【南鳥島に注目せよ!】(01) レアアース泥が何故南鳥島に?

20170404 07
2012年、東京大学大学院の加藤泰浩教授とその研究グループが、日本の最東端・南鳥島周辺海域の海底で高濃度のレアアースを含む泥の存在を発見したニュースは、瞬く間に世界中を驚かせた。加藤教授とその研究チームは、最初からレアアース資源の発見を目指して研究を進めていた訳ではない。レアアース泥の発見は、本来の研究の謂わば“副産物”なのである。彼らが究明しようとしていたもの。それは、地球がこれまでにどのような変遷を経て現在の環境に辿り着いたかという“歴史”に他ならない。加藤教授は、海底深くに沈んだ泥から、地球や海の過去を探ろうとしたのだ。海底には様々なものが沈殿している。そして、そこに積もった泥には、当時の海水の化学組成や海洋環境といった貴重な情報がぎっしりと詰まっているのである。また、海底面から下に潜るほど、古い海の情報が得られることになる。ここで、地球の構造について簡単に触れておこう。地球は、中心部から順に核→マントル→地殻が重なった多層構造で、地殻と上部マントルの一部は、硬い板状の岩盤(プレート)だ。地球の表面は十数枚のプレートに覆われており、それが何年もかけてゆっくりと移動し、軈て地球の内部へと沈み込んでいく。

それとは逆に、プレートが新たに生み出される場所が、海中の火山活動地帯である“海嶺”だ。例えば、大平洋には南北アメリカ大陸の沖合に沿うように、東太平洋海膨という海嶺が走っている。ここで生み出されたプレートは、西に向かってゆっくりと移動していくのだが、その間に様々な物質がプレート上に沈殿し、層をなして積み重なっていく。まるでタイムカプセルのように、其々の時代の海洋が持つ特徴を保存しながら。何千年という時間をかけて堆積していったこの沈殿物を調べれば、其々の時代の海が現在と如何に異なるかが判明する。それ以外にも、気象状況の変化や火山活動等、様々な情報が盛り込まれているのである。陸上の地層や化石とは違う形で、私たちに地球の歴史を教えてくれる存在と言える。因みに、計算によれば、現在の太平洋で最も古い“海底”が生まれたのは、約1憶8000万年前のこと。そして、その場所は他でもない、日本の南鳥島周辺海域である。つまり、加藤教授は現存する最古の“海底”を追い求める研究の中で、この発見に辿り着いたのだ。では、これらのレアアースはいつ、どのように生まれたものなのか。その発端となるのが、東太平洋海膨でプレートが生み出された当時に発生した海底火山の活動である。これにより、地中から海中へと大量の鉄質懸濁物質が放出された。懸濁とは聞き慣れない言葉だが、海中に浮遊している状態だと考えてもらえばいい。そして、この鉄質懸濁物質は、火山活動により噴き出した地中のレアアースのみならず、海水に溶け込んでいるレアアースまでも吸着し易い“特性”を持っていたのだ。太平洋でも最古のプレートが残る南鳥島周辺海域に、高濃度のレアアースを吸着させた鉄質懸濁物質が、長い年月をかけて堆積していった。その結果として生まれたのが、南鳥島のレアアース泥なのである。


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