テレクラからJKリフレまで、女子高生売春の30年史――売春に承認欲求を求める少女たちの危ない遊びの変遷

子供の貧困・格差が問題視される中、今、改めて少女売春に衆目が集まっている。中でも、“援助交際”という名で世に広まり、特異な進化を遂げた女子高生文化、昨今のJKビジネスに繋がる“女子高生たちの売春行為”について、その変遷を追ってみよう。 (フリーライター 中山美里)

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“援助交際=売春”――。そういう風に思っている人は多い。だが、この言葉が出始めた頃は、今とは少々様子が違っていた。最近話題になっている“パパ活”と同じように、ご飯やカラオケに行けばお小遣いが貰える“ライトな援助交際”もあった。けれども、「ヤりたい!」と思う女の子が増えれば、過激競争が始まり、キスやパンチラといった“少々ディープな援助交際”や、本番行為のある“ディープな援助交際”へと移行していく。筆者がこのアンダーグラウンドな世界に足を踏み入れたのは1993年。未だ“ディープな援助交際”は、“ハル”(※売春の“春”)等の隠語で呼ばれていた。丁度、過激競争が始まったばかりの頃だった。街にいたコギャルたちはポケベルを持ち、デートクラブに通い、時にはブルセラショップで下着を売る。そんな危険なアルバイトに手を染めるうちに、自分には様々な価値があることに気付いていく。「無名私立校の制服が低価格なのに対し、有名お嬢様私立校のブルマーは高値で売られる」「パンツは何日間穿き続けるかで値段が変わる」。そんな市場価値を目の当たりにして、「一緒にご飯食べるならいくら」「キスをするならいくら」と、自分が提供するメニューに価格を付けるようになったのだ。通っている学校、自分の容姿と市場を照らし合わせ、自らに価格を付けていく…。非常に残酷な試みに感じるかもしれないが、偏差値競争を掻い潜って中高一貫の私立校に通っていた当時の援交少女にとっては、難しいことではない。そして、当時の女子高生が、まるで偏差値競争に勝ち抜くようなゲーム感覚で定めていった“裏オプ”は、今の女子高生売春シーンのベースになっている。そこで本稿では、そんな女子高生売春について、当時の世の中に登場したツールと共に紹介していきたい。

先ず、少女たちが最初に目をつけたツールは“テレクラ”。1980年代に登場した出会いのツールで売春に繰り出した。最初のシステムは、こんな案配。男性がテレクラに電話し、女性も電話する。すると、店の交換手が出て、「少々お待ち下さい。只今お繋ぎ致します」と言い、2つの受話器をガムテープで繋いで話させる。終わったらガムテープを外して、次の電話がかかってくるのを待機する。今では考えられないほどアナログなものだったそうだ。けれども、通信システムや電子機器は進化していくもの。1989年には“ダイヤルQ2”が登場。これは元々、電話による情報料代理徴収サービスで、占い・健康情報・募金等、生活に役立つ情報を電話によって届けようという新しいツールだった。しかし、真面目な事は楽しくない。アダルト要素が入ってくると、一気に裾野が広がり、1990年に入ってくるとテレクラ・伝言ダイヤル・ツーショットダイヤル等、電話ビジネスの仁義なき戦いが加熱した。それに連れて、素人売春も増えていった。そこに加わったのが“ポケベル”だ。当時の通称は“ベル”。「ベル番交換しようよ」で人間関係を作れるようになった。つまり、これが女子高生にとって、連絡ツールが“家の電話”ではなく、個人単位になった瞬間だった。テレクラやダイヤルQ2で知り合った男性にベル番を教えることで、定期的な繋がりを持つことができ、電話したその日ではなく、別の日にこっそり会うことができるようになった。また、気に入った相手であれば、継続的な“愛人感覚”のお付き合いも可能になる。ただ、初期のポケベルは数字しか送れなかった為、“88951=ハヤクコイ”等暗号化できる簡単な数字文章や、電話をかけてほしい場所の電話番号しか送れなかった。また、公衆電話からポケベルにメッセージを送るので、公衆電話が必要だった。ハコモノとしてはデートクラブがあり、そこに屯する女の子が、客と街を1時間ほどデートすれば、店から5000円が貰え、それ以上のことをすれば、お客さんから直接お金が貰えた。手コキなら1万円、フェラチオなら2万円といった具合。本番をする子は少数派だったが、5~7万円がオーソドックスな価格帯。デートクラブで知り合った男性にベル番を教え、2回目以降からは直引きし、デートのみ→手コキ→フェラチオと、会う回数に応じて内容と金額のハードルを上げていくようなやり手もいた。他には、『談話室滝沢』も援交ハードユーザー女子が愛用しており、“援交少女のアジト”と化していた。飲み物が1杯1000円程度もする高級喫茶店なのだが、パーティションで仕切られている半個室タイプになっていて、席に1つ電話が付いていた。当時の女の子の価格は、セックス1回5万円程度。1000円程度の経費ははした金だった。

