【男の子育て日記】(08) ○月×日

家事と育児をほぼ1日中担当していますが、昔から子育てに理解があった訳ではないです。かといって、亭主関白の才能は更に無く。サラリーマンや公務員のように、朝早く起きて通勤をして…って生活パターンではないし、家で働いているのだから、家事と並行して子供の世話を見るのは至極当たり前だと思っていて、無理し過ぎない範囲でやっているだけです。僕がそういう風に考え、実際やるようになっている1冊の漫画の影響があります。田房永子さんの『ママだって、人間』(河出書房新社)です。著者の田房さんは1978年生まれ。この“ママにん”では、32歳で妊娠してから、夫婦間のセックス・母親学級のカースト・出産・世間が求める母親像と現実のギャップ・赤子の性器の洗い方・母乳が出ない問題等、やり過ぎだと思うほどの下ネタにゲラゲラ笑いつつ、目から鱗がボロボロ落ちまくりました。特に、夫を始めとした男社会の無理解には、胸が詰まった。“出産後、とにかく夫がイヤになる”という章では、出産直後から夫への愛情が急速に下がる“産後クライシス”を俎上に載せる。「夫を嫌いになる理由。家事育児をしない。『うんちしてるよー』と報告だけしてくる。ねぎらってくれない。夜泣きの時『静かにさせろ』と言った」。最低ですよね。圧巻は、主人公のエイコが飲み会で、子供のいる男たちとの会話。「夜も俺がノコノコ帰ると子供が起きちゃうから、寒空の下帰れなかったりさ。子供に会いたいのに帰れないんだよ。男親ってせつないよなァ」。さっさと帰って、奥さんと代わってあげなよ。

「女の人は母乳が出る。母性本能がある。それが答え!」「女が育児するべきなのは、生物学的に本能のルールに基づいている」。決め付けの嵐。「原始時代から男は狩り、女は家庭を守ってきた。だからそれが正しい」。じゃあ、お前は毛皮着て槍持ってジャングルを走ってこい! 「あぁ、こういう男たちになっちゃいけないな」と心底思った。田房さんは、平塚らいてうの系譜に連なる現代の女性革命家だ。かといって、「怖い」とか「お堅い」とか思うのはお門違い。田房さんは、在り来たりのフェミニストや、女性の社会評論家や政治家の視点で描いたりしない。「同じ女性の不満を汲み取ります」とか言って、自分が社会的地位を得る為に、女性の不満を利用している人が多いけど、田房さんはひとりの漫画家として、笑いを武器に、赤裸々に等身大の自分を切り刻んで、読者に問題を投げかける。その姿は恰好いいし、偉い。この漫画は、今でも勿論入手できます。増刷以降の帯には、内田春菊さんや小島慶子さんといった女性の大物の中、何故か男で僕ひとりが混じって推薦文を寄せています。田房さんとはその後、対談させて頂きました。僕と田房さんの名前で検索してもらえれば、金言連発の長文テキストが読めます。そちらも是非。最後にもう一声。厚生労働省は“ママにん”を1000万部買い取って、全国の学校で配ったほうがいいよ! 妻は10冊買って友達にあげました。絶対必読。


樋口毅宏(ひぐち・たけひろ) 作家。1971年、東京都生まれ。帝京大学文学部卒業後、『コアマガジン』に入社。『ニャン2倶楽部Z』『BUBKA』編集部を経て、『白夜書房』に移籍。『コリアムービー』『みうらじゅんマガジン』の編集長を務める。2009年に作家に転身。著書に『日本のセックス』(双葉文庫)・『ルック・バック・イン・アンガー』(祥伝社文庫)・『さよなら小沢健二』(扶桑社)等。


キャプチャ  2016年6月30日号掲載
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