何故今になって創価学会の事件や事実を歪曲させる評論が多いのか――学会が“世界3大宗教”に!? 評論する人・しない人への疑問

20160630 05
有識者や知識人は、創価学会をどのように見ているのだろうか――。蛇蝎の如く嫌う人、冷めた目で見ている人、関わりたくなく無視している人。また、少数派ながら池田大作名誉会長の言動に共鳴し、創価学会を絶賛した著書を持つ知識人もいる。少し古い話になるが、二十数年前、筆者は歯に衣着せぬ著名な女性評論家を訪ね、「創価学会をどう思いますか?」と訊ねたことがあった。回答は、「言いたいことは沢山あるけど、あそこは何かと煩いから、私のコメントを活字にするなら取材はお断り」。同じく、ベストセラーの著書を持つ辛口の女性評論家に、同じ質問をしたところ、似たような理由で「若し私のコメントを使うなら匿名にして」と、腰が引けたつれない返事を貰ったことがある。“評論家”の肩書きを持って生きる著名人にしては、少しばかり情けない回答だった。勿論十人十色、創価学会をどのように評価し、どんな説を唱えようとも自由である。例えば、北海道大学大学院法学研究科の吉田徹教授は、「…池田SGI会長が提言(※今年1月末に発表した『SGIの日記念提言=万人の尊厳 平和への大道』)で言及している“誰も置き去りにしない”との指針を掲げた国連の“持続可能な開発のための2030アジェンダ”の目標、また、深刻な人道危機に対して各国の協調を促す“世界人道サミット”は、グローバルな問題意識を深めるとともに、実効性のある政策を打ち出すことに貢献するものと思われます。…」(『聖教新聞』3月18日付)。また、北陸学院大学の橋本和幸教授も、先の“SGI提言”の読後感として、同紙3月21日付にこう寄稿している。「池田SGI(創価学会インタナショナル)会長が提言を通じて、環境や人道をはじめとする現代社会の根底的テーマを率直かつ的確に論じ、解決に向けた実践的方向を明示されたことに感銘しました。…提言の随所に、人間の普遍的な崇高さを感じた次第です」。人間の普遍的な崇高さを感じる――。池田名誉会長の提唱が、現職の大学教授たちからこのような評価を得たら、会員たちは躍りあがらんばかりに歓喜し、他方、非学会員も少しばかり注目するに違いない。こと宗教は、心を鷲掴みにするような精神の支柱である。選択した宗教の違いで価値観や思考が大きく変化し、歩む人生や家族にまで甚大な影響を与えてしまう。著名人が太鼓判を押した宗教だから間違いない。或いは、有名な芸能人が会員だから、また、特定の宗教を絶賛する著書に感化されて入信を決意するケースも少なくない。結果、平穏な人生を送るなら救われる。だが、逆に取り返しのつかない金銭的な被害、場合によっては家庭までが破綻する事例が、これまでも多く発生してきた。ついては、とりわけ、社会に一定の影響力を持つ著名人が宗教団体を評価する時は、慎重にして冷静な分析力が求められる。間違っても誤った分析を重ねてヨイショしたり、絶賛する論評は戴けない。

