【電池バブルがキタ━(゚∀゚)━!!】(10) 『ソニー』は撤退、『日産自動車』は売却へ…日の丸メーカーが招いた落日

20170424 10
『ソニー』の電池事業が『村田製作所』へ売却され、今年4月から新体制で運営される。1991年に世界で初めてリチウムイオン電池を量産し、世界へ大きなインパクトを与えたソニーが、何故競争力を失い、事業売却まで追い込まれたのか? 日本の電池産業界は、2010年以前までは世界のリーダーとして君臨してきた。しかし、昨今の日本の電池産業は一頃の力強さを失い、韓国・中国勢にはモバイル用でも車載用でも追い上げられ、部分的には逆転されている。窮状に陥ったのは何故か。筆者は嘗て『サムスンSDI』の役員として技術経営を担った経験から、大きく3つの要因があると分析している。1つは、日系電池メーカーの求心力が弱まったことだ。世界でも競争力のある日本の部材メーカーは嘗て、新材料を開発すれば先ず日系電池メーカーが採用していた。しかし、日系電池メーカーが2000年代後半からシェアを落とし、開発も守勢に入り、新材料の採用に躊躇することが増えた。結果として、サムスンSDIや『LG化学』に逸早く部材を供給する日系企業が増えつつある。部材業界にとっては、逆に積極的な韓国メーカーが求心力を高めているのが実態だ。2つ目は、マーケティング活動の弱さである。筆者がサムスンSDI在籍時、ソニーの牙城だった大手電動工具メーカーからの受注を新規で獲得した経験がある。これは、日系電池メーカーが「いいものを開発すれば使い続けてくれる」と楽観して、既存顧客への対応を疎かにしていたからだろう。対照的にサムスンSDIは、積極果敢なマーケティング活動をして、10年先までのリチウムイオン電池の開発ロードマップ・自社製品の利点・価格推移の長期展望を詳細に提案した。その後、本格的なサンプル供給と協議をタフに続け、1年後には製品供給にこぎつけて、今では存在感を大きく高めている。このように、日韓が対照的な関係にある。

3つ目は、韓国勢が中国・韓国の安価な部材も積極採用することで、コスト競争力を高めていることだ。但し、中韓の部材は日本製に比べて仕様基準を満たせない場合が少なからずあった。そこで、部材が自社の仕様基準をクリアできるよう指導したり、共同開発したりと積極的に関わる。一方の日系勢は、自社の仕様基準レベルに満たない場合、直ぐに採用を諦める。この消極姿勢が、結果としてコスト競争力に差を生じさせている原因の1つである。村田製作所にソニーの電池事業が移管されても、そのままの事業継承では競争力を出せないだろう。カギは、既に述べた部材業界との繋がりを深めて、求心力を高めることだ。また、村田製作所が電子部品を供給している電機メーカー等向け等の既存ビジネスに、電池ビジネスを上乗せして付加価値を創り上げれば勝算はあるだろう。その際の競合相手は、韓国の2強と中国の『ATL(Amperex Technology Limited)』であり、戦術が問われる。車載用リチウムイオン電池では昨年、『日産自動車』が『NEC』との合弁会社『オートモーティブエナジーサプライ(AESC)』の売却を決断した。しかし、決断から半年ほど経過するが、売却先は決まっていない。AESCは電池の安全性重視に固執し、正極に構造安定性と熱安定性に優れたマンガンスピネルを用いた。これは、エネルギー密度が他のメーカーで採用している三元系(ニッケル、マンガン、コバルト)よりも小さく、結果としてエネルギー容量面で不利になる。しかも、充放電の繰り返しに伴い、マンガン成分が電解液に溶出することで容量劣化が進む。この為、初期の電気自動車(EV)『リーフ』では、航続距離が使用期間の経過と共に短くなることが、一般ユーザーにも認識できるほどであった。日韓の電池各社との競争力、及び外部調達によるメリットを勘案すると、日産にとってはAESCを傘下に抱えないほうが得策と判断したのである。AESCの売却先が中韓勢になれば、日系の電池業界を更に弱くするリスクもあり、国内に残留できる姿が望ましい。現在の業界を眺めると、個人的には村田製作所が引き受ける姿がベストに映る。民生用と車載用を持つことで、部材調達の価格交渉力も高まる。この構図は2013年に、『産業革新機構』がソニー・日産自動車・NECの電池事業とAESCを1本に束ねるプロジェクトを推進していたことに相似している。筆者もそのプロジェクトメンバーを務めて、新会社設立のところまで青写真を作った1人であり、民生用と車載用を両方抱えるシナジー効果の観点から合理性があると考える。舞台が産業革新機構ではなく、村田製作所に移ったと考えれば違和感はなく、2013年プロジェクトのシナリオや戦略を継承することが可能だ。 (『名古屋大学未来社会創造機構』客員教授 佐藤登)


キャプチャ  2017年2月14日号掲載
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