【トルコ国民投票】(下) 経済成長、根強い政権支持

20170418 07
家具作りの街として知られるトルコ西部のイネゴルに、“業界のプリンス”と呼ばれる男が住む。国内最大級の家具専門モール『モビリユム』を経営するティモル・ハンさん(46)だ。起業から僅か7年で自社を急成長させ、一昨年、友人14人と巨大モールを開いた。テレビでも脚光を浴びる実業家が、成功の裏話を語った。「彼がいなければ今の私はいなかった。彼への支持は決して揺るがない」。“彼”とはレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領を指す。1990年代、トルコでは短命の連立政権が続き、経済政策は迷走し、通貨暴落とインフレに直面した。エルドアン氏が率いる『公正発展党(AKP)』は、2002年の総選挙で政権獲得後、海外からの投資を増やす政策を進め、中小企業の支援で経済を活性化させた。イネゴルでは、伝統産業再生の為、『国際家具フェア』への参加や、家具作りを教える学校開設に補助金が支給された。ハンさんも海外で家具の最新流行を学び、ヒット作の発表に繋がった。

“家具の首都”と呼ばれるまでに発展したイネゴル。ハンさんは、「外国人は彼の国への貢献を知らない」と語った。AKPの最大の功績は経済発展と言われる。国内総生産(GDP)は大きく伸び、国民1人当たりの年間所得は2015年に1万ドル(約110万円)を超え、2002年比の約3倍。 先進国には未だ及ばないが、有力新興国へと躍進した。その恩恵を受ける人々の支持は強固。イネゴルでAKPの得票率は7割に達し、全国有数の高さとなった。AKPは今月8日、イスタンブールで国民投票での賛成を呼びかける決起集会を開いた。大統領の顔写真が溢れる会場は、まるで“エルドアン党”の集会だ。エルドアン大統領がヘリコプターで到着すると、100万人と発表された参加者の興奮は最高潮に達した。「議会が死刑復活を認めれば、私は承認するだろう」。反対派の粛清を念頭に、大統領はこう演説した。『ヨーロッパ連合(EU)』との決裂に繋がりかねない発言だが、会場にいた無職のバキ・アイハンさん(62)は「その通りだ」と声援を送った。子供の頃、パンや砂糖を買う為に長蛇の列を作ったが、今は家族が何不自由なく生活できるようになった。アイハンさんは、「憲法改正の中身はよく知らない。でも、大統領を信じている」と話した。エルドアン大統領の信任投票の様相を帯びる国民投票。しかし、支持率には最近、陰りも見える。近年、経済成長が純化する中、続発するテロで観光産業が打撃を受け、失業率も11%へ上昇。経済への不安が広がっている為だ。トルコで先月、映画『レイス』(※“指導者”の意)が封切られた。裕福とは言えない少年時代から大統領に上り詰めたエルドアン氏の波乱の半生を描いた内容だが、映画館の入りは今一つという。

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カイロ支局 本間圭一・エルサレム支局 上地洋実が担当しました。


⦿読売新聞 2017年4月15日付掲載⦿
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