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【中国共産党100年・強権解剖】第1部・源流(06) “赤い資本家”役割強要

20220527 15
広東省深圳のオフィス街の広場に、金属製のオブジェがあった。そこには“党と一緒に起業しよう”というスローガンと共に、中国共産党を象徴する“鎌とハンマー”のデザインが配されている。目の前に聳えるのは、中国の国民的通信アプリ『微信(ウィーチャット)』を展開する『騰訊控股(テンセント)』の本社ビルだ。周囲には名だたる中国IT企業の拠点が集まる。習近平指導部は今、IT大手への締め付けを強めている。オブジェは「企業に“赤い遺伝子”を根付かせる」(地元紙)ことを象徴するもので、党が睨みを利かせているかのようだ。党とIT大手との緊張が一気に表面化したのは昨年秋。中国インターネット通販最大手『アリババ集団』傘下の『アントグループ』が計画していた株式上場が、直前になって延期に追い込まれたことだった。アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー、56)は共産党員でもある。その彼が中国金融当局の在り方に批判的な発言をし、習指導部の怒りを買ったことが直接のきっかけとみられている。だが背景にあるのは、中国の経済や社会に多大な影響力を持つようになったIT大手への党の警戒感だ。中国のメディア関係者は、「習指導部は、自由に事業を拡大させてきたIT大手による“弊害”が大きくなってきたとして、引き締めに舵を切った。つまり、影響力が大きくなり過ぎて統制が効き難くなったということだ」と説明する。

本紙元北京支局長の柴田穂は1967年10月11日付の紙面に、北京の路地で目の当たりにした光景を書いている。「男の子とその妹らしい二人。おとなが食べて、くずかごに捨てたスイカの皮をそっと拾って食べている」。その頃の中国は、権力闘争を背景に建国の父である毛沢東が大衆を動員し、繰り広げた政治運動『文化大革命』(※1966~1976年)の真っ最中。社会は混乱していた。「文革というおとなの世界の騒ぎのために、おきざりにされたこどもたち。これをみるのがたまらなかった」と柴田は振り返った。当時3歳だったジャック・マーも、浙江省杭州の貧しい家庭に生まれ育っている。共産党による建国後、政治と経済の混乱が続いた中国を一変させたのが鄧小平である。1978年に改革開放政策に踏み出し、“社会主義市場経済”を旗印に、深圳等の経済特区で海外資本を積極的に導入、市場経済への移行を急ピッチで進めていく。そんな改革開放の波に乗って、起業に成功したのがジャック・マーだった。鄧は資本家の力も活用した。代表的な存在が、“赤い資本家”との異名をとった栄毅仁(※1916-2005)である。有力な民族資本家だった父親の後を継いで、上海で繊維工場等を経営。新中国発足後も政府に資産を上納する等して、経済建設に協力した。文革で失脚したが、改革開放後、親交のあった鄧の要請で『中国国際信託投資公司(CITIC)』の創設者に。中国経済に欠かせなかった外資導入に貢献し、共産党との密接な関係によって国家副主席にまで上りつめている。栄の故郷である江蘇省無錫には、「国の経済建設と社会発展の為に貢献する」との彼の言葉が残されている。党は、ジャック・マーに現代の“赤い資本家”役を期待したのかもしれない。鄧小平以降、共産党の一党独裁体制を支えたのが経済成長だ。中国経済は、外資や民営企業の力を取り込むことで成長軌道に乗り、2010年にはGDPで日本を抜いて世界2位に。そして昨年末、国家主席(※総書記)の習近平が“脱貧困の達成”を宣言するに至っている。その成果の裏で直面したのが、制御しきれないまでに民営企業が巨大化した現実だった。党が全てを指導するという共産党の統治スタイルを揺るがしかねない事態である。習指導部は独占禁止法違反で今年4月、アリババに3000億円相当の罰金を科すと共に、テンセント等34社に一斉指導を行なった。只でさえ、米中対立の影響でIT業界は半導体等の調達に苦しんでいる。追い打ちをかけるのが、習による突然の統制強化だ。まるで、時代の先端を走るIT企業に、共産党が社会主義の“鎌とハンマー”を振り上げて服従を迫っているかのようである。だがそれは、イノベーションだけでなく、中国経済の活力をも奪いかねない。共産党自らの首を絞めることにもなる。 《敬称略》


キャプチャ  2021年7月6日付掲載
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