【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(39) 土地をネタに巨額資金を詐取する“地面師”との苦い思い出

『森友学園』を巡る国有地払い下げ問題は、籠池泰典理事長の証人喚問にまで発展した。その論拠となったのが、大阪府豊中市が購入した同学園に隣接する国有地の売買価格である。この隣接国有地は14億2000万円で豊中市に売却されており、その価格と比較すれば、「森友学園は相場の1割で用地取得している」というものだ。ところが、この隣接国有地の売却に当たっては公的補助金等が支出されており、豊中市は実質負担2000万円で同土地を収得したことになる。これにより、「森友学園が不当に安く国有地を取得した」という論拠は崩れ去ったのである。抑々、広大な学校用地に住宅価格を算定基準に評価額を決めるのがおかしい。この方法だと、実質的な価格より高額になるのは間違いない。地中にゴミが埋設され、航空機の騒音と建築制限で用途の限られるこの土地は、“事故物件”と言ってもいいくらいだ。それにしても、籠池ファミリーの胡散臭さには興味が尽きない。この騒ぎで、一度は表面化するかと思われた『豊洲市場』の土地売買問題は有耶無耶になった。小悪は光を当てられるが、巨悪が闇に葬られるのは世の常なのだろう。筆者には、豊中市で思い出す苦い思い出がある。リーマンショックで土地取引も冷え切っていた2009年の物語である。「JR新大阪駅に近い駐車場を格安で買える」という話が来た。現地を見に行くと、幹線道路に面した月極駐車場で、約300坪、ざっと見積もっても7億円はするだろう。所有者は、豊中市に住む93歳の女性だった。条件は、「5億5000万円の現金決済、手付金5000万円を払えば、直ぐに売買契約を結べる」というものだった。こうなると早い者勝ちだ。筆者は早速、相手の指定する司法書士事務所へ5000万円を持参した。

そこには、車椅子に乗った高齢の女性、その介助をする妹、それに仲介業者が待っていた。93歳の所有者は、白髪を丁寧にセットして、仕立てのいい洋服と宝石を身に着け、とても上品な女性だった。事情を聞くと、豊中市から代々続く資産家の奥方で、ご主人は20年前に亡くなっているという。他にも不動産を所有しているが、孫の為に急遽、この駐車場を売却することにしたらしい。売買に必要な書類も契約書も既に準備されている。駐車場の賃貸契約書も原本が持参されており、大手酒造メーカーが大半を借りていることもわかった。賃貸収入だけで月に150万円以上ある。筆者は手付金の現金5000万円を支払い、同行した不動産屋の名義で売買契約を結ぶことができた。1ヵ月後には残額を決済して、駐車場の所有権は筆者のものとなる。その後、高値の転売先を見つければいいだけだ。そして、決済まであと数日となったある朝。“老人地面師グループ逮捕”というニュースが、テレビと新聞で大きく報道された。そこに映し出されていたのは、紛れもなく筆者が売買契約をした相手だった。所有者になりすましていたのは、神戸市長田区に住む無職の88歳の女で、妹と称していたのは、女の訪問介護をしていたへルパーだった。女たちは、不動産屋が用意した偽造の住基力ードと保険証を使い、他人の土地を売り飛ばす“地面師”だったのだ。その後の調べで、本当の所有者は認知症で施設に入所していることがわかった。その情報も、このへルパーによって入手したものだったらしい。この女たちは別件で逮捕されたが、当然、筆者の売買契約も事件化され、おかげで大阪府警に通うこととなった。何よりも、長田区という目と鼻の先に、筆者を騙す老人地面師がいたことに驚いたものだ。勿論、手付金5000万円が返ってくることはなかった。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2017年4月11日・18日号掲載
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