【JR・栄光と苦悩の30年】(02) JR再結集での支援は不可避…北海道・四国の救済プラン

『JR北海道』が「半分の路線を維持できない」とギブアップ宣言した。だが、政府も北海道もJRグループも、責任を押し付け合うばかりで再建の系ロが見えない。北海道に“春”はやって来るのか――。

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今年2月23日の早朝、本誌記者は函館本線でJR札幌駅へ向かう筈だった。本連載の取材で、JR北海道の島田修社長にインタビューする予定だったからだ。だが、JR函館駅に特急北斗がやって来ることはなかった。何でも、前日深夜に貨物列車が脱線してしまったらしい。記者はタクシー(※出費は5万円!)と別の在来線を乗り継いで何とか間に合ったが、基幹路線がストップすると道内交通は忽ち大混乱に陥ってしまう。鉄道という大動脈のありがたさが身に染みた。JR北海道の事故と言えば、2011年に発生した石勝線特急の脱線火災事故を思い出す人がいるかもしれない。この事故を境に、JR北海道は坂道を転がり落ちるように転落していく。軌道検査データの改竄・運転士の居眠り・特急列車の発火事故…。事故やトラブルのオンパレードとなり、今に至るまで信頼を回復できていない。一連の不祥事について島田社長は、「安全を疎かにすれば企業基盤を失う。そんな当たり前のことの意味を理解できていなかった」と猛省する。1987年4月、JR北海道のスタートは順調そのものだった。時はバブルの真っ只中。翌年には青函トンネルが開通し、リゾート特急やブルートレインを積極的に投入した。「『JR北海道は観光で生きていける』と疑わなかった」と、あるJR関係者は打ち明ける。そんな上り調子のJR北海道が、どこで躓いたのか。

「2003年のJRタワー開業が、運命の分かれ道だった」(JR北海道関係者)と指摘する声は多い。華やかなビル開発にスポットが当たり、社内で赤字の鉄道事業が軽視されがちな風土を生み出すことにも繋がったのだ。それに先立って、1997年に『北海道拓殖銀行』が破綻。道内経済の冷え込みで、運輸収入は減り始めた。日陰の鉄道事業の収支を合わせるには、コストを下げるしかない。“収支”を重視するあまり、安全性維持の為の“必要経費”まで抑えるようになっていた。1997年度には約800億円あった人件費が、2015年度は470億円に激減。保守に十分な人員が向けられなかった。加えて、国鉄時代から引きずったままの労働組合問題も影響した。現場では、こうした実態を把握していたが、社内でコミュニケーションが取れなくなっていたのだ。経営の機能不全に追い打ちをかけるように、外部環境もJR北海道を追い込んだ。北海道は気象条件が厳しく、除雪に年間40億円の費用が発生したり、貨物列車の運行が多く、線路の摩耗が激しい。故に、1987年の発足時から、鉄道事業は年500億円の営業赤字という見立てだった。直近の2015年度も447億円の赤字だ。こうした事業構造の為、分割民営化時に6822億円の経営安定基金を宛がわれた。しかし、昨今の金利低下で運用益は半減している。国は基金を積み増したり、“安全投資”等の名目で追加支援しており、既にJR北海道への支援総額は1兆円を超えた。最早、場当たり的に資金注入する方法は限界だ。昨年11月、安全問題によって存続が問われたJR北海道は、遂にギブアップする。営業路線の約半分に相当する1237㎞について、「単独では維持が難しい」と公表した(右上画像)。より深刻な3路線(※輸送密度が200人/日・㎞未満の線区)は、廃線となるのが濃厚だ。現地取材を敢行した留萌本線(※前回参照)も候補の1つ。廃線にし、バス等代替の交通手段へ転換する。経営危機のレベルやその対応の緊急性が異なるが、『JR四国』もまた窮地に陥っている。「JR北海道は大量出血している急病人。JR四国は慢性病患者」。ある国鉄OBは、そう表現する。JR四国の半井真司社長も、「JR四国は経営安定基金で赤字を補填できるレベルにあるが、この先、廃線問題は避けて通れない」と認める。JR北海道とJR四国、この2社には処方箋が求められている。

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JR四国で言えば、地元と協議し、固定費の高い鉄道が本当に適した交通体系なのかを検証することだ。四国内に高速道路網が発達した今、輸送密度が2000人未満の線区については、高速バスへの転換を検討すべきだ。JR北海道も、北海道と共に、鉄道の他、バス・航空・タクシー等他の交通手段を含めて、どれが最も利便性が高く効率的なのかを整理する必要がある。極論ではあるが、低金利時代に突入し、6822億円の経営安定基金が最早“運用益を生む装置”として役に立たなくなったのであれば、取り崩してしまえばいい。この巨費を使えば、老朽化した線路や車両等の鉄道設備を一新することができる。そうすれば、保守費が一気に軽くなる。例えば、木製の枕木をコンクリート製に一新すれば、雪の影響が抑えられるので安全性も高まる。とはいえ、鉄道事業の赤字が年100億円だった『JR九州』とは違い、450億円に上るJR北海道が抱える問題は深刻だ。北海道だけで解決できるのだろうか。国鉄分割民営化から30年、全国で高速道路の整備が進み、地方では猛スピードで人口減少が進んでいる。鉄道を取り巻く環境は激変し、当時、作り上げたスキームは制度疲労を起こしている。当時は、JR7社が公平になるよう、“基金”と“負債”という形で資産分割した筈が、30年の時を経て各社の格差が広がっている。地方が喘ぐ一方で、巨額の利益を稼ぐようになった本州3社(『JR東日本』・『JR東海』・『JR西日本』)が、例えば“JR基金”を創設する等、相応の負担をしていくべきではないだろうか。また、資金援助のみならず、JR北海道に欠けている経営人材の支援も必要だ。JRグループが結集する構図に、“ミニ国鉄”の復活との批判は避けられないが、それくらい対応は急を要するのだ。


キャプチャ  2017年3月25日号掲載




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