【JR30年・光と影】(上) 住民の“足”、如何に守る

『日本国有鉄道(国鉄)』の分割・民営化で、JRの旅客・貨物7社が発足してから今月、30年となった。高速化やサービス向上が進んだ一方、人口減少社会の中、路線維持を始めとする課題も表面化している。現状を報告する。

20170419 02
「無くなったら通学に困る。後輩の進学の選択肢も減ってしまう」――。宮崎県小林市のJR吉都線(62㎞)・小林駅で、高校からの帰りの列車を待っていた馬場湧也さん(17)は不安な表情を見せた。不動産事業等の多角経営で業績を上げた『JR九州』は昨年、株式上場を果たした。だが、同社の在来線の多くは赤字。上場後、馬場さんの家族や同級生の間では、「経営合理化で赤字路線が切り捨てられるのでは?」との懸念が話題に上るようになったという。危機感は自治体にも広がる。日南線(89㎞)の10駅がある同県日南市は昨秋、同社の3800株を購入した。市幹部は、「株主の立場から路線維持を訴えていかなければ」と狙いを明かす。沿線人口の減少や高速道路の延伸で、利用の落ち込みに歯止めがかからない『JR北海道』は昨年12月、道内最悪の赤字線区だった留前本線の留間-増毛間(17㎞)を廃止した。

更に、13線区の1237㎞について、2019年度を目途に廃止を含めて全面的に見直す方針を打ち出している。『JR四国』の半井真司社長も、「人口減が続けば今の鉄路を維持できない」とする。経営基盤の強い本州3社も例外でない。広島県三次市-島根県江津市の山間部を走る『JR西日本』の三江線(108㎞)は来春、廃止される。民営化後の30年間で、利用者数が9分の1程度まで減少した為だ。東日本大震災の津波被害を受けた岩手・宮城の大船渡線の一部(44㎞)と、宮城の気仙沼線全線(73㎞)は、線路跡に設けた専用道にバスを走らせる方式に変更した。『JR東日本』の冨田哲郎社長は、「鉄道のメリットは大量輸送。利用者が少ないなら、鉄道以外の交通の在り方を考えていくことが大事だ」と語る。如何に住民の“足”を守り、育てるか――。人口減社会の到来は、JR各社は勿論、自治体や地域にも重い課題を突きつける。2011年7月の豪雨被害で福島県の28㎞区間が不通となっている只見線は昨年12月、駅や線路は自治体が保有し、列車運行はJR東が担う“上下分離方式”で復旧させることが決まった。地元負担は小さくないが、「美しい渓谷を通る路線を守ることが観光誘致に繋がる」との考えからだ。2003年に46㎞が廃止された広島県の可部線では、先月、広島市内の一部区間(1.6㎞)が電化の上、復活した。一旦廃止されたJR路線の再開は初めてで、市が18億円、国が9億円を負担した。線路周辺の草刈りやイベント開催で再開の機運を盛り上げてきた住民団体会長の大畠正彦さん(76)は力を込める。「電車が来ただけで地域が発展する訳ではない。これからどう生かすかが大事です」。


⦿読売新聞 2017年4月7日付掲載⦿
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