【特別対談】 “橋下徹的なもの”から日本を守る為に――適菜収(哲学者)×薬師院仁志(帝塚山学院大学教授)

20170317 13
適菜「私が最初に薬師院さんを知ったのは、“民主主義という錯覚”(PHP研究所)という本を読んだ時です。凄く面白かったので、お名前だけは覚えていたんですが、大阪で推新の会が暴走を始めた時に…」
薬師院「えぇ、一緒になって。あの時は大阪まで来てくれてありがとうございました。僕も(本誌の)適菜さんの記事を読ませて頂いて、『東京にも維新批判の援護射撃をしてくれる人がいる』と思って心強かった」
適菜「東京に住んでいるのに大阪のことが気になったのは、大阪だけの問題ではないからです。我が国の一番腐っている部分・病んでいる部分が、“橋下徹”という形で表面化した訳で。だから、橋下という生物を牢屋に閉じ込めたところで、社会が腐っている限り、同じことの繰り返しになります。逆に、橋下の正体を明らかにすることは、今の社会の問題点を浮き上がらせることに繋がる。先日出版した“安倍でもわかる政治思想入門”(KKベストセラーズ)の冒頭にも書いたのですが、フリードリッヒ・ニーチェがリヒャルト・ワーグナーを批判したんです。『危機状況を的確に掴むのは難しいが、個人という“拡大鏡”を通すとよく見えてくる』と。つまり、ニーチェはワーグナーという人物を通して、背後にある“ドイツ文化の虚偽”を告発した訳です。そういう意味で、あの段階で一番危ないのは橋下だった。それで、薬師院さんにも色々相談に乗って頂いた」

薬師院「東京の出版社の編集者と話すと、『橋下さんはもう終わった人でしょう』と言う。怖いのはこれからですよ。仮に政治家を引退したとしても、彼が作り出したものは日本中で拡大しています。僕は大阪にいて、世の中の雰囲気があっという間に変わったのを実感しています。アドルフ・ヒトラー時代のドイツも、数年の内に社会が変わった。よく“人心が乱れる”と言うけど、どんな世の中に暮らすかにより、人々の心の在り方は凄く変わる。荒んだ雰囲気になったり、温かい雰囲気になったり。政治のリーダーは人心を良い方向に持っていかなければならないのに、橋下はその逆をやったんです。私利私欲に走ることを“本音”と言い、『自称インテリが綺麗事を言っている』と、人々の心の汚いところ・悪いところを掻き立てていった」
適菜「“橋下的なもの”、悪性のニヒリズムが蔓延しているんです。『政治家は嘘を吐くのが当然』『政治家が本音を言う訳がない』等と、苦しめられている庶民の側が言い出すようになった。それで、自分たちの首を絞めるものを支持してしまう。最大の問題は、今のメディアが病んでいることです。橋下の大衆運動もメディアが支えていた。一方、橋下も自分に都合の悪い報道をするメディアに圧力をかけ続けた。大阪都構想は大衆運動です。維新の会は、嘘・デマ・プロパガンダにより大衆を扇動。公共の電波を使って『教育費を5倍にした』等とデマを流したり、グラフの目盛りを誤魔化したりと、やりたい放題だった。それに対する冷静な批判は、熱狂の中に飲み込まれてしまう。『大阪は変わるんだ。邪魔をするな』と。連中は意図的にデマを流したので、批判されても痛くも痒くもない。全て織り込み済みです。次のトピックを打ち出し続けることで、世の中を動かしていく。これはナチスの手法と同じです。安倍晋三現象や小池百合子現象もそうですが、批判者の言葉が届かないのは構造的な問題なんですね。また、今は偏向メディアがテンプレートを作っています」
薬師院「しかも、非常に単純な形で」
適菜「民進党が政権を批判したら『ブーメランだ』とか。事実関係の間違いを指摘すると、『言葉尻を突くのは左翼だ』とか。『民進党よりマシ』『安倍の他に誰がいるのか?』といった様々なテンプレートがあり、本質的な批判もそれに乗せて処理する訳です。脊髄反射で動いている人たちを効率的に誘導するシステムですね。だから、橋下現象以降、安倍現象や小池現象が発生したのは当然なんです」
薬師院「人々が根無し草になっているから、そんなものに動かされてしまう。同じ日本国民だとか同じ大阪人だとかいった感覚が失われて、地に足を付ける場が無い。だから、私的な利益しか見ようとせず、自分たちの暮らす日本や大阪にとってどうなのかを考えない。実際、大阪で橋下が徹底的にやったのはコミュニティー潰しです。町会を圧迫したり、公共施設を廃止したりして、地元で地に足を付けて生きる人々の場を奪っていった。市民を分断して、目先の損得しか見ないように仕向けたのです」

