【儲かる農業2017】(03) 政官笛吹けども農家は踊らず…GAP認証が浸透しない理由

経営マインドに富む農家を増やすツールとして、自民党農林部の小泉進次郎会長が言及を目指す国際認証『グローバルGAP』。メリットも多いが、農家の間には“温度差”もあるようだ。

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高級焼き肉店等で使われるサラダ菜の一大生産地、福岡県久留米市。一面緑のビニールハウスで、農家の池田仁さん(41・右画像)はポケットからスマートフォンを取り出した。アプリを立ち上げ、その日の収穫量や植え付け状況から働いた人まで、手慣れた様子で入力を済ませていく。「整理整頓を徹底して、働いている外国人研修生の為に、ベトナム・フィリピン・中国語の作業手順書も用意しました」。実はこれ、農作物の安全性についての国際認証『グローバルGAP』の審査基準をクリアする為に必要な作業だ。池田さんは、13の農家が属する『JAくるめ』のサラダ菜部会長として現在、グローバルGAPの取得を進めているところだ。サラダ菜部会は昨年から研修を始め、労働安全・食品安全・環境保全といった認証に関わる法令への理解を深めていった。というのも、2020年の東京オリンピックや2019年のラグビーワールドカップの日本開催を見据え、「外国人選手への食材提供や輸出の為に取得する必要がある認証」と考えたからだ。実際に、食品の安全性に敏感な外資系スーパーマーケットには、食品の調達先に対してグローバルGAPの取得を必須条件とする企業も少なくない。外国人の口に日本の農産物を運んでもらうには不可欠な認証と言えるのだ。人口減少で国内需要が減っていく中で、農産物輸出の重要性は増すばかりだ。

東京オリンピックをきっかけに、日本の食品の安全性を世界標準に高めることの意義は大きい。グローバルGAPの為の農作業の記録は、農家が経営分析を行う為のデータにもなる。生産性の向上にも繋がる有効なツールなのだ。ところが、グローバルGAPが全国的に広がるかというと、そう簡単ではなさそうだ。認証取得に掛かる費用は、サラダ菜部会では1農家当たり数十万円から100万円ほどというから、決して軽い負担ではない。しかも、1回取得すればそれで済むのではなく、毎年審査を受ける必要がある。つまり、ランニングコストが発生する。また、仮に取得できても農産物が高く売れる訳ではないことも、普及を妨げる要因だ。国内のスーパーや消費者の間で、グローバルGAPの認知度は高くないのだ。スーパーの調達方針が変わって、グローバルGAPの重要性が高まらなければ、農家にだけ負担を強いて対応を求めることになり、無理筋というものだろう。特に、国内向けに農産物を出荷する農家にとって、グローバルGAPは負担感ばかりが目に付くのは否定できない。生産履歴等の記帳にしても、有力農家はグローバルGAPの有無に拘わらず実践している。つまり、グローバルGAPへの農家の評価は様々で、農家が纏まって認証を受けるケースは少ない。JAくるめのサラダ菜部会がグローバルGAP取得に踏み出せたのは、部会員が少なく、平均年齢49歳と比較的若く、熱意のある農家の集まりだからだとも言える。JAの生産部会は、サラダ菜部会のように進取の精神に富んだグループばかりではない。こうした状況でグローバルGAPを普及させるには、農家だけでなく、スーパーや消費者を巻き込んで共通理解を高めていくしかないだろう。実は、そうした機運が高まらない責任は、GAP業界自身にもある。グローバルGAPが最も世界で通用することは間違いないのだが、『日本GAP協会』の『JGAP Advance』等認証制度が乱立し、違いがわかり難い。業界関係者がグローバルGAP派とJGAP派に分かれて反目し合っていることも、状況を複雑にしている。


キャプチャ  2017年2月18日号掲載
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