【霞が関2017春】(03) 霞が関の明かりは消えず…官僚たちの長時間労働

官民で取り組む働き方改革。今年の春季労使交渉では、賃上げだけでなく、仕事と育児の両立等、働き方にも焦点が当たった。企業では労使で労働環境の改善が進むが、官僚が働く霞が関の官庁街では未だに深夜まで明かりが灯る。常態化する長時間労働は、霞が関の人材確保にも支障を来しかねない。「業務に支障の無い範囲で、本日は早い時間の退庁を目指しましょう。プレミアムフライデーを通じて、働き方改革と消費の喚起を経済産業省が先頭を切って取り組みたい」――。先月24日の金曜日。早期退勤を促すプレミアムフライデーの初日、経産省で放送が流れた。声の主は世耕弘成大臣。旗振り役として省内の職員に早期退庁を呼びかけ、自身は退庁後にカーリングで汗を流した。しかし、省庁が集まる霞が関で早期に退庁する職員はほぼ皆無。開会中の国会で来年度予算案の審議を抱える財務省の職員は、「週明けには国会がある。早期退庁なんてできる訳がない」とあっけらかんと語る。大臣や幹部の国会答弁の作成や資料作り等、国会対応は官僚の重要業務。「旗振り役の経産省以外で、真剣にプレミアムフライデーに取り組む官庁は無い」(経済官庁幹部)。夜更けまで建物内の明かりが灯る不夜城の霞が関。20代の若手官僚は、「仕事が終わって帰る時は大体、終電かタクシー」とぼやく。仕事が長引く原因の1つが、国会での答弁や法案の作成だ。特に国会の開会中は、限られた時間内で間に合わせなければいけない為、残業や深夜勤務の温床になっているのが現状だ。「これで改め文の作成がだいぶ楽になる」。今年1月、霞が関で、各省庁が法律の改正案等をパソコンで自動作成できる新システムが本格稼働した。

“改め文”とは、法律や政令等を改正する際に作る文章。現行法と改正法でどの部分が変わるかを示した新旧対照表を作り、それを基に改め文を作る。各省庁の中堅職員らが作成する改め文は決まった形式等があり、“職人芸”が求められる。大がかりな改正法案では、改め文の作成に50時間ほどかかることもあるが、システムを使えば僅か数十秒でできる。ITの活用は、国会答弁の作成でも進む。経産省は、人工知能(AI)で国会答弁の下書きを作る実証実験を実施。過去5年分の国会議事録をAIに学習させ、参考になる過去の答弁を分析・整理する。国会答弁は法案作成等に比べて締め切りが短く、職員の負担も集中し易い。経産省は実証実験の結果を踏まえ、将来の実用化を模索する。人事院が国家公務員の新人を対象に実施した昨年のアンケート調査で、公務の魅力向上と人材確保に繋がる施策を複数回答で尋ねたところ、「超過勤務や深夜勤務の縮減を図ること」が57.5%で最も多かった。次いで仕事と育児・介護の両立支援(48%)、フレックスタイム制等働き方改革の推進(46.3%)の順となり、上位3つが労働環境の改善を指摘する回答だった。2015年度の総合職試験(※2011年度までは1種試験)の申込者数は2万4297人と、10年前に比べて約2割減った。景気が上向く時期は民間企業の採用意欲が活発になる為、国家公務員の申込者数は減り易いが、最近は就職活動時にプライベートの充実を求める学生も目立つ。来月、製薬会社に就職する有名私大の学生は、「就職活動では、プライベートの充実や休暇がちゃんと取れるかを優先した。官僚になることは考えていなかった」と話す。経済官庁の中堅官僚は、「働き方改革の政策作りに取り組んでいるのに、自分たちの職場の改革は中々進まない」と自嘲気味に話す。民間より出遅れ気味な霞が関の働き方改革。その成否は、将来の人材確保にも繋がっている。 (池田将)


⦿日本経済新聞電子版 2017年3月21日付掲載⦿
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