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適菜「全体主義者の典型的な手法です。中間共同体を破壊して、権力と個人を直接結び付けようとする。大阪では、新興住宅地は維新の会の支持率が高く、昔ながらの街は支持率が低いようですね」
薬師院「西区のように、新しいタワーマンションがどんどん建っているところは、維新の支持率が凄く高い。転出入率が非常に高いところです。つまり、長く住まない人たちが多い」
適菜「地元に対する愛着が無い訳ですね」
薬師院「所謂“大阪都構想”が住民投票で否決された時に、『シルバーデモクラシーだ』等とバカなことを言っていた人たちがいた。『年寄りに負けた』と。でも、年寄りは大阪で暮らしてきて、死ぬまで住む人たちです。高齢層に反対が多かった理由は明らかで、大阪に根付いているからです。『発想が古い』とか、『既得権益を持っている』とかいう話ではない」
適菜「抑々、住民投票自体が都構想の賛否を問うものではなかった。住民投票で賛成票が反対票を上回っても、“大阪都”にはならない。大阪市が潰され、大阪市民は自治権を失っただけです。その目的は、橋下本人が言うように、『大阪市が持っている権限・力・お金をむしり取る』(読売新聞2011年6月30日付)ことです」

薬師院「新しい住民と古い住民、永住者と短期居住者を統合するのが大阪市長の役割なのに、逆に分断して孤立化させた。すると、何もかもがテレビの中の他人事になってしまう。適菜さんが“安倍でもわかる政治思想入門”で書いたように、ポテトチップスを食べながらワイドショーを見ているだけで巨悪に加担してしまう状況ですね。ワイドショーの中の政治は“娯楽”ですよ。近所の定食屋で小池百合子知事を取り上げている昼のワイドショーを見たけど、あれは水戸黄門と同じ。“東京都議会のドン”という悪代官がいて、“正義の味方”の小池が退治するという劇場」
適菜「このパターンは、20年以上延々と繰り返されていますよね」
薬師院「非常に単純な選択肢を出して、片方にレッテルを張ってイエスかノーかと民意を問う。小泉政権の郵政民営化も、橋下の“既得権益の打破”も同じ。それこそテンプレートで、何パターンかの筋書きの中に事実を押し込んでしまう。ワイドショーで政治を見ている人は、水戸黄門を見ているのと同じ感覚なんです」
適菜「約束通りに憤既し、約束通りにカタルシスを得る。型に嵌っていないと不安になる。大衆は三度の飯より“改革”が好きです。“改革者が悪の巣窟に乗り込んでいって敵を倒す”という紙芝居を見たい。この根幹は近代啓蒙思想、進歩史観です。理想やスローガンを掲げることにより、『このままではダメだ』と現状を否定する。そのマイナスの感情を社会変革に利用するんです」
薬師院「戦前までの日本、特に農村は、よくも悪くも保守的で、昔ながらの生活を守っていた。でも戦後は、戦前的なものが否定されるようになる。だから、昭和20年代の青春映画のパターンは決まっていて、自由恋愛をした男女が親の決めた相手を振り切って結ばれるんです。親世代が守旧派で、若者が改革派という型に嵌った筋書きがウケたんですね」
適菜「その構図がメディアと連動する形で露骨に利用されるようになったのが、1993年に小沢一郎が連立政権を作った時ですね。守旧派と改革派という対立構造を作り、イメージ選挙をやった」
薬師院「高度経済成長の頃は、国の方向性がある程度明らかでした。日本企業の儲けは日本の儲けだったし、日本人の儲けになった。でも、今は必ずしもそうではない。トヨタ自動車が儲けたからといって、日本国内に利益を齎しているのかというと、そうでもない。人々の利害が一致しなくなってきたんですね。だから、改革といっても軸が無い。それで右往左往して、『兎に角、今はダメだから変えなきゃいけない』となってしまう。だから、右と左のイデオロギー対立なんて、あるだけ未だマシだったんですよ」

