【トルコ国民投票】(上) 記者・野党党首ら“拘束”

大統領権限を強化するトルコの憲法改正案。その是非を問う国民投票を16日に控え、揺れる市民の姿を追った。

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昨年4月、イスタンブール。通信社で記者を務めるムハメット・ドウルさん(23)の自宅に警察が乗り込んだ。その場で拘束され、連行された。理由は不明だった。3日後、数週間前に書いた記事が原因だとわかった。トルコの少数派・クルド人の抗議デモを取材し、人権状況の改善を求める要求を記事に盛り込んだ。それが「クルド人武装勢力と繋がりがある」と疑われた。ドウルさんが勤務する『ディチレ通信社』は、“反体制派”と見做され、昨年10月末に閉鎖された。今年2月に漸く釈放されたドウルさんは、「政治家に対する健全な批判もできないのがトルコの現状だ。憲法改正で表現の自由はゼロになる」と憤った。トルコの記者らは、自由な言論が封殺され、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領を一切批判できない雰囲気が強まっていると感じている。ジャーナリストを支援するNGO『P24』(※本部はイスタンブール)によると、現在、記者約150人が拘束されており、新聞やテレビ局等約160の報道機関が閉鎖された。昨年7月のクーデター未遂事件以降、その黒幕とみる宗教指導者のフェトフッラー・ギュレン師派に対する粛清や、反体制派の報道機関への締め付けは続いている。

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最大野党『共和人民党』とクルド人系『人民民主党』は、改憲案への反対を鮮明にしている。裁判官や検察官の人事権について、大統領に大きな裁量を与える内容が、司法に強い影響を及ぼすことを特に問題視している。今月8日、人民民主党がイスタンブールで開いた憲法改正反対集会。「改憲で、政府は司法制度を乗っ取ろうとしている」。演説したフィリズ・ケレステジオール副党首が強く訴えた。しかし、集会に参加したのは数千人程度。本来、演台に立つ筈だった共同党首は拘束され、姿が無く、動員力が弱っている。集会に駆けつけた配管工のメフメット・アルタシュさん(22)は、「党首拘束は政治的弾圧に他ならない」と批判した。反対派は力を落としている。だが、最新世論調査で改憲反対は45~51%に上り、賛成派と詰抗。息を潜めて反撃の機会を窺う。ギュレン師の運営する学校で教壇に立っていた30代の男性は、クーデター未遂事件後に教員資格を剥奪された。拘束を逃れながら、今はイスタンブールを離れ、地方で暮らす身。電話越しに、「教育者として間違ったことは何一つしていない。多くの教師や生徒が、この事態に心を痛めている」。と語った。定職が見つからず、日雇いの仕事を転々とするが、「憲法改正でトルコの政治状況は悪化する。絶対に反対票を投じる」と力を込めた。


⦿読売新聞 2017年4月14日付掲載⦿
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