【男の子育て日記】(46) ○月×日

11月20日 ドラッグストアでオムツやトイレットペーパーを買うと、気前の良い店員は大きなビニール袋に入れてくれる。ありがたい。そのままゴミ袋として使えるから。今の家では、風呂の残り湯を洗濯に使えないのが残念。だけど、それまで洗濯物は全て乾燥機にかけていた妻を制して、僕が家の中で干すようになってからは、電気代が大幅に安くなった。他にも、独身時代から培ってきた生活の知恵を、主夫になっても活用している。中々楽しい。しかし、妻は放っておくと家中の部屋の電気を点けて回る。それを僕が片っ端から消していくと怒る。「却って電気代が掛かるから点けておいて!」。なのに、長い髪にドライヤーをかけている時は、洗面所は真っ暗なまま。思わず口をついて出る。「ねぇ、頭おかしいの?」。僕も妻も、他人と一緒に住むのが向いていない。

11月23日 近所の老舗のライブハウス『磔磔』で『サニーデイ・サービス』のライブ。始まる前に曽我部恵一に挨拶。彼は同い年のトップランナー。ずっと僕の遠く先を走り続けてきた。「お子さん1歳? もう楽でしょ」。えー全然。動き回るようになったから目が離せないし。曽我部さんチは3人。頭が下がる。一文を託児所に預けて、妻とライブを観る。酒蔵を改造した木造の小屋は人で一杯。エネルギッシュで気が狂ったライブを3時間以上やってくれた。妻は余程良かったようで、しばらくボーッとしていた。今年のベストライブらしい。何度も「連れて行ってくれてありがと」と感謝頻り。暫くは夫婦円満か。

11月28日 妻のツイート。
100を超えるお気に入り。この“昔付き合っていた人”の悪口をよく聞かされるのだけれど、嫌いになれない。寧ろ、お会いすることがあったら、「僕が今、あなたの代わりに苦悩や痛みを引き受けていますよ!」と泣きつきたい。

12月1日 一文を保育園に送ってから、妻が毎週木曜日出演の『白熱ライブ ビビット』(TBSテレビ系)を観る。街角100人インタビュー。お題は“結婚して後悔していること”。記子に話が振られる。「素晴らしい夫なんですけど、大喧嘩して『この粗大ゴミ!』と」。スタジオどん引き。収録後、“夜回り先生”こと水谷修さんが「僕なら離婚する」。「妻が隠れてAVを見ていたら離婚する」と言うぐらいの水谷先生ならそうだろう。もっと言ってやって下さい。夫の言うことなどバカにして聞かないので。しかしこの連載、愈々以て子育て日記というより、“ひぐたけ鬼嫁日記”になってきたな。


樋口毅宏(ひぐち・たけひろ) 作家。1971年、東京都生まれ。帝京大学文学部卒業後、『コアマガジン』に入社。『ニャン2倶楽部Z』『BUBKA』編集部を経て、『白夜書房』に移籍。『コリアムービー』『みうらじゅんマガジン』の編集長を務める。2009年に作家に転身。著書に『日本のセックス』(双葉文庫)・『ルック・バック・イン・アンガー』(祥伝社文庫)・『さよなら小沢健二』(扶桑社)等。


キャプチャ  2017年4月6日号掲載
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