【フランス大統領選・欧州の選択】(上) 失業増、極右が躍進

フランス大統領選に向けて、『ヨーロッパ連合(EU)』離脱や排外主義への支持が広がる。政治の転換点が近付くフランスの現状と背景を探る。

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地中海に浮かぶコルシカ島の最大都市・アジャクシオに今月8日、大統領選挙に向け支持率首位を争う『国民戦線(FN)』のマリーヌ・ル・ペン党首の姿があった。「EUの増大するばかげた権力に、もう我慢できない。私はフランス国民の利益の為に戦う」。皇帝ナポレオン1世の生家に程近い演説会場で、ルペン党首は“フランス第一”を訴えた。支持者は、フランス共和国の象徴である青・白・赤の国旗を振って応えた。ルペン党首支持者の多くは、政治の現状に失望し、政治を支配するエリートに反発する。ルペン党首は演説で“反エリート”を叫ぶ。だが、ルペン党首の政策立案を陰で支えるのは、典型的なエリートたちの集団だ。ルペン陣営の政策集団『レオラス』は昨年1月、現職のフランソワ・オランド大統領を始め、歴代の大統領や首相を何人も輩出した国立行政学院(ENA)を中心とするエリート養成機関を出た高級官僚・大企業の幹部・弁護士らが結成した。約130人いるメンバーの1人であるジャン・メシアさん(46)は昨年末、国防省を辞め、ルペン陣営に入った。「EUが失敗だったのは明らか。フランスは、主権を回復しなければ二流国になる。国の将来を考えているのはルペン党首だけだ」。メシアさんはこう語る。

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ルペン党首は2011年、人種差別的な言動で白眼視された父から国民戦線を受け継いだ。低所得者や中小企業への支援・福祉の充実等、大統領選ではライバル候補のエマニュエル・マクロン前経済大臣と似通った政策も掲げる。過激な発言は影を潜めたが、イスラム教徒や移民の排除といった先代から受け継いだ“党是”にブレは無い。エリートが胸に秘める憂国の情と危機感が、ルペン党首の排他的な叫びと共振する。「失業者が溢れても、既存政党は何の手も打たなかった」。ドイツ国境に近い北東部の鉄鋼の町・アヤンジュで、ファビアン・アンジェルマン町長(37)は、中道左派と中道右派の2大政党が支配してきた政治に、現在の閉塞状況の原因を求める。町長は2014年、国民戦線から初当選した。2008年のリーマンショックで鉄鋼メーカーが事業を再編し、町を支えた2基の高炉は2011年に火が消えた。人口1万5000人の町で約2000人が職を失った。靴店を営むドゥフィブさん(59)は「町も随分寂しくなった」と、人通りの少ない商店街で溜め息を吐いた。国民戦線は元々、南部が地盤だが、産業が衰退した北東部でも支持を広げ、2014年の地方選では全国で10人の市長・町長を当選させ、ヨーロッパ全体に衝撃を与えた。EUの単一通貨・ユーロ圏で2010年、ギリシャを震源に債務危機が深刻化すると、フランスにも波及した。失業率は2012年以降、10%前後で高止まりし、多様な人種や宗教を受け入れてきた寛容の精神は痩せ細った。多くの人々から経済的にも精神的にも余裕と自信を奪った社会の変質は、EUや移民を“内なる敵”に見立てて攻撃するルペン党首を、政界の異端から大統領の有力候補に押し上げた。


⦿読売新聞 2017年4月11日付掲載⦿
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