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適菜「抑々、この対談のきっかけとなったのは、薬師院さんからメールが来て、『適菜さん、“橋下は右でも左でもなく下である”とどこで書いたんでしたっけ?』と」
薬師院「そう。本誌でしたね」
適菜「あれは私の記事を紹介して頂いたのですか?」
薬師院「えぇ。住民投票での反対運動の時、私たちを批判する市民も多くいました。『自民党と日本共産党が一緒になって反対するのは野合だ』とか『既得権益だ』とか。でも、そうではない。『維新は右でも左でもなくて下なんだ』と。『私たちは右と左の議論を回復させたいんだ』と。典型的なのが、保育所の問題で自民党と日本共産党が揉めた時です。自民党は『現実的には民間参入をある程度認めるべきだ』と、日本共産党は『あくまでも公設公営でやるべきだ』と。ある意味、どちらも正しいのです。でも橋下は、1つの保育所に多くの子供を詰め込むとか、遠い保育所を紹介して入所を諦めさせるとか、そんなことをやり出した。当然、紙の上では待機児童の数は減った。それを“改革”と言うのです。そんな政策は、右でも左でもなく下です。日本共産党も自民党も怒りますよ」
適菜「必要なのは、きちんとした議論です。しかし、世の中に蔓延っているのは、『政治が停滞している』『議論しても仕方がない』『政治にはスピードが必要だ』といった空気です。そこに思考停止した連中が乗ってしまう。冷戦時代で思考停止した自称保守と左翼がテンプレートに乗って騒ぐことで、本質的な議論が隠蔽されている」

薬師院「左右の立場もはっきりしない。例えば、日本国憲法を『アメリカの押し付けだ』と言う者が在日アメリカ軍基地に賛成してしまう。改憲やアメリカ軍基地に賛否があるのは当然だけど、一貫性に欠けるのが問題」
適菜「自称保守も左翼も、今、何が発生しているかわかっていない。本誌の時評にも書きましたが、慶應義塾大学教授の金子勝が、自身のツイッターで安倍を“排外ナショナリスト”と批判していた」
薬師院「ナショナリストには見えない」
適菜「ナショナルなものを急進的に解体しているのが安倍でしょう。“外国人材”と言葉を誤魔化し、大量の移民を国内に入れようとしているグローバリストが、何故“排外ナショナリスト”になるのか。安倍は保守でも右翼でもない。戦後民主主義の帰結であり、周回遅れのグローバリストです。左翼もきちんと現状認識をしないと、安倍の暴走に棹差すことになります」
薬師院「移民を道具のような労働力としてしか見ていないんですよ。ヨーロッパの移民政策の失敗も、高度成長期に単なる労働力として移民を入れたからです。当初は出稼ぎのつもりでも、10年も20年も経てば状況は変わる訳です」
適菜「それで居ついてしまう。『帰れ』と言ったら、今度は人権問題になる。日本が多民族国家になれば当然、国柄も変化します」
適菜「イギリスのEU離脱も、アメリカのドナルド・トランプ現象やバーニー・サンダース現象も、グローバリズム、つまりネオコン的世界観への疑問が根底的なところにある。こうした中、如何わしい連中に煽て上げられた安倍が、グローバリズム路線を突き進んでいる訳です。これでは食い物にされるだけ。対米・対露・対韓…。外交も殆ど失敗していますね」
薬師院「目先の利益しか見ていないんですよ。北方領土周辺の開発とか経済協力とか。長い目で見た時に、日本の発展に繋がるのかということですね」
適菜「主権の問題です」
薬師院「そういうところが橋下とよく似ている。大阪府の財政は火の車ですが、地道に大阪を発展させようとは考えない。都構想とかカジノとか万博とか、『デカいことをブチ上げれば魔法のように解決する』と思っている。発想が博打なんですよ」

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適菜「大阪のあの手の連中の最終的な目的は何なんですか?」
薬師院「そんなものは無いでしょう。自転車操業ですよ。その場の損得、その場の勝ち負けで走っているだけです」
適菜「ハンナ・アーレントが指摘する通り、全体主義にはイデオロギーが無い。中心は空虚で、自転車のように漕ぎ続けることに大衆運動の本質がある。ただ、橋下の日本に対する恨みは根深いですね」
薬師院「大阪に対しても何か恨みがありますね。大阪市の公共財産を無くすことを“改革”と呼ぶ訳ですから」
適菜「橋下は『能や狂言が好きな人は変質者』と言い、文楽にも攻撃を仕掛けた。それに、“日本的”という言葉をマイナスの意味で使う。日本人が大嫌いだから、ギャンブル依存で社会が壊れようが知ったことではないんですね」
薬師院「日本的なものとか大阪的なものから切り離されることで、人間同士も離れて根無し草になる。だから、日本的なもの・伝統的なもの・古くから大阪にあるものを嫌うんです。橋下は、人が仲良くしているのが気に入らないんですよ」
適菜「こうなった時に大事なことは、人を繋げることだと思います。切断された個人と個人の関係を修復するのが、大衆社会に抵抗する方法です。この先の1世紀・2世紀のスパンで考えると、私は“愛”というキーワードが重要になると思います」

