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【中国共産党100年・強権解剖】第1部・源流(01) 革命理念捨て個人崇拝

14億の民を引っ張る中国共産党の創建から、今日で100年。中国は混乱を極めた貧困国家から、世界の覇者を狙う専制・強権国家へと変貌し、各地で緊張を高めている。波乱と矛盾に満ちた1世紀の歩みを辿りながら、危うい大国の行方を展望する。第1部は強国の源流に迫る。



20220527 09
「ラジオのスイッチをひねる。“毛主席語録”――女性アナウンサーのかん高い声が耳に飛び込んでくる。これが一日じゅう何十回となく繰り返される」――。1967年9月22日付の本紙1面の連載『わたしは追放された』で、元北京支局長の柴田穂が北京の様子をこう振り返っている。毛主席語録というのは、建国の父である毛沢東の論文や講演を抜粋した冊子のことで、「毛主席は我々にこう教えている」と事ある毎に読み上げるというのである。柴田は当時、毛沢東が発動した権力闘争の過程で無数の市民らが迫害を受けた『文化大革命』(※1966~1976年)の実情をありのままに報道し、中国当局によって北京を追放されたばかりだった。柴田によれば、会合等での演説で最初に必ず出てくる一句とは、「我々の心の中の最も赤い、最も赤い太陽である毛主席が長寿であることを、長寿であることを」だったらしい。最早、中国共産党の結党理念とは全く関係のない個人崇拝である。それから54年後の中国はどうか、というと――。「共産党がなければ新中国はない♪」。江西省の山岳地帯にある井岡山で、中国共産党を賛美する歌声が響く。100人近い団体はコスプレのような水色の軍服姿。手にするのは“党創建100周年を熱烈祝賀!”との垂れ幕だ。井岡山は、中国国民党軍等との戦いが続いた1927年に毛沢東の部隊が最初の根拠地とした“革命の聖地”。軍服は、人民解放軍の前身で紅軍と呼ばれた頃のものを模している。「所属部門の約200人で来た。各部門が其々、見学会を開いている」。江西省の国有鉄鋼会社で働く40代男性は、レンタルした紅軍服姿で話した。

現在、党を率いる総書記(※国家主席)の習近平は、こうした“紅色観光”を奨励している。その狙いは何か。党の苦難と栄光の歴史を叩き込むことで、習が提唱する“中華民族の偉大なる復興”の為に戦い抜く精神を人民に植え付けることにある。これもまた、北京の天安門広場に“世界人民大団結万歳”等と掲げられた結党理念から遠くかけ離れたスローガンだった。1921年7月に創建された中国共産党の草創期の史料を紐解くと、中華民族に言及する件は殆どない。各国の労働者階級を結束させ、共通の敵である資本主義と戦おうという国際主義的理念ばかりが強調されていた。当時の共産党軍は“労働者と小作農の代表”と自称し、国民党が主導する中華民国政府を“資本家と地主の代理人”と批判していた。1949年に成立した中華人民共和国が目指したのも、“搾取のない社会の実現”だった。毛沢東は建国当初、農村部を中心に、労働に応じた分配原則を中心とする集団経済のモデル『人民公社』を導入する等、共産主義的政策を試みた。だが、農民の労働意欲の低下等を招き失敗に終わり、毛の権威は大きく傷付く。窮地の毛沢東が党内で失った権力を奪取すべく発動したのが、文化大革命だった。青少年を扇動して紅衛兵を組織。毛主席語録の“金科玉条”化を進め、自らの絶対的権威を再び確立していく。その過程で共産主義を打ち立てるという理想は雲散し、個人崇拝が横行した。1976年に毛が死去すると、文革で失脚した鄧小平が復権、改革開放政策を掲げた。共産主義の理想を名実共に棚上げし、社会主義市場経済路線を進んだのである。中国共産党が第一回党大会を開催し、結党を公式に宣言した1921年7月当時、党員数は60人に満たなかったとされる。それが、1949年の建国時には約448万人に増えていた。以後、拡大を続けていく中で、転機が2001年に訪れる。中国が『世界貿易機関(WTO)』に加盟したこの年、当時の総書記(※国家主席)の江沢民が入党資格を拡大する方針を表明したのだ。江が提唱した“三つの代表”に基づく措置で、翌年、私営企業家にも入党の道が正式に開かれた。党創建時、打倒すべき敵であった資本家の入党を認めるに等しい大改革だったが、既に共産主義が目指すべき理想は空文化しており、入党資格は混乱なく緩和された。先月時点の党員数は約9514万人。これはドイツの人口(※約8300万人)を上回る。党員が1億人を超え、世界最大の政党である現インド与党のインド人民党に迫る勢いである。現在、世界で最も中国共産党の研究が進んでいるのは、中国共産党政権と対峙する台湾だ。台湾のシンクタンク『両岸政策研究会』副秘書長の張宇韶は、共産党の掲げる看板が掛け替えられてきた歴史についてこう指摘する。「共産党の最高指導者は、選挙で選ばれるわけでもなければ世襲でもない。猿の群れでボスを選ぶ時と同じ構図だ。力だけが問われ、理念も理想も全て後付けだ」。共産党創建100年を記念し、北京に開設された『党歴史展覧館』が先日、内外のメディアに公開され、その展示方式が関心を集めた。1921年に始まる党の歴史の展示コーナーが、①1949年までの革命・建国期②1978年までの社会主義建設期③2012年までの改革開放期④それ以降――の4期に分類されていた為だ。展示館は広大な面積を有しているにも拘わらず、鄧小平、江沢民、胡錦濤の3指導者を3期に押し込めてしまったわけだ。1期と2期の展示の中心は毛沢東であり、4期は習近平が独占している。

20220527 10
中国各地で展開されている共産党創建100年の祝賀キャンペーンでも、偉大な指導者としてクローズアップされているのは毛と習の2人に過ぎない。中国を世界第二位の経済大国に成長させた立役者である鄧でさえ、目立たなくなった。まるで毛と習の2人で共産党100年の歴史を作ったかのようだ。第一回党大会が開かれてから101年となる来年、第二十回党大会が行なわれ、習は総書記として異例の3期目入りを狙っている。2017年の第十九回党大会では、習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想(※習近平思想)が行動指針として党規約に盛り込まれた。党規約に、指導者名が“思想”として明記されているのは毛沢東と習だけである。習思想とは、“中華民族の偉大なる復興”の実現に向けて打ち出された強国路線に他ならない。21世紀半ばまでに、中国人民解放軍を世界最強のアメリカ軍のレベルまで引き上げること等を目標に掲げている。習が毛並みに、自らの権威を高めようとしているのは、中国の強国化を逸早く達成するためには、鄧小平以降の集団指導体制ではなく、毛のような独裁体制が必要不可欠と考えているからだ。台湾大学名誉教授の明居正(※政治学)は、「今の共産党指導部にとって、労働者階級の解放等党創建当時の理念は最早どうでもよくなった。民族主義をひたすら煽ることで国民を束ね、世界の覇者になることが彼らの目標だ」と説明。その上で、「一党独裁体制プラス民族主義で形成する巨大政権は、中国の国民にとっても周辺国にとっても災難に他ならない」と話した。 《敬称略》


キャプチャ  2021年7月1日付掲載



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