【ふるさと納税が日本を滅ぼす】(03) 「目的は市のPRであって寄付金集めではない」――池田宜永氏(宮崎県都城市長)インタビュー

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――ふるさと納税の寄付金額が急激に伸びていますね。
「元々、都城は肉の生産高が日本一です。また、日本一の焼酎メーカー“霧島酒造”がありますが、霧島は鹿児島の焼酎だと思っている方が多い(笑)。そこで2014年、都城を知ってもらうツールとして、『“日本一の肉と焼酎”をツカミにして、ふるさと納税を活用しよう』という方針を立てました。その方針に沿って、その年の10月にふるさと納税をリニューアルしました。そのタイミングで民間サイト“ふるさとチョイス”さんを活用させてもらうようになったのですが、始めて3ヵ月弱ぐらいで、ふるさとチョイスの年間ランキング(寄付金額)で都城がいきなり9位ぐらいに上がりました。年度が終わってみると、それまでは年間300万~500万円だった寄付が、約5億円に跳ね上がったのです。昨年度(2015年度)には、寄付金額(約42億3123万円)・寄付件数(約28万8000件)共に全国1位になりました。2016年1~12月の寄付金額は71億1317万円です(※右下グラフ参照)。1位になったのは有り難いことなんですけれど、先程も言ったように、“都城を知って頂く”というPRが基本で、寄付を集めることが主たる目的ではありません。寧ろ、件数が多いということが嬉しいですね。それだけ知ってもらう機会が増えたということですから」

――寄付者の地域別の割合は?
「首都圏の一都三県が42%です。その内、東京都が20.8%、神奈川県が10.4%。次に多い道府県は大阪府の9%です。都城市出身の方の割合はわかりません」

――都城市のふるさと納税に人気がある理由は何だと思いますか?
「当初、返礼品を肉と焼酎に絞ったことに、わかり易さがあったのではないかと思います。また、リピーターの方が約4割いらっしゃるのは、品質や業者さんの対応が評価されているということではないでしょうか」

――今は肉と焼酎以外も扱っていますね。
「肉と焼酎のPRという基本は変えていないのですけれど、その他の業者さんからもご要望がありましたし、1つの区切りとして、昨年の4月から肉と焼酎以外にも対象を広げました」

――日本一になったメリットは?
「第一に、都城を知って頂く機会が増えました。2つ目として、返礼品が100%地元の企業のものなので、地元の経済の活性化に繋がっています。42億円の内、30億円ぐらいは確実に地元に回っている訳ですから。3つ目は、市の収入が増えたこと。4つ目として、担当職員も含めた役所全体の意識改革に繋がっていると思っています。行政の仕事というのは中々、民間企業のように結果が数字で出てこないのですが、ふるさと納税は数字で見える世界がある。職員からすると、自分たちが頑張ったことに対する結果が見えるので、モチべーションが上がっている。そういった意味で、職員の意識改革に繋がっていると思います。2014年10月にリニューアルした当初、ふるさと納税を担当していたのは職員と臨時職員の2人だけでした。今は全部で20人弱の体制で回しています。年末は確定申告の関係で寄付が増えるので、45人程度に増員しました。このように、市としても雇用が増えています。また、返礼品取り扱い業者の中には、新たに人を雇用したり、設備投資をしたりするところもあるようです。リニューアル当初は、業者の皆さん、嬉しい悲鳴と言いますか…手が足りなくて、社員総出で深夜まで梱包作業をしたところもあったそうです(笑)。業者の方は、寄付者の方々のリアクションを肌で感じられるようになり、大変活気付いています。『返礼品が良かったので、寄付者の方が直接注文してきた』という例は、報道にもありましたし、私も耳にしています」

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――寄付をした方とは、その後、どのようにコミュニケーションを取っているのですか?
「昨年の11月に、肉や焼酎の業者にも参加してもらい、東京で“ふるさと納税日本一大感謝祭”を開催致しました。今後もこのようなイべントを定期的に行って、ふるさと納税を通して都城を知って下さった方や、ファンになって下さった方々との繋がりを増やしていきたいと思っています。市の特設サイトでは、ご寄付の使い道を紹介したり、情報発信したりできるように、コンテンツを増やしているところです」

――金券や電化製品は扱っていないのでしょうか?
「扱っていません。実は、昨年4月の段階では、市内のダンロップゴルフクラブさんの工場で生産している“ゼクシオ”ブランドのゴルフクラブを扱っていたのですが、総務大臣通知の“趣旨に反する返礼品”の例に“ゴルフ用品”が挙がっていたので、止めました。100%都城市で生産されているので、本来、堂々と出してもいいものなのですが。私どもとしては、ふるさと納税制度自体を壊したいという思いは当然無くて、国の指示については適切に対処したいと思っています。かっこいいことを言えば、1位としての対応の仕方というのがあると思います」

――「返礼品競争になっている」という批判についてはどうですか? また、都城のように肉や焼酎等、人気のある産品があるところはいいけれど、そうでない自治体もありますよね。
「そこは私の立場からは何とも申し上げられないのですが…。地方創生の為に、各自治体が頑張って知恵を出していく1つのきっかけとして、ふるさと納税制度があると私は思っています。どこの自治体も、与えられた条件の中で工夫されていると思いますが、そういう意味での競争は悪いことではないのかなと思っています」

――寄付金額に対する返礼品の価格の割合は?
「うちは7割くらいです」

――かなり高いほうですね。
「還元率が問題になっていることは理解していますが、うちとしては7割に拘っている訳ではありません。抑々、最初にふるさと納税をリニューアルした時の目的が都域のPRでしたし、それは今も変わりません。いくらご寄付を戴いて、いくらお返しするかというのは、各自治体の判断というところがあるかと思います」

――では今後、総務省から還元率何%以下等という通達が出たら?
「それは絶対に従います」

――都市部の住民の税金が無関係の自治体に行ってしまうのは、おかしいと思いませんか?
「私たちは、国の制度に則ってふるさと納税に取り組んでおります。税収が減った都市部の自治体については、私の立場では何とも申し上げられないと言いますか、コメントは難しい。確かに、税制という点で見れば、若しかしたら違うところがあるのかもしれませんが…。菅義偉官房長官が昨年、都城市を訪問された時にもお話しになっていましたが、元々、都市に住んでいる人が『ふるさとを助けよう』ということで、このふるさと納税ができたのだと思います。そこに、この制度の意味がある筈。想定していたよりマーケットが遥かに大きくなり、想定外の額のお金が自治体を入ったり出たりしているので、今そういう議論が出てきたのだと思います」

――過疎自治体の中にも、ふるさと納税の収支がマイナスになってしまっているところがあります。
「そういった自治体があるのは聞いております。抑々、100%素晴らしい制度は無い。ふるさと納税制度の1つの歪みとして、そういう自治体が出てしまっていることについては、これから考えていかなければいけない課題だと思います」 (聞き手/本誌編集部)


キャプチャ  2017年3月号掲載




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