作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏は、このところメディアの露出度が高く、多くの著書も出版している。『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)はその代表的な著書だが、創価学会に関する著書もまた多い。『地球時代の哲学 池田・トインビー対談を読み解く』(潮出版社)・『創価学会と平和主義』(朝日新聞出版)・『“池田大作 大学講演”を読み解く 世界宗教の条件』(潮出版社)・『創価学会を語る』(第三文明社)である。非学会員である1人の著名人が創価学会について、これほど多くの著書を出版している等、前例が無い。その内の1冊で、現在、ベストセラーと言われる『創価学会を語る』を手にしてみた。同著は元々、創価学会系列の出版社の月刊誌『第三文明』に、『創価学会とは何か』のタイトルで連載(昨年2月号~今年1月号)した対談を加筆・修正したものだ。対談の相手は、創価大学卒で元日蓮正宗僧侶の経歴を持ち、東日本国際大学教授でもある松岡幹夫氏である。先ず“まえがき”から、度肝を抜かれたのが次の一節である。「日本の小さな枠を考えてはいけません。創価学会は、これから日本発の初めての世界宗教になっていきます。将来、世界の3大宗教はキリスト教・イスラム教・創価学会になるでしょう」「池田先生が悟りを開いているのは、信仰を異にする私でさえわかります。客観的に見て、そうとしか言いようがない。これまで成し遂げてきたこと、これから成し遂げつつあること、立ち振る舞いに至るまで、すべてが悟りの客観的な証明です」「釈尊では遠すぎる。日蓮から始まる仏教にしなければならない。池田先生を中心にする教学をつくるべきです」。対談相手の松岡氏に、佐藤氏がこう語っていたと紹介し、「佐藤氏は21世紀に現れた人間の諸天善神であろう」と書かれている。創価学会の熱心な会員たちが語るなら、「そうですか」と反論することも無く、簡単に受け流せよう。だが、社会に広く認知されている著名人が、「将来、創価学会は世界の3大宗教になる」との予言はどうだろうか。宗教学を修めた大学教授や、著名な宗教学者の口や著書から、このような突拍子もない予言を聞いたことや読んだこともない。抑々“将来”とは、いつ頃のことなのか。地球が生存しているかどうかは不明だが、まさか1000年先か2000年先を指すのだろうか。 同会が創始されて未だ100年足らずである。その間に、既に宗教団体の支柱と言われる“本尊”をクルクルと変更し、組織を揺るがすような内紛も何度か起こしてきた。こうした宗教団体の“将来”を占うなら、過去の歴史を吟味し、現状の活動状況の精細な分析が要求されよう。実際、創価学会が何故、将来の“世界3大宗教”に発展するのか、『創価学会を語る』には、読者に「なるほど」と納得させるだけの論証が無い。会員はさておき、これなら非会員による宗教の選択を迷わせてしまうことになる。

更に同著を読んでいて、幾つもの疑問が湧いた。繰り返すが、創価学会に対し、どのような見方をして、どう評価しようとも自由である。だが、歴史上の事実記述だけは正確でなければならない。例えば“大阪事件”である。大阪事件とは、1957年4月に実施された参議院大阪地方区の補欠選挙で、創価学会員から選挙違反者が出て逮捕。選挙支援の責任者だった池田大作氏(当時は渉外部長)が逮捕・拘留された事件である。当時の朝日新聞(1957年7月29日付夕刊)は、こう報じている。

創価学会幹部45人起訴
【大阪発】大阪地検は、去る4月に行われた参議院大阪地方区補選での創価学会幹部らの公選法違反事件について、29日、同学会本部理事長、東京都議小泉隆(48)ら45人を買収で、(うち2人は略式請求)同渉外部長池田大作(29)ら3人を戸別訪問で、それぞれ起訴した。起訴状によると、この選挙で、小泉理事長は主として“実弾作戦”を、池田渉外部長は個別訪問をそれぞれ担当…府下約6万世帯の信者のほとんどを戸別訪問に動員したもの。投票数日前には、“タバコ戦術”として職安十数ヵ所で、日雇い労務者に候補者名を書いたピースなど約4000個バラまいたという。

その後、公判の結果は「池田以外の20人の創価学会員に対し戸別訪問で罰金1万円から3000円、うち、10人を公民権停止3年、7人に同2年の判決が言い渡されている」。当時、渉外部長だった池田大作氏も逮捕されたが、戸別訪問指示の立証ができず、無罪になっている。この事件について、『創価学会を語る』は以下のような対談になっている。

松岡「大阪事件は、戦後の創価学会の急成長に危機感を抱いた国家権力による弾圧であったという解釈は、池田会長による“人間革命”にも書かれているほどで学会の公式見解とも言えます」
佐藤「大阪事件というのは、ヤクザが因縁をつけるようなたぐいの話ですよ。ごく一部の会員による小さな選挙違反を…実際には、組織ぐるみではなかったわけで…」

大阪事件は国家権力による弾圧? ヤクザが因縁をつけるような小さな話? 果たしてそうだったろうか。20人もの創価学会員が有罪判決を受けている選挙違反事件のどこが、ヤクザが因縁をつけるような類の話で、組織ぐるみではないというのだろうか。