薬師院「左翼が問題なのは、愛国心を批判することですね。愛国心は、『皆で自分たちの為に良い国を作っていきましょう』ということです。でも、ナショナリズムとパトリオティズムを混同した乱暴な議論が横行したり、日の丸や君が代を踏み絵のように使ったりね」
適菜「愛国は“日本的なもの”を大切にすることですから、橋下や安倍のやっていることの対極です。安倍を批判すると、バカは『左翼だ』と反発しますが」
薬師院「フランス革命は愛国心によって国王を倒しました。だから、愛国心故に『日の丸・君が代の強制は良くない』という立場もありだと思うんです」
適菜「私が安倍や橋下を批判するのも、純粋な愛国心ですよ」
薬師院「橋下の君が代起立斉唱条例の時に、大阪自民が反対したんです。『愛国心を高めることと、“命令だから兎に角立て”というのは違うやろう』と」
適菜「まさにその通りです」
薬師院「それで口元をチェックすると。橋下がああいうことをやると、反対する人は愛国心そのものに嫌悪感を持ってしまうのです」
適菜「あの手の連中は、中間共同体の破壊に全精力を傾けます。今は農協が標的になっていますね。それを“愛国ビジネス”をやっている自称保守が支持するという間技けな現象が発生しているのが現在です。だから、問題は“右でも左でもなく下”なんです」
薬師院「文楽を攻撃したのもそうです。大した維持費でもないのに潰そうとした。『皆で守る財産、自分たちの代で壊してはならないものがある』という発想が、維新の会の人間には無いんです」
適菜「維新の会が赤バスを潰しましたね。『黒字になっていないから』と。コミュニティーバスが赤字になるのは当たり前でしょう」
薬師院「金儲けの為に100円のバスを走らせる訳がない。赤バスは高齢者や障害者の足となるマイクロバスで、車椅子や杖を使っている人にも優しい設計でした。初めから赤字になるのはわかっていたのです」
適菜「民間企業ではできないから行政がやる訳で」

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薬師院「今里筋線という新しい地下鉄は、半分しかできてないんです。平松市長の時に『計画通り延伸する』と市議会の全会一致で決議していたのですが、橋下は『赤字だ、反対だ』と騒ぎ立てた。今里筋線単体で見たら赤字ですよ。だけど、あれを造る目的は市バスが起こす交通渋滞の解消です。大阪全体の経済を考えれば、企業活動にもプラスになる」
適菜「抑々、地下鉄全体で維持できればいい訳ですよね。どうして単体で計算するんですか?」
薬師院「理由を付けて民営化したいのです。『完全民営にすればもっと黒字が出る』と。そりゃ出ますよ、赤字路線を止めれば。但し、儲かるのは株主です」
適菜「バカですね。行政がやるべきことの真逆をやってしまっている」
薬師院「郵便局だって、北海道から沖縄まではがきの値段は同じです」
適菜「当然、僻地になるほど赤字になる。それを前提で制度が作られている。常識が通用しない世の中になってきましたね。『水道を民営化してはいけない』とか、その辺りの常識まで吹っ飛んでいる」
薬師院「だから愛国心が無いんです。『北海道の利尻島とか礼文島に住んでいる人にも、同じ日本人なら同じ値段で年賀状くらい出せるようにしよう』と普通は考える。でも、維新支持者の発想は、『俺たちは関係ない。田舎のヤツからは応分のカネを取れ』となってしまう」

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適菜「国家の意味を理解していない。そのうち、『軍隊も民営化しろ』と言い出すかもしれない。小泉進次郎も農協改革とかバカなことを言っていました。『農協が農家から手数料を取るのはけしからん』と。それで改革者気取りな訳です」
薬師院「経済政策の目的は、富の恩恵を皆に分け与えることです。だから、皆に仕事が行き渡るように、多少無駄な雇用でも作ればいいんですよ。人心を荒廃させない為に。だけど、今の日本では誰もが『自分の仕事を奪われるのではないか?』と疑心暗鬼になって、自己保身と足の引っ張り合いが横行しています」
適菜「それで、『カネだけしか頼るものがない』となってしまう。でも、大金持ちは遊んで暮らせるのに働いている。貧乏人が誤解しているように、金持ちはカネを持っていることに幸せを感じていない。彼らが働くのは、働くことに価値を認めているからであり、他人と共同作業をしたり、信頼関係を築くのが楽しいからです。連中はそれがわからない」
薬師院「カネを稼ぐことが自己目的化すると、極端にそれに走るしかなくなる。でも、松下幸之助も大金を稼いで私利を得たから偉い訳ではないですよね」
適菜「水道哲学ですね。『水道水のように、低価格で良質な電化製品を社会に行き渡らせよう』と」
薬師院「Appleのスティーブ・ジョブズが尊敬されるのは、稼いだ金額の為じゃなくて、情報通信の世界に革新を齎したからです。昔の実業家は社会に貢献しようとしたし、ビル・ゲイツも格差社会を批判している。人が幸福かどうかは、世の中の良し悪しに左右される。だから、いい社会を作ろうとする者が尊敬されるのです。逆に、カネだけしか目に入らない人間は尊敬されないし、自分の生き甲斐も見つけられない」