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因みに当時、1991~1995年頃のギャルは、OLや女子大生等少し年上のボディコンギャルを模倣していた為、高校生は“コギャル”と呼ばれていた。しかし、模倣は途中から独自性を得て、女子高生文化になっていく。東京都心の極一部の女子高生が嗜んでいたクラブ遊び・パーティー・独特のファッション、そして援助交際…。これらは、都心から全国に広がる勢いを見せた。3年後の1996年には、“援助交際”が売春の隠語とイコールになり、流行語大賞に入賞するほどのブームを迎える。だが、当のコギャルは、大学等に進学すると同時にコギャルも卒業し、何食わぬ顔をして社会に出ていった。但し、この頃に流行ったクラブ遊びやパーティー(イベント)は、そのまま2000年頃から目立ってくるギャルサーやイベサーに受け継がれていく。同時に、“ギャル=援助交際”のイメージも定着していった。1990年代後半には携帯電話が普及。1999年に『i-mode』が出現し、“家出少女”御用達になっていく。i-modeにより、出会い系掲示板が生まれると、電話番号を教えずにメールアドレスで個人同士が繋がれるようになった。嫌になれば返信しなければいいだけだし、何回でも登録し直せる。出会い系で援交相手を探し、一夜の宿泊先を見つけると同時に小遣い稼ぎもする。中には、援交相手の家に住み着くような子もいた。その一方で、コギャルの呼ばれ方が1996年頃からギャルに変わっていく中、女子高生らはガングロやヤマンバ等、男受けしない容姿に変貌していった。すると、どうしても「あそこまではできない」という中途半端なギャルが出てくる。所謂“パギャル”だ。2000年前後は、そんな中途半端なギャルが多く援交に繰り出していた。彼女らは、家庭不和・苛め・リストカットというメンへル要素が強い。まるでケータイ小説『ディープラブ』みたいな女子が、自傷行為として援交をしていたのだ。

