【JR30年・光と影】(中) 新幹線延伸、地域に恩恵

20170419 03
「浮上走行に移ります」――。『JR東海』のリニア車両『L0系』は、車内放送が流れると車輪のガタガタという振動が無くなり、ふわっと浮く感覚から、あっという間に試乗した人たちを時速500㎞の世界に引き込む。リニアの研究が始まったのは1962年。だが、旧国鉄時代の収益は赤字ローカル線の維持等に振り向けられ、将来への投資に回す資金の余裕は無かった。同社リニア開発本部の白國紀行部長は、「国鉄民営化が無ければリニアは実現できなかっただろう」と振り返る。1973年に策定された全国を高速鉄道で繋ぐ整備新幹線計画は、建設費の3分の2を国、残りの3分の1を地方自治体が負担するのが基本だ。ところが、リニア中央新幹線の整備は、JR東海が9兆円超の建設費を自力で賄う。“ドル箱”の東海道新幹線を持つ強い収益基盤が道を開いた。

山梨県にある実験線で、航空力学も駆使して改良が重ねられている“夢の超特急”は、10年後の2027年に品川(東京)-名古屋間の286㎞で開業する。現在は約1時間半かかるこの区間を、僅か40分で結ぶ予定だ。国鉄時代に一時凍結された整備新幹線計画は、民営化で再び動き出した。1987年に約2011㎞だった整備区間は、2016年に約1.5倍の2997㎞に延びた。同じ期間に、新幹線の年間旅客数も、約2億681万人から約3億6570万人に増えた。東京-金沢間は、嘗ては特急を乗り継いで約5時間かかったが、2015年に北陸新幹線の長野-金沢間が開業し、最速2時間28分に縮まった。移動手段を航空機から新幹線にする人も増えている。敦賀-新大阪間の延伸ルートも与党の検討チームで決まり、計画決定から44年で全区間が固まった。整備新幹線は、北海道(新函館北斗-札幌間)・九州(武雄温泉-長崎間)の建設も控える。新幹線の開通は、観光面等地域経済に与える波及効果が大きい。鉄道収入が好調な『JR東日本』は、「新幹線が北海道や北陸まで延び、利便性が向上した」(冨田哲郎社長)ことが追い風だ。この為、整備計画が無い“空白地帯”の四国でも、待望論は根強い。誘致活動に取り組む『四国経済連合会』の大西玉喜常務理事は、「新幹線が無いと、政府が掲げる地方創生を実現する上でも非常に不利だ」と力説する。一方、この30年で高速道路網の整備は、新幹線を上回るペースで進んだ。特に地方では、鉄道利用から車への“乗り換え”が顕著だ。このまま人口減少が続けば、新幹線の利用者も減る恐れがある。“薔薇色”の効果ばかりを強調せず、将来を見据え、地域の実情に合った冷静な議論も求められている。


⦿読売新聞 2017年4月8日付掲載⦿
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