適菜「メディアが煽る“与党vs野党”・“右vs左”・“保守vs革新”といった表層的な対立関係に呑み込まれずに、もう少し真面目に政治・経済・国防について考えないと危ない時代になってきました」
薬師院「テレビのワイドショーを見て『既得権益は潰せ』と言うのではなく、同じ日本人として考えなければダメですね。新聞の悩み相談で、『自分が勤めている小さい会社では有給取ることができない』とあった。それを見て『そうやろ。そんなものだ』と思うのか、『中小企業で有休を取るのは難しいのが現状だけど、皆が有休を取れる世の中にしていこう』と考えるのか」
適菜「今は前者がテンプレートになっているんです。『弱者は甘えるな』と」
薬師院「人の足を引っ張っても幸せにならないのにね。次は自分が切られるのが怖くて、皆が自己保身に必死になる」
適菜「そうすると、もう全体がシュリンクしてしまう」
薬師院「“安倍でもわかる政治思想入門”に、東京都選挙区で当選した元バレーボール選手の朝日健太郎の話が出てきますよね。自民党の改憲問題について質問されると、朝日は『新人なんで党の方針に従うだけです』と答えたと。要するに、国民を見ていないんですよ。党の偉い先輩方に睨まれないことしか考えていない」
適菜「党中央に権力が集中する政治システムになっているので、1年生議員は何も言えないんです。次の公認の問題もあるし、財布も握られている。余計なことを言えば怒られるし」
薬師院「そこなんですね。国民がそれを『仕方ない』と考えるのか、『おかしい』と考えるのか」
適菜「それを言うのが議員の役割でしょう。私は自民党の1年生議員にそう言ったんです。そしたら、『政治家には切るべきカードは1枚しかない。今はその時期ではない』と。でも、今やらなければ次が無いんですよ」
薬師院「政治家たち自身が、右や左の主張をせずに下に向かっている」
適菜「所謂“改革バカ”は、ディべートが好きなんです。それで『相手を論破した』と騒ぐ。でも、政治に求められているのはディペートではなくて、議論です。勝ち負けではなく、合意形成と説得です。橋下は、『僕が直接選挙で選ばれているので、最後は僕が民意だ』『(選挙は)ある種の白紙委任だ』と言う。菅直人も、『議会制民主主義というのは期限を区切った独裁』と言っている。安倍も同じようなことを言っていた。これは大間違いです」

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薬師院「皆、ダイエット食品を選ぶような感覚で投票している。『痩せなかったから別のにしよう』と」
適菜「『自民党がダメだから民主党だ』『民主党がダメだから今度は安倍だ』と。イメージ操作に乗って買ってしまう」
薬師院「安易にダイエット食品に頼る前に、自ら摂生や運動を考えるべき」
適菜「社会学に“選択的強制”という言葉がありますよね」
薬師院「形は選択だけど、特定の回答に支持が集まるように選択肢を操作しておく。社会調査のインチキ技法です」
適菜「あの手の詐欺が頻繁に行われています。問題は“何が呈示されているか”です。その背後にあるものを見抜かなければならない。賢くなるしかないんでしょうけど」
薬師院「本当は、指導者が『短絡的に考えるのは止めましょう』と言わなければならない。日本でそう言うと“上から目線”と批判されるけど、知識を私物化せずに分け与えるのがエリートの役割」
適菜「でも、社会全体が腐っている場合はどうすればいいんですか?」
薬師院「“改革”と叫ぶだけの空手形で、下に扇動されていることに気付かないと」
適菜「いい加減、目を覚まさないと危ないということですね」
薬師院「足の引っ張り合いで、自分たちが暮らす町、自分たちの国を壊してしまってからでは遅いんです。そうなれば、誰も幸福になれません」


キャプチャ  2017年2月号掲載

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