20160630 06
最後にもう一点、『創価学会を語る』で見逃せないのは、“言論出版妨害事件”に関する対談である。もう46年前の1970年に前後して起きた事件で、中高年の年代層でも記憶が薄れてしまっているが、日本の言論史にも残る重大な事件である。政治評論家で明治大学法学部教授だった藤原弘達氏が、『創価学会を斬る』(日新報道)を出版した。この出版を事前に察知した創価学会から著者や出版社に、手紙や葉書で「殺す!」といった脅迫文が段ボールで数箱分。更には、鳴り止まない脅迫電話も続き、他にも書籍取次店・書店・広告代理店等に向けた出版妨害。その上、公明党が政治権力を利用し、時の自民党幹事長であった田中角栄まで出版中止の為に暗躍させたことから、同事件の言及は国会にまで飛び火した。もう半世紀前に近い事件になっているが、事件に深く関与した公明党元議員・創価学会元幹部・出版当事者やジャーナリストたちの証言記録が数多く残されている。国民の衆目を集めた同事件は、池田大作会長の“お詫び講演”(1970年5月3日)を最後に終息に向かったが、『創価学会を語る』では、こんな対談になっているのだ。

松岡「私は、これは“言論出版妨害”というほどの大げさな出来事ではなく、学会側の“要望”を著者側に伝えたにすぎないと思います」
佐藤「民間団体が、自分たちに対する誹謗中傷を書き連ねて書物を刊行されると予告されたとき、『やめてくれ』と要望を伝えることが間違いでしょうか。私は間違いではないと思います。…」

要望? 出版中止の為に政党の委員長や書記長が工作し、水面下で時の政権幹事長まで引っ張り出していた。若し、この事件が創価学会の“要望”だったというなら、池田大作会長が「今後は、二度と、同じ轍を踏んではならぬと猛省したいのであります。関係者を始め、国民の皆さんに多大のご迷惑をおかけしましたことを率直にお詫び申し上げます」と全面謝罪した“お詫び発言”は、その場逃れの真っ赤な嘘だったのか。その直後、国会で言論出版妨害を激しく批判した日本共産党の宮本顕治委員長(当時)宅を、創価学会グループが深夜、自宅前の電信柱に攀じ登って盗聴していた。東京高等裁判所判決(1988年4月。創価学会側は上告を取り下げた)は、同会による組織犯罪と認定している。先の言論出版妨害事件と連動して、創価学会が公党の委員長宅に仕掛けた盗聴事件のことを、佐藤氏は知らなかったのだろうか。ことほど左様に『創価学会を語る』には、都合が悪い歴史的事実を歪曲・抹消しているのだ。また、“安保法案”の成立に反対している一部の学会員に対して佐藤氏は、こう警告した。「今は学会員の方々は“沈黙すべき時”であり、公明党議員を信頼してまかせるべき時だと思います。【中略】次の50年の間には公明党首班政権ができて不思議はないわけで、今はそのための布告の時期、将来の勝利のための試練の時期なのです」。この文言に対し、インターネットで発信している佐藤氏とは“身内”の相互関係にある『元創価学会職員3名のブログ』が、こう反論していた。「師匠(※池田名誉会長)はいつ『沈黙しろ』などと言われたことがあるでしょうか。…むしろ池田先生は明確に言われている。『戦いにあって沈黙は悪だ! 正義は叫ぶものだ! 叫ぶことのない正義はありえない!』。…さらに戸田先生(2代、城聖会長)も明確に仰る。『青年よ、心して政治を監視せよ』と」――。


段勲(だん・いさお) フリージャーナリスト。1947年、宮城県生まれ。東洋大学文学部卒。『週刊ポスト』記者を経てフリーに。宗教・社会問題・人物・健康等について幅広く執筆。著書に『千昌夫の教訓』(小学館文庫)・『創価学会インタナショナルの実像 池田会長が顕彰を求める理由』『反人間革命 創価学会へ入信した男の一生』(共にリム出版新社)・『定ときみ江 “差別の病”を生きる』(九天社)等。


キャプチャ  2016年5月号掲載

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