【遺伝子検査の死角】(上) 顧客の秘密、自宅本棚に

20170404 03
国が2012年度時点で遺伝子検査に携わっていることを確認した国内87社の内、29社が今年1月までに倒産等で事業から撤退していたことが、読売新聞の調べでわかった。この他、10社は所在が不明で、全体の4割を超える計39社で、“究極の個人情報”と呼ばれる遺伝子情報の管理に懸念が生じている。国は、遺伝子検査ビジネスに厳格な法規制が無いことを重くみており、業界の実態調査に乗り出した。問題となっているのは、医療機関による検査ではなく、唾液等の検体を業者に送ると検査結果が返ってくるビジネス。人間の全遺伝情報(ヒトゲノム)が解読された2003年以降、技術の発展で検査費用が1回数万円程度に下がり、IT企業等が続々と参入した。経済産業省による2012年度の委託調査では、87社に上った。インターネット上で「癌等の病気の発症リスクがわかる」「子供が運動や音楽の才能を持っているかがわかる」等と宣伝し、実際の検査は民間検査機関に委託して、検査結果を基に顧客向けの報告を纏めている業者が多い。昨年12月~今年1月の取材では、約半数の42社は事業継続が確認できたが、29社は既に撤退していた。撤退後、遺伝子情報を消去・廃棄する等のルールは存在せず、数千人分を持ち続ける業者や、紙のファイルに束ねて放置している業者等が確認できた。事業の継続・撤退が判明しなかった16社の内、9社は法人登記が無く、1社は所在地や連絡先が不明。6社は連絡が取れたが、取材を拒否した。『国民生活センター』によると、遺伝子検査を行う企業に関し、「業者と連絡が取れない」「同じ検体を2度送ったら異なる結果が返ってきた」といった苦情が、昨年1月までに365件寄せられ、その後も相次いでいるという。『日本医学会』は2012年、「検査ビジネスの信用性に疑問がある」とする見解を表明。政府の有識者会議は昨秋の取り纏めで、検査の科学的水準確保や情報管理の必要性に言及した。これを受け、厚生労働省の研究班が業界の実態調査を進めている。個人情報保護に詳しい岡村久道弁護士は、「遺伝子情報は、悪用されれば就職や結婚の差別に繋がる恐れがある。業者の情報管理を第三者がチェックできる制度も必要だろう」と指摘する。

5年前に遺伝子検査ビジネスに参入していた業者の4割以上が撤退・所在不明となり、“究極の個人情報”の管理が危ぶまれている。技術の急速な進歩の陰で、起業と撤退が繰り返され、検査の信用性にも疑問符が付く。その現状を追った。西日本にある機械部品メーカー。工場の一角にある事務所の金庫には、数千人分の遺伝子情報が収められている。経営者の男性(59)は、遺伝子による親子関係等の鑑定を手がける会社も営んでいたが、2年前に撤退した。遺伝子を題材にしたアメリカのSF映画を見て、「これはビジネスになる」と思い立ち、顧客から集めた検体を検査機関に委託して鑑定する事業で、2000年代に売り上げを伸ばした。しかし、参入企業が相次ぎ、2011年頃から右肩下がりになった。経済産業省の指針は、「親子鑑定の検体は、業者が顧客から直接採取するのが望ましい」としている。だが、顧客と対面せずに検体を送らせ、低コストで済ませる業者も少なくなかった。「不当な価格競争が起きている」。国に訴えても効果が無く、2015年に会社を畳んだ。金庫には、顧客の氏名・住所・DNAの塩基配列等のデータに加え、鑑定報告書の画像データも保存したハードディスクが入っている。報告書の再発行に必要な為、10年間保存することで顧客の同意を得ているが、「機械部品の仕事が忙しく、10年を過ぎた情報も一部は消去できていない」と男性は打ち明ける。遺伝子解析に必要な費用は、2000年代の10年間に1万分の1程度まで低価格化が進み、業者の過当競争を招いた。2014年に検査事業を始めたIT企業の『ヤフー』や『DeNA』が、大手の信頼性を背景に、多数の顧客を集める一方、読売新聞の調査では、経産省が2012年度に確認した87社の内、29社が事業から撤退した。遺伝子検査の代理店をしていた東京都内のある商社も、2013年に撤退した。自宅で取材に応じた男性社長(74)の部屋では、顧客約100人の検査結果を記録した書類がファイルに綴じられ、本棚に押し込まれていた。社長は「家族も入らないので情報を持ち出される心配はない」と主張し、何故書類を処分しないのかについては、「特に理由は無い」とだけ語った。撤退した29社の内、「データを消去した」と答えたのは7社。「遺伝子から運動能力を調べる」と謳い、約1万人分のデータを集めた関東地方の元会社経営者(60)は、「事業を辞めた後、パソコンからハードディスクを取り出し、工具で叩いて破壊した」と話した。残骸は、空き缶や空き瓶と共に一般ゴミで捨てたという。5月に施行される改正個人情報保護法では、本人が特定できる遺伝子の情報は“要配慮個人情報”と位置付けられ、高いセキュリティーが要求される。だが、具体的な保管・消去方法までは示されておらず、元経営者は「ディスクを破壊して捨てる以外に思いつかなかった」と話した。

20170404 04
男性会社員(48)は2015年、ある業者が提供する300項目に亘る検査を受けた。「親族の死因になった病気の発症リスクが、平均より高くてぎょっとしたが、健康に気を使うきっかけにはなった」という。その一方で、「流出したら取り返しがつかない。病気のリスク等が、結婚や保険加入の差別に繋がるのが怖い」と漏らす。病院も遺伝子検査を行うが、開設や廃止の際は都道府県知事への届け出が義務付けられている。廃止時にカルテの保存義務がある管理者がいない場合は、厚生労働省の通達で、自治体による保存が求められる。遺伝子検査業者でも、大手等はデータを匿名化したり、暗号化で漏洩防止を図ったりしている。『東京大学医科学研究所』の武藤香織教授(医寮社会学)は、「業者には、事業開始や撤退の際に届け出を義務付け、遺伝子情報の扱いを行政に報告させる体制を作るべきだ」と指摘する。


⦿読売新聞 2017年3月19日付掲載⦿


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