【高市早苗の月刊国会レポート】(13) 今年挑戦する8つの課題
豪雪被害やインフルエンザ患者数の増加等、今年も大変な冬ですね。皆様、お元気でいらっしゃいますか? 通常国会の前半は、衆参本会議の政府四演説と各会派の代表質問で、本会議場の雛壇に長時間座り続けることから始まります。予算委員会は、テレビ中継されるのは衆参其々通常3~5日程ですが、例年3月下旬頃までは予算案審議が続きますので、閣僚席は冷えや腰痛との闘いです。省エネの為だとは思うのですが、衆議院の予算委員会室は寒過ぎる! 臨席の鈴木俊一財務大臣は、「動脈が通っている太腿に懐炉を貼ると温かいんですよ」とドヤ顔で仰っていたのですが、数時間が経過すると「暑いっ…」と呟き始め、汗を何度も拭われ、暫く我慢した挙げ句にトイレに駆け込んで懐炉を外してこられます。懲りずに何度も同じことを繰り返しておられるので、妙におかしくなります。答弁に立つ西村康稔経済産業大臣の後ろ姿を拝見していますと、背中に長方形の型がくっきりと浮き上がっていますので、多分、背中に懐炉を貼っておられるのでしょう。暑くなり過ぎず、低温火傷の心配をしなくて済むには、懐炉をどこに貼るのがベストなのか…。ご存知の方が居られたら教えて下さいね。私が閣僚として令和5年に対応しようと考えている課題を、幾つかご紹介しますね。先ず、経済安全保障担当大臣としては、昨年12月から具体的な取り組みを開始した“重要物資の安定的な供給の確保に関する制度”(※サプライチェーン強化、令和4年12月に11物資を政令指定)と“先端的な重要技術の開発支援に関する制度”(※令和4年12月から第一次公募を開始、令和5年1月末日から第二次公募を開始)を、しっかりと推進していきます。これらは、海外に過度に依存し、供給途絶の蓋然性が高い物資について、国内で生産を拡大したり、代替物資の研究開発をしたりできる環境を整えると共に、安全保障等の観点から重要な技術の国内における研究開発を進める取り組みです。経済安全保障推進法の中で未施行の“基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度”と“特許出願の非公開に関する制度”の施行に向けても、準備を開始したところです。加えて、私の悲願だった“SC/セキュリティークリアランス(重要技術情報等を取り扱う者への資格付与)”の制度整備に向けて、力を尽くします。
昨年来、岸田文雄総理にSC制度整備の必要性について説明を申し上げてきましたが、去る2月14日に官邸で開催された経済安全保障推進会議の席上で、総理から正式にSC制度検討開始のご指示を頂くことができました。先進諸国がSC制度を整えている中で、日本企業が友好国の政府調達や民間企業同士の取引や共同研究から外されつつある現状を改善したく、歯を食い縛って制度整備に取り組む覚悟です。重要土地等調査法を担当する大臣としては、昨年12月27日に初回の区域指定(※58ヵ所)を行ない、2月1日に区域指定が施行されたばかりですので、土地・建物の利用状況調査をしっかり行なうことで、制度の実効的な運用に万全を期しつつ、次の区域指定の準備にも着手します。科学技術政策担当大臣としては、今年5月に開催されるG7仙台科学技術大臣会合の議長としてリーダーシップを発揮し、科学技術イノベーション分野における日本のグローバルなプレゼンスの向上を図ります。昨秋から順次、各国の科学技術担当大臣と会談して、議題の詰めを行なっています。また、一昨年に刊行した著書『美しく、強く、成長する国へ。私の“日本経済強靭化計画”』(※弊社刊)にも記した核融合炉(※ウランやプルトニウムが不要で高レベル放射性廃棄物が出ない重水素発電炉)の実現に向けた取り組みも進めています。昨年9月30日に『核融合戦略有識者会議』を設置して議論をスタート。同会議で続けてきた議論を取り纏め、今年4月を目途に日本初の核融合戦略を決定する予定です。クリーンで安全なエネルギーの安定供給は次世代への贈り物になりますし、発電開始以前であっても、現在のITER計画における日本企業の技術的優位性は高く、核融合研究から派生する多くの技術が日本の経済成長に貢献すると考えています。宇宙政策担当大臣としては、今年夏を目途に『宇宙の安全保障構想』を策定すると共に、民生分野や科学・探査分野も含め、3年ぶりに宇宙基本計画を改定します。国防や災害対応に必要な情報収集衛星や通信衛星の打ち上げを増やしていきたいと考えています。先月号にも書きました通り、スペースデブリ(※宇宙ごみ)を除去する実証衛星打ち上げと運用によって宇宙デブリへの対応を加速すること、公共調達等を通じて宇宙分野のスタートアップを支援することにも取り組みます。知的財産戦略担当大臣としては、日本のイノベーションを活性化し、国際競争力を強化していく為、スタートアップ・大学の知財エコシステムの強化、知財・無形資産の投資・活用促進メカニズムの強化、国際標準の戦略的な活用の推進、デジタル時代のコンテンツ戦略の推進等の施策を、官民一丸となって推進してまいりたいと存じます。健康医療戦略担当大臣としては、次世代医療基盤法について、個人情報を保護しつつ、医療情報の研究開発における利活用が更に進むよう、法改正にチャレンジします。特に経済安全保障については、まだまだ多くの課題意識があり、次の内閣改造までに着手できるか否か、時間との闘いですが、兎に角、懸命に働いてまいります。
高市早苗(たかいち・さなえ) 経済安全保障担当大臣。1961年、奈良県生まれ。神戸大学経営学部経営学科を卒業後、『松下政経塾』に入塾。1993年の衆院選で初当選後、自由党、新進党を経て自民党に入党。総務大臣や衆議院議院運営委員長等を歴任。著書に『歴史教科書への疑問 若手国会議員による歴史教科書問題の総括』(展転社)・『美しく、強く、成長する国へ。私の“日本経済強靭化計画”』(WAC BUNKO)等。
2023年4月号掲載
昨年来、岸田文雄総理にSC制度整備の必要性について説明を申し上げてきましたが、去る2月14日に官邸で開催された経済安全保障推進会議の席上で、総理から正式にSC制度検討開始のご指示を頂くことができました。先進諸国がSC制度を整えている中で、日本企業が友好国の政府調達や民間企業同士の取引や共同研究から外されつつある現状を改善したく、歯を食い縛って制度整備に取り組む覚悟です。重要土地等調査法を担当する大臣としては、昨年12月27日に初回の区域指定(※58ヵ所)を行ない、2月1日に区域指定が施行されたばかりですので、土地・建物の利用状況調査をしっかり行なうことで、制度の実効的な運用に万全を期しつつ、次の区域指定の準備にも着手します。科学技術政策担当大臣としては、今年5月に開催されるG7仙台科学技術大臣会合の議長としてリーダーシップを発揮し、科学技術イノベーション分野における日本のグローバルなプレゼンスの向上を図ります。昨秋から順次、各国の科学技術担当大臣と会談して、議題の詰めを行なっています。また、一昨年に刊行した著書『美しく、強く、成長する国へ。私の“日本経済強靭化計画”』(※弊社刊)にも記した核融合炉(※ウランやプルトニウムが不要で高レベル放射性廃棄物が出ない重水素発電炉)の実現に向けた取り組みも進めています。昨年9月30日に『核融合戦略有識者会議』を設置して議論をスタート。同会議で続けてきた議論を取り纏め、今年4月を目途に日本初の核融合戦略を決定する予定です。クリーンで安全なエネルギーの安定供給は次世代への贈り物になりますし、発電開始以前であっても、現在のITER計画における日本企業の技術的優位性は高く、核融合研究から派生する多くの技術が日本の経済成長に貢献すると考えています。宇宙政策担当大臣としては、今年夏を目途に『宇宙の安全保障構想』を策定すると共に、民生分野や科学・探査分野も含め、3年ぶりに宇宙基本計画を改定します。国防や災害対応に必要な情報収集衛星や通信衛星の打ち上げを増やしていきたいと考えています。先月号にも書きました通り、スペースデブリ(※宇宙ごみ)を除去する実証衛星打ち上げと運用によって宇宙デブリへの対応を加速すること、公共調達等を通じて宇宙分野のスタートアップを支援することにも取り組みます。知的財産戦略担当大臣としては、日本のイノベーションを活性化し、国際競争力を強化していく為、スタートアップ・大学の知財エコシステムの強化、知財・無形資産の投資・活用促進メカニズムの強化、国際標準の戦略的な活用の推進、デジタル時代のコンテンツ戦略の推進等の施策を、官民一丸となって推進してまいりたいと存じます。健康医療戦略担当大臣としては、次世代医療基盤法について、個人情報を保護しつつ、医療情報の研究開発における利活用が更に進むよう、法改正にチャレンジします。特に経済安全保障については、まだまだ多くの課題意識があり、次の内閣改造までに着手できるか否か、時間との闘いですが、兎に角、懸命に働いてまいります。
高市早苗(たかいち・さなえ) 経済安全保障担当大臣。1961年、奈良県生まれ。神戸大学経営学部経営学科を卒業後、『松下政経塾』に入塾。1993年の衆院選で初当選後、自由党、新進党を経て自民党に入党。総務大臣や衆議院議院運営委員長等を歴任。著書に『歴史教科書への疑問 若手国会議員による歴史教科書問題の総括』(展転社)・『美しく、強く、成長する国へ。私の“日本経済強靭化計画”』(WAC BUNKO)等。

スポンサーサイト