【儲かる農業2017】(04) 補助金ゼロ・JAルートゼロ…『黒澤ライス』の超型破り経営

2018年産米の減反廃止を睨んで、日本のコメ農家は戦々恐々としている。そんな中で、減反廃止などどこ吹く風の農家がいる。業界の異端児に学ぶ儲かる農業の極意とは?

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コメ農家でありながら、減反の補助金を一度たりとも受け取ったことがない――。そんな類い稀なる農家がいると聞いて、宮城県涌谷町へ降り立った。『黒澤ライスサービス』代表の黒澤伸嘉氏(40)は、コメ農家の4代目。曽祖父の代には既に有機栽培を始めていたというから、黒澤の家系には道を切り開くパイオニアの血が脈々と流れているのかもしれない。よくよく聞いてみると、補助金と無縁なばかりではなく、地元のJAとの付き合いも全く無いらしい。一般的な農家ならば、農業資材や農機の調達、コメの販路開拓では多少なりともJAに依存するところだが、黒澤さんは父の代から、農業経営に関わる全ての業務を独自の方法で進めてきた。規制緩和が進み、日本の農業が激変期を迎えている今、過去の柵が無いことは追い風になる。実際に黒澤ライスサービスは、農地を飛躍的に拡大させている。「音はJAとも色々あったらしいけどね。時代は変わるものです。嘗ては父の天敵だったJAの重鎮から、『やっぱり黒澤さんに農地をお願いしたい』なんて言われるようになるんですから」(黒澤氏)。現在、耕地面積は300haに上る。高齢化等の理由で農地を譲り受ける機会が増えて、今や農地は80ヵ所に点在している。「うちはね、お宅に載っているモデル農家さんみたいに、法人格を取って経営している訳じゃないからね。だから無認可だよ!」(同)と冗談めかして言う。兎に角、黒澤ライスサービスはめっぽう儲かっている。それこそ、補助金塗れのコメ農家が喘ぎ苦しんでいる中で、“利益率50%”というのは驚異的な水準だ。あまり大きな声では言えないが、黒澤氏の年収は3000万円(!)である。それでは、儲かる秘密はどこにあるのか? 先ず、コメの販路は100%の売り先を確保している。というよりも、ほぼオーダーメイドに近い。顧客は『生協』と日本酒蔵元が中心だ。「もっと纏まったコメを売ってほしい」という依頼はあるのだが、機会ロスを起こしている状況だ。

黒澤ライスサービスのコメは、滅茶苦茶高く売れる。『おもてなし』・『コシヒカリ』・『ひとめばれ』・『つや姫』、それに酒米の『山田錦』・『豊錦』…。全部で12品種のコメを栽培しているが、食用米も酒米も1俵(60㎏)当たり約3万円と高い。一般的な相場と比べると2倍程度の金額である。広大な農地で効率的に生産し、農薬代がかからない無農薬栽培で低コストを実現し、相場の倍額ほどでコメが売れる。これで儲からない訳がない。そして、黒澤ライスサービスの最大の強みは、強力な販路を複数持っていて、それが更に広がり続けていることだ。地元の宮城県で有名な日本酒『綿屋』の蔵元には、黒澤氏にしか作れない酒米を納めている。綿屋を展開する『金の井酒造』の三浦幹典社長は、「美味しい日本酒を造る為に、原料の酒米に拘るようになったのは自然の流れ。黒澤氏は、お酒を共同開発しているパートナーです」と言い切る。興味深いのは、綿屋の純米大吟醸のラベルには、“黒澤米 山田錦”と目立つように名前が刻印されて売られていることだ。「黒澤さんが作った黒澤米が使われていることが、日本酒のブランド価値を上げる」と、三浦社長が判断しているのだ。葡萄から大事に育てると良質なワインが生まれるように、日本酒もコメの品種や栽培法に拘るようになっている。因みに、黒澤米を使用したこの酒は、1升5400円もする高級品だ。「特に変わったことをしている訳ではないんですよ。当たり前のことを当たり前のようにやっているだけ」。儲かる農業の秘訣について尋ねる度に、黒澤氏はそう繰り返した。確かに、奇手妙手で稼いでいる訳ではない。ただ、不思議なことに、「お客さんと契約をする時に、こちらから金額を提示することはない」(黒澤氏)のだそうだ。「どれほど強気な交渉ができるのか?」と思ったが、金額を提示しない意図はそこではないらしい。農機を注文する時も、営業マンに「一度も“あいみつ”を取ったことがない。ヤンマーだってクボタだっていいから、今年発売になったいいものを持ってきてね。貴方が薦めるのだから信用する」(同)と声を掛ける。運送会社と長期契約を結ぶ時も、「大ロットの集荷が増えて、運送会社の負担が軽くなった時も、値下げ要請をしない。仮に物流網がパンクした時でも、うちの集荷を最優先して助けてくれる」(同)。結局、日々の取引の金額に大きな差が出るものではなく、現実的なラインで落ち着くもの。短期的なコストダウンよりも、長期的に信頼できるビジネスパートナーを多面的に増やしたほうが、持続的な農場経営の為には得策なのだ。


キャプチャ  2017年2月18日号掲載
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テーマ : 経済・社会
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