生き残る為にムショでドーナツも焼く…地獄の刑務所に麻薬絡みで投獄された日本人長期受刑者の超サバイバル生活

ドラッグ等、闇で流通するブツについて、日本より容易に入手可能なアジア地域だが、その分、拘束されてからのリスクは高く重い。日本では殺人犯級の入獄を余儀なくされることもあるほどだ。その中には、身柄を拘束され、長期刑に服する日本人受刑者もいるという――。 (取材・文・写真/フリーライター 高田胤臣)

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バンコクは世界3大“性地”とも呼ばれるほど、欲望の渦巻く街だ。男でも女でもパートナーを見つけるのは容易だし、ドラッグの入手だって簡単だ。今ではすっかり寂れて、30歳を過ぎた“おばさまの巣窟”となっている歓楽街・パッポン。バーに座り、ビールを傾けながら、旧知の知り合いであるP(30代女性)に、「取り締まりが厳しい中で、ドラッグは手に入るのか?」と訊いてみた。「逆よ。今はこの10年で一番のドラッグ天国。そこかしこに売人がいるわ」。Pが言う“この10年”とは、2006年の無血クーデターから続く政情不安と重なる。この騒乱の一因だったタクシン・チナワット元有相は、在職中、麻薬の取り締まりに躍起だったことで知られ、2004年頃には捜査名目で、実に2500人を超える売人が殺害された。生き残った売人たちは、顔見知り以外にはドラッグを売らないスタイルに方向転換し、タイは一見、ドラッグに関してはクリーンになった。しかし、クーデターでタクシン氏が失墜するや、治安が悪化し、麻薬が再び蔓延。その後も、選挙でタクシン派が返り咲く度に、売人が身を潜めることの繰り返し。タクシン派の息の根が完全に止められた今、売人がのびのびしているのだという。P自身はドラッグに手を出さない。今年3月まで凡そ2年間、女性刑務所に服役していたからだ。嘗てはジャンキーで、覚醒剤“アイス”にご執心だったが、警察の囮捜査に引っかかり、パッポンで逮捕。不自由だった刑務所暮らしに懲りて、精々煙草を吹かすくらいだ。友人や顔見知りの客の目前で逮捕されたPだが、再びパッポンに舞い戻ると、以前と同じように客と遊び、時には身体を売って暮らしている。日本人からすると「よく戻って来られたな」というところだが、Pはあまり気にしていない。Pは未だ狭い範囲で生きている。ところが、Pとは対照的に、タイ全土に顔を知られながら、ドラッグ関係でトラブルを起こすような芸能人が稀にいて、かなり厚顔な姿を見せている。例えば、タイで最も成功したロックミュージシャンのセーク・ロソ。あるアイドルが「若い人のお手本になる」と堂々と言ってのけ、クリーンな時代にタイ芸能界が突入したのが1990年代半ばだ。今でも、ドラッグやアルコールには表向き拒絶反応を示すのがタイのメディアである。セークはヨーロッパ滞在中、ホテルでのドラッグ吸引を元妻に撮られ、リークされた。

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よく似た人と報道されたが、彼自身が本人と認め、謝罪会見を開いたのが、2011年の年末に近い時期だった。ところが、謝罪会見の開催まではよかったのだが、会見中に煙草は吸うわ、「俺はロック歌手だからドラッグは必要なんだ」と開き直るわ、仕舞いにはギターを弾いて歌い出す始末。まるでコントのような展開だ。それから2004年には、当時人気だったアイドルデュオ『トライアンフキングダム』のジョイスが、ヤーバー4000錠というとてつもない量の覚醒剤を所持していることが発覚し、逮捕された。彼氏の片棒を担いだ為で、彼氏は33年、彼女は8年の実刑判決を受けた。そして、2013年の半ばに出所し、その年末にイべントで一度だけデュオを復活させて、ステージに立つ。「おかえり!」という観客たちの声。本人が厚顔なだけでなく、タイ人全般がこのように出所者を拒絶しないようである。ジョイスの彼氏の刑期は33年、考えても想像できない長い月日だ。ところが、タイでは事ある毎に恩赦が出るので、殺人で終身刑を受けても大体12年前後で釈放される。ただ、違法ドラッグで刑に服する受刑者には殆ど恩赦が無い。例えば、殺人の終身刑は100年で、1回目の恩赦では半分の50年に縮まる。しかし、ドラッグ関係の受刑者は半分ではなく、1週間、或いは1ヵ月といった単位でしか貰えない。33年の刑だと、20年以上は刑務所にいることになる。要するに、ドラッグの違反は、刑期によっては殺人より重いのがタイなのだ。刑務所の生活は決して楽ではない。タイ人受刑者には労働義務があり、その際に少ないながら賃金が出て、所内の売店で菓子や炭酸飲料等が買える。しかし、外国人は労働免除。気楽なようでも現金収入が無い。一応食事は出るが、1日2食、それもタイ料理だけ。甘いものが嫌いな人でさえ、身体が甘味を欲してくるという。そうなると、外国人受刑者は何とかして日銭を稼ぐ必要がある。刑務所には当然、エアコンは無い。雑魚寝で居心地も悪い。その上、自分で何かを創り出して販売し、お金を稼がなければならない。ある日本人受刑者は、ホットプレートを買ってドーナツを焼いて売ったという。タイの刑務所で生きていくにはサバイバル能力が必要だが、逆に言えば、何でも手に入る自由な世界でもある。無茶をすれば携帯電話も入手可能だ。ただ、所長が代わると全てがひっくり返される。その日本人も、折角手に入れたホットプレートを没収されてしまったのだとか。タイの違法ドラッグの刑法が改正され、ほんの少しだが、以前より厳しくなった。捕まったら地獄である。タイではドラッグに手を出さないほうが賢明だ。


キャプチャ  第23号掲載
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