【日本の政治・ここがフシギ】第2部(01) 見えぬ議員の懐事情

20170421 04
政治とカネは切っても切れない。政治家が自身の名前を広めて選挙に勝ち、政策を実現させるには何かとお金がかかる。“先立つものはカネ”なのは、多くの国の政治の現実だが、そんな中でも日本は特殊だ。5ヵ月ほど前の2016年アメリカ大統領選。ドナルド・トランプ氏は、全米で1億ドルを超す個人献金を集めた。献金者を地域別でみると、フロリダ州やテキサス州等南部が特に多い。対するヒラリー・クリントン氏は4億ドル近くを集め、資金源はニューヨーク州やカリフォルニア州が多い――。『アメリカ連邦選挙委員会』のウェブサイトを覗くと、直ぐにこんな分析ができる。2次加工できる数値データは勿論、地図と収入額のグラフを組み合わせた情報も掲載され、誰でも政治家の懐が簡単にわかる。同じような情報を日本で調べるのは難しい。先ず、データが古い。ある年の政治家の政治資金収支報告書が公開されるのは1年近く後、翌年秋だ。資料は手書きの紙や印刷物のPDFで、人間が読み込まなければ数値は分析に使えない。

まだまだある。報告書の提出先は複数ある。総務省と、各都道府県の選挙管理委員会の両方の資料を調べなければ、全容はわからない。47都道府県の内、インターネット公開をしているのは27だけだ。しかも、政治家の名前で探せる訳でもない。安倍晋三首相なら、自身が代表の政党支部“自民党山口県第4選挙区支部”や、資金管理団体『晋和会』等を1つずつ調べていく必要がある。「日本の収支報告は如何にも時代遅れだ」。政治資金制度に詳しい日本大学の岩井奉信教授は手厳しい。政治資金の流れをチェックするのは、時間や労力をかけられる報道機関や市民団体が中心。一般の有権者にとっては遠い存在だ。アメリカやイギリスは、個人や企業からの献金を重視し、同時に情報公開も徹底している。ドイツは「企業献金は不正の温床になる」と判断し、1959年に透明性が高い公的助成を導入した。日本は1990年代に政党交付金を導入した際、企業献金から個人献金へ軸足を移そうと考えたが、20年経っても個人献金は広がらない。先月末、『楽天』が2009年に開設したクレジットカードで個人献金できるサイトがサービスを終了。約190人の現職議員らが登録していた。「インターネット選挙の普及に一定の役割を果たしたが、登録政治家数が減少傾向だった」(広報部)という。「個人献金を拡大し、市民の政治参加を促すことは重要。公的機関のサイトで簡単に献金できる仕組みが必要だ」。政策研究大学院大学の飯尾潤教授は強調する。個人献金が広がれば政治資金への関心が集まり、制度の透明性も高まるかもしれない。票だけでなく、政治資金でも有権者の関与が求められる。


⦿日本経済新聞 2017年4月5日付掲載⦿
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