【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(38) 暴力団同士が激突する地上げ屋vs占有屋の攻防戦

知人が青山のマンションへ引っ越した。家賃100万円のコンシェルジュ付き物件だ。子供が小学生になるので、学区から選んだらしい。錦糸町からいきなり青山へ引っ越すなど、とても正気とは思えない。軽トラからフェラーリに乗り換えるようなものだ。きっと、飼い犬もノイローゼになるだろう。筆者は1年以上ホテル暮らしが続いていて、毎月120万円くらいの出費になる。東京都内にマンションを買おうとしても、仲介の不動産屋がコンプライアンスを理由に売買に応じてくれない。沈滞契約も同じ理由で審査が通らない。元暴力団というだけで、借りることも買うこともできないのだ。「オーナーと直接売買できる素晴らしい物件が出ました!」。諦めかけていた筆者に、物件探しを手伝ってくれていた不動産屋が突然、連絡してきた。港区の高級住宅地に建つ築浅のマンションだった。どうやらオーナーが売り急いでいるらしく、価格も相当に安くしてくれるらしい。筆者は喜び勇んで現地へ見に行った。都心の高台に建つ立派なマンションは、窓から『東京タワー』が見え、地下駐車場は大型車可の平面だ。価格は2億ちょっとだが、相場より1割以上安かった。「殺人事件があったんです」。割安な価格と売り急いでいる理由は、それだった。分譲賃貸として夫婦者に貸したところ、別れ話の縺れから妻を殺害したそうだ。「ここにバーンと倒れて血だらけだったそうですよ」。寝室のベッドがあったらしい場所を指差して、不動産屋は能天気に説明する。リアル大島てる物件ではないか。この事件のせいで、両隣の部屋も売りたがっているらしい。このマンションは、殺人事件が起きなければ、買いたくても売り物は出なかっただろう。これは“ナチュラルな地上げ状態”だ。

地上げといえば暴力団の出番だが、立退料目当てで地上げに対抗する“占有”もまた、暴力団の得意とするところだ。その為、追い出す側と居座る側の両方が暴力団という複雑な物件も多い。集合住宅の地上げは、高級住宅地に建つ1戸当たりが高額な物件ほどやり易い。住民が裕福で争いを好まず、何よりスレていない。カネ目当てでゴネるような住民は少ないのだ。厄介なのは、立退料目当てで賃貸契約を結び、交渉を複雑にする連中だ。地上げで重要なのは、如何に時間とコストをかけず、建物を空にできるかである。相手もそれを熟知しているので、高額な立退料を要求し、承諾しなければ長期戦に持ち込んでくる。また、このような居住者は大人しい住民にまで影響を与え、強気にしてしまうという弊害も起きる。気付けば、住民同士で妙な連帯感も生まれてしまう。筆者も以前、赤坂のマンションで地上げに対抗したことがあった。この時は物理的なものより、精神的な嫌がらせに参ったものだ。駐車場に置いた車はタイヤをパンクさせられ、剥離剤で塗装を剥がされた。部屋の前には何故か首のないウサギの死体を置かれ、ドアには何かの血で“死ね”と書かれた。エレベーターに乗れば突然止まり、階段には汚物が撤かれていた。しかし、一番堪えたのは、上から微かに聞こえる“お経”だった。24時間エンドレスのCDだろう。微妙に聞こえる程度の音量が、とても嫌な気分にさせた。地上げの前線基地は、筆者の部屋の斜め上にある。金髪ロン毛と、目つきの悪いデブの男だ。ある日の深夜、筆者は反撃に出た。ヤツらの部屋へ静かに近付き、ドアポストからガソリンを流し込んでやった。部屋には気化したガソリンが充満し、火を放てば爆発するだろう。数日後、土地を買収した会社から納得する額の提示があったことは、偶然ではないだろう。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2017年4月4日号掲載
スポンサーサイト

テーマ : 政治・経済・社会問題なんでも
ジャンル : 政治・経済

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

搜索
RSS链接
链接
QR码
QR