【霞が関2017春】(04) 日本、IoT規格で独を追う…背後には中韓

日本政府が、あらゆるモノがインターネットに繋がるIoT分野で、ドイツ政府との連携強化を打ち出した。その柱となるのが、『国際標準化機構(ISO)』のような国際規格の共同提案だ。実は、ドイツはこの分野で最も影響力を持つ国の1つ。“強国”と組むことで、日本発の技術が次世代のスタンダードに採用され易くする狙いがある。日独両政府は、今月20日からドイツで開催されたITの見本市『CeBIT』に先立ち、『ハノーバー宣言』を出し、互いに連携を強化することを打ち出した。その中心となるのが、IoT関連の規格策定だ。両国の首相も、CeBIT開幕前の挨拶で、「モノ・人が皆繋がる時代には、共通の規格が必要になる」(安倍晋三首相)、「規格の標準化や統一なくして、これからの社会は成り立たない」(アンゲラ・メルケル首相)と、規格の重要性を訴えた。国際規格は、螺子の形状からIoTの仕組みに至るまで、幅広く存在する。有名なISOのような標準化機関は他にもあり、特にIT分野は『国際電気標準会議(IEC)』で国際標準の規格が決まることが多い。規格に準拠しているかどうかは、製品やサービスの輸出入に直結する為、各国は自国企業に有利な規格の策定に向け、凌ぎを削っている。ドイツは伝統的に、この分野で強い影響力を持つ。例えば、ノートや印刷紙のA3やA4といった寸法。これも、元々はドイツ国内の規格が国際規格化したものだ。

ドイツの強さを物語る数字もある。現在、各標準化機関には、議長等、計約950の幹部ポストがある。この内、ドイツは2割弱の約170ポストに、自国企業の幹部等を送り込んでいるのだ。勿論、主要国ではトップのポスト獲得数だ。ドイツは、『シーメンス』のような自国のグローバル企業を通じ、『ヨーロッパ連合(EU)』を中心に、各国国内の規格関連団体に人も送り込む。ISOでの規格の策定は、最後は1国1票の投票で決まる。「いざ投票をしてみたら、『ヨーロッパ勢の票が全てドイツの影響下にあった』という事態がままある」(経済産業省幹部)といい、政治的要素が強い。日本は現在、95ポストを押さえており、第3位につける。重要ポストでもあるIEC会長も、昨年末までは『パナソニック』の野村淳二顧問だったが、任期を終えて今年1月からはアメリカに移った。経済産業省の世耕弘成大臣は、「今後はポスト獲得に力を入れる」と話す。日本の危機感の背景には、中国の存在がある。中国は、ここ10年の間でポスト獲得数を約6倍に伸ばす等、国際規格分野に力を入れ始めている。現在のISO会長は『鞍山鉄鋼集団』の張暁剛氏で、通信分野の国際規格を作る『国際電気通信連合(ITU)』の事務総局長も、中国の元通信官僚・趙厚麟氏が務める。日本企業のライバルも、有望な若手を規格担当に投入する等、力を入れる。韓国の『サムスン電子』は、国際規格の策定担当部門だけで150人を配置している。技術は良いのに、国際的なスタンダードにならない――。日本の技術がこれまで歩んできた“悲しきガラパゴス化”の道を避けられるか。ドイツとの連携は、その試金石になりそうだ。 (八十島綾平)


⦿日本経済新聞電子版 2017年3月28日付掲載⦿
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