【JR30年・光と影】(下) 安全対策、終わり無し

20170419 04
1日当たり120万回の信号確認、15万回の車両ドアの開閉、1700万人の利用者――。国内最大の鉄道会社『JR東日本』。発足30年となった今月1日の入社式で、冨田哲郎社長は新入社員に語りかけた。「30年前の今日、失われた信頼を取り戻す厳しいスタートだった。膨大な数のリスクと向き合っているのが鉄道の仕事だ」。“親方日の丸”と言われた国鉄時代、職員の怠慢等に起因する事故や運行トラブルが頻発し、信頼は地に落ちた。その反省から、JR各社が重視したのが、自動列車停止裝置(ATS)の整備を始めとする安全への投資だ。発足時の1987年度に850件に上った事故(※自殺除く)は、2015年度に318件へ減った。だが、安全設備が充実しても、事故を防ぐ最後の砦はあくまで人。2015年4月、意識の低さを露呈したトラブルがあった。山手線の神田-秋葉原駅間で、電車の通過直後、架線支柱がレール上に倒れた。

JR東はその2日前に支柱の傾きを確認したが、「週末で人手を確保できない」と放置していた。「死傷者が出なかったのは不幸中の幸いだった」と、当時の幹部は言う。経営難の『JR北海道』の事情は更に深刻だ。2011年5月、占冠村の石勝線トンネル内で特急列車が脱線・炎上して、79人が負傷した事故では、車両検査が不十分だったことが判明。その後も、補修すべきレールを放置する等、相次いで不備が発覚し、同社が安全対策に十分に取り組んでこなかった実態を浮き彫りにした。乗客106人が死亡した2005年4月の福知山線脱線事故。『JR西日本』が翌年に設立した『安全研究所』研究主幹の阿部啓二氏(右上画像)は、『日本航空(JAL)』の元運航安全推進部長で、1985年のジャンボ機墜落事故の遺族対応に当たった経験もある。着任当初、JRの印象は「まるで軍隊だった」という。上意下達の厳しい指導が、個人のミスを責める風土を生んでいた。「根拠の無い精神論で安全は保てない」。手がけたのが、1つのミスをチームでカバーする訓練プログラム作りだった。2004年に467億円だったJR西の安全投資額は事故後、700億~1200億円台に増えた。事故の予兆となるミスの報告を促す為、昨春からは運転士らの人的ミスを懲戒処分の対象外とする見直しも行われた。しかし、事故後に入社した社員は既に3割に上り、風化への懸念もある。“加害企業”としての意識を持ち続け、“安全文化”を定着させられるのか。阿部さんは言う。「社員が“乗客の命を守る”ということを常に考え、語り継ぐ営みを続けるしかない。安全対策にゴールは無い」。


⦿読売新聞 2017年4月9日付掲載⦿
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