微笑みかける。誰からも好かれる“愛されキャラ”だ。趣味はお菓子作りで、クッキーを焼くのは朝飯前。所属する片男波部屋の力士数は、たった4人だ。コロナ禍で出稽古がままならない中、コツコツと四股を踏み、弟弟子たちに胸を出す毎日を送っている。まさに“気は優しくて力持ち”・“丈夫で長持ち”を地で行く玉鷲は、“力士”の二文字よりも“お相撲さん”が似合う。


佐藤祥子(さとう・しょうこ) 相撲ライター。日本相撲協会認定・相撲健康体操指導員。1967年生まれ。週刊誌記者を経て、1993年からフリーに。著書に『相撲部屋ちゃんこ百景』(河出書房新社)・『知られざる大鵬』(集英社)等。


キャプチャ  2022年5月号掲載
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テーマ : 大相撲
ジャンル : スポーツ

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