【笑う北朝鮮・崩壊論の嘘】(06) 韓国次期大統領、新政権は融和路線確実

20170421 18
韓国の朴槿恵大統領が罷免されたことを受け、次期大統領選が来月に実施される予定だ。朴氏を巡るスキャンダルによって、保守系の与党『自由韓国党』(※『セヌリ党』から改称)は厳しい逆風に曝されている。前国連事務総長の潘基文氏は大統領選不出馬を宣言し、大統領代行兼首相の黄教安氏も不出馬となり、保守派の候補はいなくなった。その為、誰が当選しても、韓国の対北朝鮮政策には修正が加えられることになるだろう。北朝鮮にとっては追い風となる可能性もある。韓国の次期政権にとって、北朝鮮の核・ミサイル開発問題との関係でより喫緊の課題は、北朝鮮の弾道ミサイルを睨んだアメリカ軍の最新鋭迎撃システム『終末高高度防衛(THAAD)ミサイル』の韓国への配備問題だ。THAADミサイルは、アメリカ軍がミサイル防衛計画の一環として開発した移動式・地上配備型の迎撃ミサイルで、大気圏外で迎撃できなかった敵のミサイルを大気圏内に再突入する段階で打ち落とすものだ。アメリカ軍と韓国軍は、北朝鮮の『スカッド』や『ノドン』等、短・中距離弾道ミサイルを念頭に置いている。大統領選でも既に争点になっている。中国が同ミサイルの配備に対して極めて激しく反応し、韓国に“報復”措置を次々打ち出す等、圧力を加えている為だ。中国当局は、THAADミサイルの配備用地として韓国南部・星州の所有地を提供した『ロッテグループ』に対し、中国国内の同グループ店舗を閉鎖したり、グループに対する大掛かりな税務調査を実施したりする等、韓国企業に実害が生じている。この為、韓国国民の関心も高い。大統領選の候補者も、自身の姿勢をアピールしている。韓国内の世論調査において現時点で支持率トップの革新系最大野党『共に民主党』前代表の文在寅氏は、同ミサイルについて「前政権の失政だ」として厳しく批判する。

支持率2位の忠清南道知事・安煕正氏(共に民主党)は、同ミサイルについて一定の必要性を認めると共に、中国の報復措置に対して被害を受けた企業に対する支援の必要性を強調している。支持率3位の第2野党『国民の党』前共同代表の安哲秀氏は、与野党連携を重視する中道系の立場から、上位2人の何れとも異なる姿勢を打ち出す等、其々違う立場を取っている。但し、既に配備が進んでいることもあって、次期政権が導入そのものを拒否するのは容易ではないだろう。ミサイル配備を批判する文候補が、「韓国の安全保障に関する問題であり、韓国の主権事項だ」「『次の政権に(対応を)引き渡すべきだ』と何度も述べたし、賛否のどちらも予断していない」等と自身の立場に一定の余地を残しているのはその為だ。THAADミサイル配備問題について、韓国内では主に、中国との関係を左右する課題として関心が寄せられている。だが実は、この問題への次期政権の対応次第で、日米韓の協力関係に微妙な亀裂が入る危険性も否定できない。この3ヵ国の関係が揺らぐということは、北朝鮮を利する以外の何物でもない為だ。実際、北朝鮮は、対北朝鮮政策を念頭に日米韓の関係強化を進めた朴大統領が罷免されると、罷免決定の僅か2時間後に「朴大統領の弾効を求める韓国人民による大衆的闘争が粘り強く行われ、今日、裁判所が弾効を宣告した」等と速報で伝える異例の反応を見せた。「北朝鮮に対して強硬姿勢で臨み、日米韓3ヵ国の足並みを揃え、スクラムを組むことに注力した朴氏の罷免を歓迎した」と言える。韓国の新政権は、北朝鮮との“対話”に乗り出す可能性もある。現在支持率1位の文氏は、「朝鮮半島の非核化等、過去の南北間の合意を尊重するなら、金正恩委員長との首脳会談の用意がある」と表明した。文氏は、融和政策を取った盧武鉉政権で大統領秘書室長等を歴任した盧元大統領の側近中の側近である。盧政権は、2000年6月に金正日総書記(故人)と初の南北首脳会談を実現した金大中政権に続き、2007年10月に南北首脳会談を実施。金大中政権の『太陽政策』を『平和繁栄政策』と名称を変えて引き継ぎ、開城工業団地や金剛山観光事業を進める等、融和政策に積極的だった。文氏以外の候補者の誰が大統領に当選しても、北朝鮮との対話に臨もうとするかもしれない。北朝鮮の核・ミサイル開発問題に対して、「韓国がイニシアティブを取るべきだ」という思いが韓国民に根強い為だ。この時、「朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に結び直す必要がある」との立場を取り続ける中国も、韓国が北朝鮮との対話に乗り出すなら、交渉のテーブルに乗ってくる可能性は高い。ただ、アメリカの北朝鮮に対する姿勢はあくまで強硬だ。先月、日本・韓国・中国を歴訪したアメリカのレックス・ティラーソン国務長官は、日本の岸田文雄外務大臣との会談後の共同記者会見で、「北朝鮮を非核化しようとする20年間の努力は失敗した」と述べると共に、北朝鮮に対し、軍事行動を含む“あらゆる選択肢”を取る立場を明確に示した。

