【政治の現場・安保法施行1年】(上) 対北、深まる日米連携

安全保障関連法が施行されてから、昨日で1年を迎えた。集団的自衛権の限定行使が可能となった他、国連平和維持活動(PKO)での武器使用権限が強化される等、自衛隊の活動が大幅に拡大されたが、この1年でどんな課題が浮かび上がったのか。運用の現場を報告する。

20170411 06
北朝鮮の核・ミサイル開発が「新たな段階の脅威」(安倍晋三首相)となる中、自衛隊にとって日本海は警戒監視の最前線だ。海上自衛隊のイージス艦は、迎撃に備えて24時間態勢で任務に当たっており、緊張が高まればアメリカ海軍第7艦隊のイージス艦も共同で警戒する。「日本の為に警戒監視に当たる米艦が攻撃を受けても、日本が武力攻撃を受けていなければ守れない。果たして、これでいいのか?」。安保関連法では、こうした懸念が払拭され、海自艦が平時から米艦を防護できるようになった。自衛隊の装備の破壊を回避する為に反撃できるという“武器等防護”の規定が、日本を守る為に活動中の他国軍に拡大された為だ。政府は昨年12月から実際の運用を開始し、アメリカ軍の要請があれば、防衛大臣の判断でいつでも実施可能な状況だ。未だ実施されていないが、昨秋からは、海自イージス艦が補修で日本海から離れる際にはアメリカのイージス艦がカバーする等、日米の連携は強化されている。政府は近く、『国家安全保障会議(NSC)』を開き、日米共同訓練での米艦防護初実施に向けた調整に入る方針だ。日米同盟は深化を重ね、共同対処は今や日常となっている。今月6日朝、アメリカ軍橫田基地内の『日米共同調整所』に緊張が走った。北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイル4発を同時発射し、基地内の航空自衛隊航空総隊司令部地下にある調整所の大型スクリーンには、日本各地のレーダーやイージス艦から日米が集めた情報がリアルタイムに映し出された。

「日本の領土・領海への着弾は無い」。即座に一報が防衛省に伝えられ、3発は日本の排他的経済水域(EEZ)内に、1発がEEZの手前に落下した。北朝鮮は「在日アメリカ軍基地を攻撃する部隊の訓練である」と発表し、日米への威嚇を強めた。北朝鮮のミサイルは、発射から僅か約10分で日本に着弾する。国民の生命を守るには、「日米による平時の情報共有から、有事の共同作戦に至るまで、切れ目の無い連携が生命線」(防衛省幹部)だ。2015年策定の新たな日米防衛協力の指針(ガイドライン)では、自衛隊とアメリカ軍の緊密な連絡・調整を行う協議機関『同盟調整メ力ニズム』が常設化され、平時からの連携は深化している。自衛隊幹部は、「日米が顔を付き合わせながら対処する場面が増えた」と指摘する。「北朝鮮が移弾頭の小型化に成功し、弾道ミサイルに搭載可能となることは、日米にとって悪夢だ」。防衛省幹部はこう漏らすが、最近の北朝鮮の動きを見ていると、全くの絵空事とは言い切れない。ドナルド・トランプ政権は、脅威を深刻に受け止めて、対北朝鮮政策の見直しを進めており、先制攻撃やサイバー攻撃等の軍事的オプションも検討している。緊張が一段と高まる事態も想定されるが、日本政府はアメリカと歩調を合わせて圧力を高める考えだ。首相は今月24日の参議院予算委員会で、「アメリカの強いコミットメント(関与)を背景に、北朝鮮の攻撃を抑止する。日本に対して何か攻撃をすれば、日米が完全に一致して共同対処する」と強調した。安保関連法の施行で、集団的自衛権の限定行使が認められ、共同対処の実効性は高まっている。仮に北朝鮮と米韓の間で戦争が起き、日本の存続が危ぶまれる“存立危機事態”と認定されれば、“防衛出動”により、米艦を攻撃する相手に自衛隊が反撃する“集団的自衛権による米艦防護”が実施できる。日本の平和と安全に重大な影響を及ぼす“重要影響事態”でも、アメリカ軍が軍事行動に入れば、弾薬提供や発進準備中の戦闘機への給油等後方支援が、安保関連法で可能になった。日米両政府は昨年9月、新たな『日米物品役務相互提供協定(ACSA)』に署名しており、政府は今国会での承認を急いでいる。


⦿読売新聞 2017年3月30日付掲載⦿
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