【霞が関2017春】(05) 首相に忖度? ぶれる内閣府の景気判断

内閣府の景気判断がぶれ気味だ。国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費を巡り、2月は強弱織り交ぜた曖昧な表現にして判断を下方修正したかと思えば、直ぐさま先月に表現を改めて引き上げた。「景気認識を柔軟に見直した」とも言えるが、市場関係者からは「わかり難い」との指摘も漏れる。内閣府の景気判断は、機動的な財政出動の必要性等政策判断の基礎になるだけに、「もう少し長い目で見て情勢を分析してもよいのでは?」との声もあがる。個人消費の判断がどう変遷したかを表に纏めてみた。2月は“足踏み”という表現を付け加えた。理由は、台風被害による昨秋からの野菜価格高騰で、消費者の節約志向が強まった為だ。しかし、“持ち直しの動きが続いている”上で、“足踏みがみられる”と方向感の異なる言葉を組み合わせたことで、わかり難くなった。石原伸晃経済財政再生担当大臣も、事務方に「(玉虫色の表現ぶりを示す)霞が関文学は止めろ」と叱責した。判断の根拠への疑問も残った。月例経済報告に関係する政府関係者は、「一時的な生鮮食品の価格高騰が、景気のトレンドに影響すると言えるのか?」と首を傾げた。

石原大臣の注意が効いたのかはわからないが、先月の個人消費の表現からは“足踏み”との言葉が落ちた。好調な新車販売等を理由に、「総じて持ち直しの動きが続いている」と上方修正した。「ドタバタと判断を変えた印象は拭えない」(内閣府職員)。月例経済報告の判断を巡る迷走は、今回だけではない。2015年9月には、「基調判断の方向性を示さない」という異例の対応をしたこともある。“一部に鈍い動き”と付け加えたのに、“下方修正”とも“据え置き”とも判断しなかった。前日に安倍晋三首相が「名目成長率3%を前提に、GDPを600兆円に増やす」という新目標に掲げた直後だっただけに、政府内やエコノミストから「景気判断の下方修正は具合が悪いので忖度した」と受け止められた。「今回の個人消費の判断引き上げも忖度があった」と言うつもりはないが、判断のぶれから、そういう目で見る関係者も確かにいる。政府は首相官邸の下で、「経済統計の精度を高めよう」と改革に乗り出している。ただ、統計という物差しだけでなく、物差しで測った結果をどう分析するかも、再考する良い機会ではないだろうか。景気のトレンドを見極めて、わかり易く発信する必要がある。主要閣僚と与党幹部が集まる月例経済報告関係閣僚会議の“不要論”が官邸内から飛び出しているのは、その現れだろう。 (川手伊織)


⦿日本経済新聞電子版 2017年4月4日付掲載⦿
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