【大機小機】 あえて検察に期待する

安倍晋三首相が、このような形で一民間人に振り回されるとは、誰も予想しなかっただろう。学校法人『森友学園』への国有地売却等に関連し、衆参両院から証人喚問された籠池泰典氏は、「安倍昭恵夫人から100万円を受け取った」等と証言。政権は、これを真っ向から否定している。カメラに囲まれても、偽証が罪となる証人喚問でも、とうとうと自説を主張できる籠池氏は、相当な曲者に見える。経営する幼稚園に昭和天皇が立ち寄ったかのような文章をホームページに平然と載せ、「(事実と異なることを記して)申し訳ない」と国会で述べる辺り、眉唾の発言も多かろうと推察はできるが、何がどう間違っているか証明するのは容易ではない。法的な論点は幾つかある。先ず、補助金申請で複数の異なる学校建設費を、学園側が当局に掲示していた問題。籠池氏本人も認めるように、補助金適正化法違反の可能性が指摘される。鑑定評価額9億5600万円の国有地払い下げでは、学園側は昨年6月、約8億円減額された1億3400万円で取得にこぎつけた。廃棄物等が見つかった為だが、籠池氏が「ちょっとびっくりした」ほどの値引きだった。取得前に定期借地契約を結んでいた同年4月には、学園側は“有益費”名目で国から1億3200万円受け取っている。廃棄物除去費用の立て替え払いの“精算”だ。これについては、首相夫人付の政府職員から籠池氏側に宛てたファックスで言及されている。一連の売却を通してみると、賃貸料を除き、国が手にしたのは200万円に過ぎない。果たして妥当な取引なのか? 証拠を収集して違法性を判断できるのは、検察をおいて他に無い。自民党1党支配の“55年体制”の時代、検察は謂わば“体制内野党”として政権を牽制してきた。その後、国策捜査とされた銀行粉飾決算事件での逆転無罪判決や、大阪地検での証拠改竄事件等で、検察への信頼は地におちた。野党が脆弱な今、官邸主導の政治へのチェック体制をどう作るかが問われている。検察が持つ“起訴便宜主義”という強大な権力は、公正な社会と政治を担保する為に行使されてこそ意味を持つ。「過剰な期待は戒めねば」と思いつつも、敢えて検察の役割に目を凝らしたい。 (三剣)


⦿日本経済新聞 2017年3月31日付掲載⦿
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