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とはいえ、アメリカが北朝鮮に対して軍事行動に踏み切るのは現実的ではない。同盟国である韓国の同意が必要だが、革新系の新政権が同意する筈がないし、隣接する中国も断固拒否するだろう。アメリカが軍事行動を起こすには、米韓関係を破綻させ、米中関係の緊張化を覚悟しなければならない。北朝鮮には、「アメリカが北朝鮮を脅威であると認識すれば取引に応じる筈だ」との思いがある。北朝鮮が2006年10月に初めて核実験を実施した後に、それまで北朝鮮との交渉を拒否してきたジョージ・W・ブッシュ政権が態度を翻した“悪しき成功体験”を持っている為だ。北朝鮮が現在、核・ミサイル開発のスピードを上げ ているのは、その証左と言える。北朝鮮は既に、「核の“小型化・多様化”に成功した」と主張している。残された課題は、金正恩委員長が今年1月の新年辞で示唆した大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験だろう。それが実現するまでは当面、開発の手を緩めることはないと考えられる。経済制裁による圧力も功を奏さず、軍事行動も取れないことになった時、アメリカにとって核の“放棄”ではなく、核開発の“凍結”を念頭に置いた交渉が選択肢の1つとして浮上する可能性も、完全には否定できない。昨年11月のドナルド・トランプ大統領の当選後、バラク・オバマ前政権時のジェームズ・クラッパー国家情報長官が、「北朝鮮の核放棄は難しい。可能なのは(核開発の)凍結だ」と発言した。北朝鮮はこの発言に即座に反応し、「アメリカの次期政権(トランプ政権)はこの発言を見習うべきだ」とコメントしている。しかし、北朝鮮との交渉に向かう上で、核開発の“凍結”が最終目標であってはならない。あくまで核を放棄させる為の対話でなくてはならない。北朝鮮の姿勢を転換させる為にはやはり、“圧力”が必要だ。その為にも、日米韓の協力体制を維持する必要がある。韓国の新政権が融和路線に走るのはよいが、北朝鮮が念頭に置いているのはあくまでアメリカだ。韓国の新政権が融和的な姿勢を取るにせよ、ただ北朝鮮を利するばかりではなく、「日米韓の協力体制が重要である」との認識を持って対峙する必要がある。6ヵ国協議を本来の形で機能させる等、多国間協議を軸に対応を続けなければいけない。 (南山大学教授 平岩俊司) =おわり


キャプチャ  2017年4月11日号掲載
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