パギャルが女子ヒエラルキーの下部で精神を病みながら援交をして、おじさんに甚振られている一方で、強めのギャルはイベサーを作って、クラブでイベントを打ち、アゲアゲになっていた。この図式の中でいつしか、“援交=ダサい(パンピーの)もの”というイメージが生まれる。援助交際という行為のハードルは下がり、主婦・OL・女子大生等、女子高生以外の女性も手軽に援助交際に手を出すようになっていく。ケータイの出会い系サイトも生まれ、便利なツールも整った。1億総援交時代の幕開けである。この頃の援交ギャルの多くはニートやフリーターになった他、夜の仕事に就いていった。扨て、援交事情が変貌していく中で、風俗業界にも変化があった。マンへル(裏風俗)ブームの取り締まりが始まり、そこから逃れる為に“デリへル”が生まれたことだ。これが何故、援交に関係あるのかというと、ギャルサーブームに陰りが見え始めた2006年頃から“援デリ”というシステムが生まれ始めたからだ。援デリは“援交のデリバリー”で、店が客を取り、女の子をホテルや家に派遣するデリヘルの形を模倣した援交の形である。この言葉ができる1年くらい前から、巷の悪い男の子と女の子がタッグを組んで、メールを打つ“打ち子”、実際に売春する女の子、何かあった時に助けてくれる見張り番やケツモチと、組織だった援助交際が行われるようになっていた。チームを組んで組織的に売春をする為、女の子は客から受け取ったお金を全て貰える訳ではないが、交渉に長けた打ち子が巧みな話術で値段を設定し、次から次へと客を取っていく為、女の子は1日出勤すれば複数人の客が付き、効率的に稼ぐことができた。客が払う2.5万~3万円を、女の子4割、打ち子等の男子が2~3割、ケツモチが3~4割くらいで配分していたというが、最盛期には1人の女の子が1日に12人の客を取り、25万円ほどを得ていたという話もあるから驚く。あくまでも個人的な行為であった筈の援助交際が組織化・効率化、言うならば“仕事化”したということだろう。しかし、こういう稼ぎ方をしていると、当然、捕まるリスクが高まる。援デリをやっていた男の子らが、より稼げるオレオレ詐欺やスカウト等に鞍替えし、女の子が風俗に流れると、ブームも陰りを見せた。その頃に現れたのが、スマートフォンと“JKビジネス”だ。これが今の主流である。先ず、スマホのアプリは、掲示板や出会い系で『LINE』や『カカオトーク』のIDを交換して、メッセージのやり取りをするのが一般的。一時、神待ち少女(※宿泊場所を探している家出少女のこと。“神”は家やご飯を提供してくれる人)が援交相手を探すことで話題となった『ツイッター』も、まだまだ健在だ。最近は、会う前に『Snapchat』という写真アプリで、お互いの顔を送り合うこともある。アプリに連動したスマホの高解像度カメラは、少女たちに手軽に撮影を実行させる。これが、画像・動画流出という別の危険を生んでいる。

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また、“JKおさんぽ”や“JKリフレ”等の所謂JKビジネスでは、1990年代のデートクラブと同じようなことが行われている。リフレ・おさんぽ・撮影・見学等、斬新な店側のアイディアと過激な内容で、一躍注目を浴びた。この商売の新しいところは、インターネット上の口コミによって、ハコモノが流行るという現象だろう。未成年と遊べる違法スレスレの店は回転が早く、1年、時には数ヵ月で店仕舞いをする。けれども、名前や場所を変えて、類似の店が直ぐできる。この展開についていく為、客はインターネット上で繋がった同志と情報のやり取りをする。「あの女の子は可愛かった」「本番OK」等の情報は瞬時に伝わり、店に足を踏み入れる客が増えていく。同じように女の子も、個人同士のLINE等で情報を伝え合う。このインターネットとリアルの有機的な繋がりは正しく、今の時代を象徴している気がしてならない。新しいツールが出てくると、新しいカタチの売春も現れる。だが、やっていることは結局、男と女がカネを介してヤるということだ。昨今、児童ポルノ規制がどんどん強くなっていくが、締め付けるだけでは若年層の売春は無くならない。何だかんだいっても、10代の寂しい心・不安定な心の隙間に染み入るものだからだ。遊ぶのが好き、お金が好き…そんな元気なギャルでも、両親の不仲・失恋・苛め等で、若い心は直ぐ折れる。こんな時、売春は心の隙間を一瞬満たしてくれる。男から求められることで自己承認欲求が満たされる。そして、お金という対価は自分を計る為の物差しになり、低い自己評価を底上げする。また、大金を得る過程では、大人をおちょくり、スリルを楽しむことだってできるのだ。女子高生たちはいつだって、大人の思いもよらない方法で自らの火遊びを見つけ出す。そして、得た対価で服を買い、友だちと遊び、刹那の高揚を味わう。時には自分を見失いながら。きっと、これからもそういう女の子が消えることはない。


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