【韓国大統領選2017・文在寅研究】(下) 「北朝鮮にまず行く」

20170412 02
「大統領になって、先ずどこに行くか?」――。最大野党『共に民主党』の大統領選候補・文在寅は、この問いに「躊躇うことなく言う」と前置きして、こう答えた。「北朝鮮に先ず行く。事前に、その必要性について、アメリカ・日本・中国に十分説明する」。昨年12月発刊の韓国誌『月刊中央』のインタビューで出たこの発言は、「危険な安保観」(東亜日報社説)等と激しい批判を呼んだ。「韓国外交の根幹であるアメリカとの同盟を軽視した」と取られた為だ。韓国の歴代大統領は例外なく、就任直後にアメリカを訪れ、同盟関係の強化を確認してきた。文の外交ブレーンは「文は韓米同盟を決して軽視していない」と打ち消すが、文は今年1月発刊の対談集でも「北朝鮮の核問題を解決する為には地獄でも行く」と述べており、自説を曲げる気配はない。「私は親米だが、今はアメリカの要求に対しても、協議して“NO”と言える外交が必要だ」とする対談集の発言に至っては、『ニューヨークタイムズ』が引用し、韓国内で物議を醸した。「文前代表は、一度でも北朝鮮に“NO”と言ったことがあるのか?」と、保守の『自由韓国党』議員は批判した。「文の北朝鮮に対する思い入れの強さは、両親が北朝鮮からの避難民だったことに由来する」との見方がある。朝鮮戦争中の1950年、北朝鮮の咸鏡南道からアメリカ軍の船等に乗って、約10万人が戦火を逃れた。

その渦中にいた両親が逃れた先の韓国南端の巨済で、文は生まれた。文は対談集で、「平和統一すれば母を連れ、母の故郷を見つけたい」と語った。統一後の夢は、弁護士の経歴を生かした「資本主義に慣れない北朝鮮人の為の無料法律相談」という。盧武鉉大統領が2007年に平壌を訪問し、2000年の金大中大統領以来となる南北首脳会談を、金正日総書記と行った。文は大統領府秘書室長として、共同声明発表の調整等に当たった。文は、当時の対北朝鮮融和政策への回帰を狙う。朴槿恵政権が昨年2月に、北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射を受けて閉鎖した南北協力事業『開城工業団地』の再開を公言。2008年以降中断された北朝鮮の金剛山観光事業も、「早めに再開することができないだろうか?」と語った。2回目の南北首脳会談から10年。北朝鮮はその間に、4回の核実験を経て、核ミサイル開発は“最終段階”に入っている。アメリカのドナルド・トランプ政権は、核ミサイルの実戦配備阻止の為、「軍事的なオプション(選択肢)も排除しない」とし、同盟国の日本や韓国に加え、北朝鮮の生命線を握る中国にも、対北包囲網に加わるよう圧力を加えている。韓国の新政権が、北朝鮮に外貨収入を齎す開城工業団地の再開等で、包囲網に“抜け穴”を作れば、「日米韓の連携に決定的な罅が入る」(日本政府筋)のは確実だ。文は対談集の中で、「我々が朝鮮半島問題を主導してこそ、北東アジアの情勢を解決するカギを握る主人公になる」と語っている。この考えの下地にあるのは、“自主国防”の名の下に米韓同盟を見直し、北朝鮮や中国に接近しようとした盧の“北東アジアのバランサー(調整役)”外交だ。盧の路線は何の成果も生み出さず、アメリカや日本との関係悪化を招いただけに終わった。朝鮮半島有事や核ミサイルの実戦配備が絵空事ではなくなりつつある重大局面で、文はその轍を踏もうとしている。 《敬称略》

               ◇

ソウル支局 中島健太郎・井上宗典が担当しました。


⦿読売新聞 2017年4月7日付掲載⦿
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