【激流韓国】(04) 「財閥は憎まれ役」

20170403 15
ひな壇に、副会長で事実上の経営トップ・李在鎔(48・左画像中央)の姿は無かった。昨日午前、『サムスン電子』がソウル市内で開いた定時株主総会。李が前大統領の朴槿恵とその友人・崔順実側への巨額賄賂で逮捕されたのは、約1ヵ月前。昨年10月に取締役に就き、「法律上も経営に責任を負う“3代目”として新たな戦略を語る機会になる」とみられていたが、「物議を醸して申し訳ない」と別の幹部が事件を謝罪する場に変わった。「経営の空白を作ってはならない」。李は、ソウル拘置所から幹部に指示を出している。2坪の独房を出られるのは、弁護士を除くと1日1回だけの面会と30分の運動時間だけ。食事は1回千数百ウォン(百数十円)相当の質素な内容。食器は洗面台で自分で洗う。

今月16日、母親の洪羅喜(71)が面会に訪れ、身柄拘束以来初めて家族と顔を合わせた。李の苦難に、胸が空く思いを抱く人は少なくない。「財閥は国民の憎まれ役」。大手財閥の幹部は語る。そのオーナー経営者は、偏る富の象徴だ。大統領選出馬を表明した第2野党『国民の党』前共同代表の安哲秀(55)は、「財閥傘下の企業は悪くない。悪いのは創業家だ」と攻撃の矛先を向ける。だが、韓国はサムスンを筆頭とする財閥に頼って国力を高めてきたのも、動かし難い事実だ。来年2月に開かれる韓国初の冬季オリンピック、平昌大会。2009年12月、オリンピック招致活動の為に、当時の李明博政権は、背任罪で懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を受けていたサムスン電子会長の李健熙(75)を特赦した。国際人脈豊かな李を身綺麗にして、招致活動の先頭に立ってもらう為だった。世論の反発は無く、開催決定に韓国は歓喜した。サムスンの40代男性社員は、「次期政権も李副会長にきっと頼ろうとする時が来る」と語る。「口では文句を言うけど、『サムスンが潰れたら一大事』と皆が思っている」(中小財閥で働く30代の女性社員)。ある時は憎まれ役、ある時は国の命運さえ託す綱。一連の朴槿恵スキャンダルは、財閥への愛憎半ばする複雑な国民感情と韓国のジレンマを、余すところなく浮き彫りにした。 《敬称略》 =おわり

               ◇

峯岸博・山田健一・加藤宏一が担当しました。


⦿日本経済新聞 2017年3月25日付掲載⦿
スポンサーサイト

テーマ : 中朝韓ニュース
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR