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【今こそ国連を問う】(04) 「世界の最後の頼みの綱」――リチャード・ゴーワン氏(国際危機グループ国連担当)

20230331 07
(国連からロシアを追い出すのは)論理的には可能だ。国連憲章には加盟国の権利停止や除名ができるという条文がある。しかし、それは安全保障理事会が勧告を出した時にしかできない、とも書かれている。ロシアは拒否権を行使し、自国を追い出そうとする如何なる試みも阻止できる。(ウクライナ侵攻において)ロシアは犯罪者であると同時に裁判官でもある。ロシアは道徳的に国連から追放されるべきだという人の気持ちは理解できる。しかし、安保理は道徳的なクラブではない。パワーバランスの世界だ。ロシアを国連に参加させ、アフガニスタンのような事例でロシアの協力を得るほうが、国連から追い出すよりも意味があると思う。ロシアを追い出してしまえば、あらゆる力を使って、今以上に多くの分野で国連の仕事を弱体化させるだろう。安保理改革に大きな興奮があるのは確かだ。アメリカのジョー・バイデン大統領が9月の国連総会で改革の必要性を説いて以来、ニューヨークの外交官の間に新たな機運が持ち上がった。ただ、イラク戦争直後にも同じような雰囲気はあった。日本とドイツ、インド、ブラジルの4ヵ国は常任理事国の議席を獲得する為に強く働きかけたが、何も起きなかった。中国とアメリカは改革を望んでいなかったからだ。いくら語り合っても、改革がどのようなものであるべきかについて、常任理事国も含めて真のコンセンサスがなければ失敗に終わるということを(当時)思い知らされたのだ。

外交官達は、「今が変革の時だ」と純粋に信じる人と、「これは全て“ゲーム”だ」と皮肉る人とに分かれている。それでも、私が若し日本だったら、このチャンスを生かすと思う。現時点でどんな改革なら可能かを確認する努力をしない手はない。グローバルサウス(※途上国)の国々は国連の現状に不満を募らせ、グローバルノース(※先進国)の国々に対する明確な批判を強めている。新型コロナウイルスのワクチンの不平等な分配は、グローバルサウスの人々の考えに影響を与えた。また、豊かな国が気候変動対策に対する資金拠出の義務を果たしていないという思いは、グローバルサウスの大きな不満の種になっている。今年は更に、世界的な食糧危機がウクライナ侵攻の影響で拡大したが、欧州の多くの国々が食糧価格高騰に対する貧しい国々の懸念に気付くのが遅かったという事実がある。これらが積み重なり、西側に対する不満や憤りは表面化していった。皮肉なことに、西側の国々は、ウクライナを巡る国連総会での投票で西側以外の国々の支持を得る必要があった為に、そうした不満に気付いただけだ。この不満の原因は、もっと深いところにあると思う。国連憲章を信じているとしても、国連は憲章が謳う、なるべき姿に未だなっていないのだと思う。国連が1945年に発足すると直ぐに、ソビエト連邦とアメリカの間に緊張が生まれた。冷戦時代に戻れば、安保理は今よりもずっと麻痺していた。そして(安保理等で展開される)外交的なプロセスは、ある意味で劇場であり、現場での国連の仕事から目を奪ってしまうものだ。ただ、国連は非常に困難な状況にある場所で、今も多大な貢献をしている。アフガニスタンでは国連機関が国の崩壊を食い止めようとし、“アフリカの角”では飢餓と闘っている。(ウクライナ等)大国の対立で国連が機能しなくなった場所だけに注目するのは簡単なことだが、国連が(様々な場所で)少なくとも危機を緩和していることも理解すべきだ。アフガニスタンでイスラム主義組織『タリバン』が実権を握り、アメリカ軍や『北大西洋条約機構(NATO)』軍がそこから姿を消した時、誰がそこに残っていただろうか。人々の最後の頼みの綱は誰だったのか。それは国連だ。世界には、国連が唯一信頼できる存在だと信じて待っている人々がいる。 =おわり

          ◇

(ニューヨーク支局)隅俊之が担当しました。


キャプチャ  2022年12月31日付掲載
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