【JR・栄光と苦悩の30年】(01) 毛細血管も動脈もストップ…留萌本線“連鎖廃線”の恐怖

『日本国有鉄道(国鉄)』の分割民営化は、光と影を齎した。人口の多い都市部ではサービスが改善したが、地方では赤字路線の廃線や縮小が続いている。民営化30年で愈々顕在化した“影”に迫った。

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昨年12月、『JR北海道』留萌本線の一部が惜しまれつつ廃線になった。対象になったのは、日本海沿岸を走る留萌-増毛間16.7㎞。最終運行日までの1年間は、全国から鉄道ファンが押し寄せた。観光の駆け込み需要が終わった今、地元は厳しい現実に直面している。海風に車のハンドルを取られながら、廃線になった路線と並行する道路を運転していると、そこには“寂しい”としか言いようのない風景が広がっていた。旧“礼受駅”。海抜16mにあり、崖の下はもう海だ。駅舎として使われていた中古の車両に錆が浮いている。当然、“駅”を訪れる人はいない。地元の人に話を聞くと、JR北海道は廃線に向けて着々と布石を打っていたようだ。30年前の国鉄の分割民営化直後、JR北海道は礼受駅等複数の“駅舎”を、趣のある木造建築から中古の鉄道車両へと変えてしまった。中古車両は廃材のようなもので、その原価はただ同然である。更には、増毛駅の木造駅舎を、文字通り“一刀両断”。駅舎を半分に切って、片方を更地にしてしまった。駅舎を小さくすることで、維持コストがどれくらい低減できるのかはわからないが、兎に角、「これからJR北海道は徹底的にコスト削減を断行する」という決意表明のようなものだった。増毛町長で鉄道ファンでもある堀雅志氏は当時、JR北海道による駅舎の縮小を「『つまらないことをするなぁ』と思って見ていた」。その後も合理化は続いた。JR北海道が留萌-増毛間の廃線を発表した2015年とその翌年、冬季期間中に同区間を運休した。表向きは「雪崩の恐れがあるから」と説明されたが、町民は「地元住民を鉄道無しの生活に慣らす為の予行演習だった」とみる。結局、運休中に雪崩は起きなかった。増毛町にある酒蔵『国稀酒造』企画室の本間櫻室長は、「廃線になってから、あまりにも仕事が無くて手持ち無沙汰だ」と心配する。「公共交通がバスだけになっても、繁忙期の夏に例年通り客が来てくれるかどうか…」と、不安を隠せない様子だ。既に、町民生活には影響が出始めている。以前から留萌市への通学・通院の手段はバスが主流だったが、廃線により旭川市への通院は不便になり、隣町まで気軽に飲みに行けなくなった。

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代替交通として始まった乗り合いタクシーは補助もあって安いが、前日までの予約が必要で、使い勝手は悪い。しかも、増毛町には追い打ちとなる事態が迫る。運行中の深川-留萌間も含めた全線の廃線が検討されているのだ。そうなれば、増毛町と旭川市や札幌市を結ぶ公共交通はバスだけになる。毛細血管だけだと思ったら、動脈まで切られてしまう事態だ。増毛町の水産卸会社『遠藤水産』営業部の遠藤秋平部長は、「昨年の廃線の影響も検証しないうちに、JR北海道は次の廃線を言い始めた。地元への全線廃線に関する説明は無い」と身構えている。JR北海道は昨年11月、単独維持が困難な路線として、留萌本線(深川-留萌間)等3路線を挙げた。深川-留萌間の1列車当たりの平均乗客数は11人。100円の営業収入を得るのに1342円の費用がかかるという。実際に、留萌本線に乗車してみた。深川駅から車両に乗ると、乗客が20人もいて肩透かしを食らった。だが、話を聞くと、その内の12人が公立高校の面接試験を終えて帰宅する中学生だった。受験生の林駿汰さんは、「JRで通学できるかどうかはわからない。友だちと話し易いので、バスよりは列車で通いたい」と、やはり廃線問題に不安を感じているようだった。受験生が全員、途中駅で下車すると、残ったのは本誌記者を含めて8人だけになった。留萌本線の全線廃線で最も影響を受けるのが、沼田町と秩父別町から深川市方面に通学する高校生120人だ。通学手段をバスに替えると、放課後、学習塾に通うのが難しくなる。留萌本線の周辺にある模数の自治体は協議会を立ち上げ、魔線に反対し、路線存続に向け国の支援を求める方針を固めた。しかし、地域住民は「国やJRからカネを引き出す為のポーズだ。JRの廃線の意志は固いだろう」と冷めた目で見る。鉄道交通の“負の連鎖”は留まるところを知らない。1区間が廃線になると、その近隣区間の利用客数が減り、路線の廃線・縮小が連鎖してしまう。留萌本線の起点である深川駅には函館本線の特急が停車するが、地元の飲食店経営者は「留萌本線が無くなれば深川に止まらなくなるのでは」と気を揉む。廃線は、真綿で首を絞めるように、地域経済を衰えさせていく。


キャプチャ  2017年3月25日号掲載
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